美術史
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美術史︵びじゅつし︶は、美術の歴史を研究する学問分野である。16世紀のジョルジョ・ヴァザーリがしばしば美術史の父と呼ばれる。ヴァザーリによる﹃美術家列伝﹄は、美術家の伝記を歴史的に連ねたもので、その後の美術史のパターンを確立した。
地域︵西洋、東洋、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど︶、時代︵古代、中世など︶、ジャンル︵絵画、彫刻、建築など︶などにより細分化された分野が存在する。
美術の歴史である以上、その対象は美術であるのは当然だが、しかし何をして美術とするかは依然として議論のあるところである。現代の美術館に収蔵されているような、いわゆるハイ・アートが中心的に扱われているのは事実だが、同時にそうした範疇に収まらない様々な視覚的・造形的な生産物が研究対象として選ばれることもある。
美術史の方法として、伝統的には、美術家の伝記的事実や作品の履歴の調査、作品の形態分析や図像学といったものが挙げられる。しかし近年の新しい美術史においては方法論への関心も高く、社会史やフェミニズム、文芸批評といった他分野の方法論を美術史に適用する動きも活発である。作品の成立において、社会的コンテキストやジェンダー、階級といったものの関わりがきわめて重要なものとして扱われるようになってきている。