「Wikipedia‐ノート:日本法人」の版間の差分
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m 久々にこの問題を考えてみる(活動内容はどのようなもの?先例を参考にしたい) |
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まあ、どちらにしろ現状における協力者(あるいは賛同者)がどれくらいいるかを把握しないことにはこれ以上の議論の進展は望めないと思います。 |
まあ、どちらにしろ現状における協力者(あるいは賛同者)がどれくらいいるかを把握しないことにはこれ以上の議論の進展は望めないと思います。 |
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=== G === |
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上記の議論はサーバ問題に特化してしまった話なので、話を本題に戻しましょうか? |
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[[Wikipedia:大使館]]を見ると、 |
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:ドイツ語版 6月13日設立 |
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:フランス語版 年内の設立に向けて準備委員会の設置中 |
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で、まず話を戻そうというのにはわけがあって、恐らくT.Nakamuraさんはドイツ・ウィキメディア協会の創設についていろいろと見たことからこの話を振ったと思われるのですが、現にドイツ・ウィキメディア協会は、活動としてどのようなものを行っているのでしょうか?日本語版で設立するとなった際にも恐らくは先に設立されたドイツ、フランスと活動はほぼ同じくなると思われます。そこは先例のドイツ、フランスを参考にすべきではないでしょうか?情報をお持ちなら教えていただけると幸いです。 |
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活動内容が決まってないのに、サーバの話をしてしまってもというところで、話を元に一旦戻そうじゃないかという提案です。 |
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もちろん、日本国内にサーバがあった方が、法律的にも、またサーバレスポンスやメンテなどの面でもよさそうだというのはいうまでも有りませんが(日本国内にいる人間にとってはですが)、これらは日本の支部設立とはちょっと話が違うようです。また個人的には支部設立よりもユーザ間の交流が先([[ウィキペディアン・オフラインミーティング]])かな?という気がしますけど… |
2004年7月6日 (火) 09:29時点における版
T. Nakamura
Wikipedia:大使館に書いた件です。
ドイツ語版の議論を参考にして、仮に日本法人を設立した場合のメリットやデメリットについて考えてみたいと思います。前提としてまず、設立するとすればどういう法的形態をとるかを考える必要がありますが、とりあえず、最も適していると思われ、また、最も現実性のあると思われるNPO法人を念頭において考えます。 NPO法人が適しているのは、それがボランティア活動を念頭においた法人形態であるからです。また、現実性があるのは、その他の形態では、ある程度の資金の準備が必要ですが、NPO法人の場合その必要がないからです。
まず、ドイツ語版で挙げられていたメリットについて検討してみます。ドイツ語で挙げられていたのは次のようなメリットでした‥
●税法上のメリット。ウィキペディアが大きくなり、必要な資金も増大したが、アメリカ財団への寄附はドイツ税法上控除されない。ドイツ社団を設ければ、税法上のメリットがある。
●現状では、ドイツ国内でウィキペディアの利益を代表する者がいない。Kurt Janssonさんが事実上その役割をしているが、法的な代表権があるわけではない。
●ドイツ語版ウィキペディアは、これまでに大きな成長を遂げ、英語版ウィキペディアとは独立した存在として認識されるようになったが、依然として Jimbo Walesさんがシェフ︵Chef︶である。しかし、Jimbo Walesさん自身、その役割を望んでいない。﹁慈悲深い独裁者﹂︵wohlwollender Diktator︶というモデルは、英語版には通用しても、他言語版では通用しないだろうと自ら告白している︵として、このメール[1]から引用しています︶。
●報道等に対しても、よりよい対処ができるだろう。
第一の点ですが、日本法上も同じことが妥当すると思います。
●年末にサーバがおかしくなって寄附を募っていたときに、どこかで税金が控除になるのかが話題になっていたようにも思います。これに関する条文は所得税法78条です。これによると、公益目的の事業を行う法人又は団体であっても、日本の財務大臣の指定を受けなければなりません。ウィキメディア財団は、フロリダ州の財団ですから、日本の財務大臣の指定の対象とはなりえないと思われますし、実際指定されていないと思われますから︵2項2号︶、寄付金控除の対象になりません︵1項︶。これに対して、NPO法人の場合は、国税庁長官の認定を受ければ、寄付金控除の対象となります︵特別非営利活動促進法46条の2、租税特別措置法41条の19、租税特別措置法66条の11の2︶。
●また、Paypalを使わないとすると、確か国際振込や国際書留郵便を使わなければならなかったのだと思いますが、どちらも余分なコストがかかりますし、手続も比較的複雑でしょう。国際郵便は、安全性にも疑問があります。国内に一つ口座があれば、簡単かつ安全に国内振込で寄附できるようになると思います。もちろんPaypalを使えば良いわけですが、批判的な意見を耳にしたこともあります。
●それとは一応別の問題として、NPO法人になると、公益的なボランティア活動であると客観的に判断されるため、寄附が集めやすくなるという話もどこかで読んだことがあります。われわれが自腹を切るのではなく、外部から寄附を集めることも容易になるかもしれません。
第二の点についても、日本法上同様の話が妥当します。
●私が最初に気になったものとしては、ISBNリンクの話でどういう名義でメールを送るかということが、井戸端BBSで問題となっていたことがあります [2]。法人があれば法人名義で送ればよいということになります。相手方としても、知らない個人に対して許可を与えるよりは、法人に対して許可を与えるほうが、安心であると考えられます。
●なお、例えばTomosさんが旭屋書店にメールを送り、リンクの許可をもらったとします。法的には、これは契約と評価されることになりますが、この場合、契約の主体は、旭屋書店とTomosさんであって、旭屋書店とウィキペディア︵利用者全員︶ではありません。一応、﹁第三者のためにする契約﹂というのも可能ですが、この場合誰が第三者になるのか不明確ですから、契約の有効性については不明確な部分が残ります。ただ、この問題が法人になったら解決するかというと、よくわかりません。
●一般論としてよくいわれるメリットとしては、NPO法人になると、法人名で、銀行で口座を開設したり、事務所を借りたり、不動産の登記をしたり、電話を設置するなどの法律行為を行えるということがあります。これらの行為が、ウィキペディアの日本法人としてどこまで必要かは具体的に判断する必要がありますが、例えば、税法との関係で口座を開設する場合について考えてみます。法人でないとすると個人名で口座を開くことになりますが、個人名で口座を開いた場合には、口座を管理する人が変わるごとに引継ぎの必要がありますし、また、その個人が資金を不正使用したり持ち逃げしてしまった場合にも、その他の人は基本的にどうすることもできないと思われます。NPO法人にすれば、そもそも監査など相互チェックの仕組みが組み込まれていますし、もしそういうことが起これば、法人がその個人を訴えることもできます。また、事業報告書なども法律により義務付けられていますから、クリーンな管理が行われると思います。
●なお、権利能力をもたない人の集まりの法的に不安定な状態を解決するために、判例法上﹁権利能力なき社団﹂の財産権にはいくつかの工夫が加えられていますが、ウィキペディアの利用者集団がそもそもこの﹁権利能力なき社団﹂に該当するのか、疑問があります。
●最近、管轄規定・準拠法規定・免責事項が問題となっています。しかし、これらの契約の主体がそもそも誰なのか、という点が不明とされています [3]。この点いろいろ考えた結果、さしあたり、ウィキペディア上で生じるあらゆる問題を解決するには、GFDLに関してライセンサー・ライセンシー間で妥当するルールと、サイト運営者とサイト利用者の間で妥当するルールの二つに分けて考えるのがよいと考えています︵MediaWikiノート:Copyrightwarning参照︶。そうすると、サイト運営者はフロリダの財団ですから、この種のルールを定めるときには、最終的にはフロリダ財団の名前で規定を置いてよいのかをフロリダ財団に判断してもらうことになります。しかし、言語の面からそれはかなり困難な作業になります。日本財団があって、日本版の管理を委託されていれば、この点便利です。
第三の点。Jimmy Walesさんが日本語ができるのか知りませんが、日本語を解さないようであれば、基本的に同じことが当て嵌まると考えられます。
第四の点。
●前回のNHK報道の是非については、個人がクローズアップされることについて激しい議論がありました。その結果、かなりウィキペディア内の関係がぎくしゃくしたように感じられました︵Wikipedia‐ノート:報道の過去ログ2︶。管理団体が法人化されていれば、基本的に個人がクローズアップされることはありませんから、このような問題が起こらなくなると思われます。
●NHK報道申込の件でも、今回のスカパーの件でもそうですが、ウィキペディアを見て報道したいと思った外部の機関は、とりあえずフロリダ財団と連絡を取り合おうとは考えないようです。そういう意味でも、フロリダ財団とは別の、日本語で対応する窓口があったほうがよいと思います。
次に、日本版の場合に考えられるメリットをいくつか挙げてみます。
第一に、管理者の法的リスクを減少させることができると思います。現在、管理者は個人の責任において削除作業に従事していると考えられます。プロバイダ責任制限法があるためにある程度のミスであれば免責の対象になりますが、何かの拍子に大きなミスをしないとも限りません。また、客観的には法的に望ましくない結論であっても、ウィキペディア内の世論がそれを肯定するならば、管理者としてはそれを優先した行動をとるべきであるという意見もあります。このような場合には、管理者が訴えられる可能性があるわけです。
しかし、もし法人が存在していて、管理者は法人としての義務を行う者としてこのような行動をとるのであれば、もし何か失当があっても、それは管理者の職務の範囲内の行為であるということになり、損害賠償責任を負った場合には、とりあえず法人の財産にかかっていくということになります。これにより、管理者の法的リスクはかなり減少します。もちろん、その前提として、ある程度の資金が、そういう場合に対する保険として、法人にプールされている必要があります。
第二に、ウィキペディアに損害を与える個人に対してアクティヴな行動をとれるということです。最近あらし行為を行う人が現れ、ブロックの検討などが行われていますが、実際にはあまり抑止力となっていないようにも感じられます。利用規約の中に﹁あらし行為を行った場合には、法人に対して賠償責任を負う﹂という条項を入れておけば、実際そういう行為を行った人に最終的には訴訟によって賠償を求めることができますので、あらし行為に対して大きな抑止力となることが期待できます。
第三に、国際裁判管轄の問題です。MediaWikiノート:CopyrightwarningやWikilegal-lで書いたように、アメリカの国際裁判管轄が肯定されると極めて危険︵損害賠償が高額、懲罰的損害賠償、陪審による事実認定など︶なので、これをなるべく避けたいと考えています︵準拠法を指定するだけでは危険を拭いきれません︶。しかもこれは、︵MediaWikiノートで書いたときは気づきませんでしたが︶よく考えてみると、管理者に限られず、一般の投稿者の方々にもあてはまる話です。つまり、投稿者があるアメリカ人の著作権を侵害した場合に、アメリカで訴えられる可能性があるかという話です︵例えば、そういう可能性のあるものとして、ノート:マイケル・ムーアなど︶。しかし、サーバがアメリカにあると、アメリカの国際裁判管轄が肯定される可能性が高いように思います︵この点、アメリカの国際民事手続法に詳しい方がいらっしゃれば、是非コメントをください。 Wikilegal-lでも、詳しい方はいらっしゃらないようで、返事がありません︶。少なくとも原告がアメリカに住んでいるアメリカ人やアメリカ企業であれば、その可能性はかなり高くなると思います。
法的には、アメリカにサーバがあるという状態は望ましくありません。なるべくなら日本で行為の最初から終わりまで完結していたほうがよいです。法的には、日本にサーバがあったほうが、リスクが減少します。ただ、この点についてはドイツ語版でも議論になっているようですから、日本語版でもいろいろな議論があるのかもしれません。
いずれにせよ、サーバにせよ何にせよ、日本で何らかの財産を持つとなると、法人所有にすることが望ましいと思います。サーバを設置する不動産を取得したり、サーバに使う電話回線を敷いたりという場合に法人化されていると容易になるという点は前述したとおりです。また、不動産を取得すれば登記が必要ですし︵判例では、権利能力なき社団名義での登記は不可能とされています︶、税法上もNPO法人は優遇されています。また、個人財産と法人財産が明確に区別できることになりますが、これは財産を管理していく上で重要なことです。
次に、発生しうるデメリットについて考えてみます。
最も大きいものは、フォークの引き金になるのではないか、あるいは、フロリダ財団との関係が悪化するのではないかという懸念であると考えられます。これについては、Jimmy Walesさんもドイツ法人について示唆していたように、フロリダ財団と日本財団の間の関係をきっちりと契約の形で決定しておけば避けられると思います。また、日本法人設立を機縁に日本からの寄附が増えれば、フロリダ財団からも感謝されるでしょう。Jimmy Walesさんに、日本財団で何らかの形での関与をあらかじめ認めておくということも考えられます。
次に、法人化は、ウィキペディアのボランティア体質をそこなうのではないかという懸念が考えられます。これについて、NPO法人法には、NPO法人の役員は基本的に無報酬でなければならないという規定があります。会員資格に不当な制限を課してはならないという規定もあります。なぜそうなっているかというと、NPO法人法というのは、ボランティア活動に法人格を与えることを目的としてつくられた法律であるからです。ですから、NPO法人法は、ボランティア体質を損なわないような配慮があるわけです。
ただ、報酬制度をまったく認めていないわけではなくて、例えば事務局の職員などに報酬を与えることなどは可能であるようです。ですから、例えば開発者が不足しているようであれば、専門知識のある人を外部から一本釣りするようなことも︵余り妥当ではないような気もしますが︶選択肢としてあり得ると思います。しかし、例えばGさんのように、開発者権限をいずれお取りになりそうな方が出てきていらっしゃいますし、情報共有の環境も整いつつあるようですので、無駄な議論かもしれませんが。
最後に、理事や監事等を設けることになり、ウィキペディアの中に何らかのヒエラルキーを持ち込むことになるのではないかという懸念も考えられます。これについては、ドイツ法人のように、法人上の地位はウィキペディア上の立場に何ら影響を与えないというポリシーを設けることが必要であると考えられます。
とりあえず、以上です。賛成論、反対論、いろいろあると思いますが、広くいろいろな方からご意見を賜れれば幸いです。なお、Wikipedia:日本法人/参考資料に参照資料を掲げておきます。
T. Nakamura 01:11 2004年2月7日 (UTC)