重力の虹

﹃重力の虹﹄ (Gravity's Rainbow)はトマス・ピンチョンの長編小説。1973年発表。複雑怪奇なストーリーに加え、原文三十万語を誇る英語圏でも最大級の小説で、﹃フィネガンズ・ウェイク﹄等と並び﹁読めない小説﹂の代表格に挙げられる。

概要

重力の虹の舞台は第二次世界大戦末期から終戦直後にかけてのヨーロッパである。100名を超える登場人物のうち、中心となるのはアメリカ軍中尉タイローン・スロースロップ。行く先々で女と関係を持つスロースロップには、セックスした後にV2ロケットが落下するという秘密があった。その秘密を知る組織の面々はスロースロップを監視し、様々な仮説を打ち立てる。スロースロップもまた自らとV2の関係を追い求め、ロンドンから大陸へ、連合軍占領地＜ゾーン＞へと遍歴の旅を続ける。

破壊と渾沌に満ちたヨーロッパの荒野を行く＜ロケットマン＞タイローン。そこはV2の論理に支配された資本と知と死の世界であった——。