ケイ酸塩
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ケイ酸イオン[編集]
4配位ケイ酸イオン中のケイ素原子は、4個の酸素原子によって囲まれた四面体構造をとり、この四面体が1個から無限個まで連なった多様な種類がある。 オルトケイ酸イオン (SiO44−)、ピロケイ酸イオン (Si2O76−)、他の縮合ケイ酸イオンが知られている。環状ケイ酸イオンとしてはSi3O96− とSi6O1812− が知られている。さらに、以下のような多様な無限ポリイオンが存在する[2]。 1次元鎖状 (pyroxene) 型 (SiO32−)n。各 SiO4 四面体は2個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有し、形式的には残り2個の酸素がアニオンとなる。 1次元二重鎖状 (amphybole) 型 (Si4O116−)n 2次元シート状 各 SiO4 四面体は3個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有し、形式的には残り1個の酸素がアニオンとなる。ほとんどの2次元シート状アニオンは巨大すぎて、常温では固体かコロイド溶液でしか存在できない。 3次元網目状 各 SiO4 四面体は4個の酸素原子を隣の SiO4 四面体と共有する。この構造が 100% だと組成式 SiO2 の二酸化ケイ素であるが、一部の SiO2 が他の金属酸化物に置き換わった (M(I)2O)2x(SiO2)1-x や (M(II)O)2x(SiO2)1-x のような組成の化合物では、ケイ素原子が取り除かれた欠陥部がアニオンとなった (SiO2(1-x))O2x4x− のようなポリイオンが考えられる。ただし金属Mがイオンというよりも酸素原子と共有結合してポリケイ酸イオンの一部となっていると考えた方が良い構造の場合もある。 2次元シート状および3次元網目状のポリケイ酸イオンの一部のケイ素原子が、アルミニウムやホウ素、リン、またチタンなどの遷移金属に置き換えられたものがある。これらは化学的にはアルミノケイ酸イオンやホウケイ酸イオンと呼ばれるべきものであるが、ケイ酸イオンの一種として扱われることが多い。特にアルミノケイ酸塩には非常に多くのものが知られている。非晶質の3次元網目状ケイ酸塩はケイ酸ガラスとして知られる。ケイ酸塩鉱物[編集]
「鉱物の一覧#ケイ酸塩鉱物」も参照
鉱物学では、ケイ酸塩鉱物[3]︵ケイさんえんこうぶつ、︵英: s ilicate mineral︶は、そのアニオン部分の構造によって以下のようなグループに分類される。
●ネソケイ酸塩鉱物︵四面体単体︶ — 、かんらん石類、柘榴石類など。
●ソロケイ酸塩鉱物︵四面体2量体︶ — 、ベスブ石、緑簾石類など。
●サイクロケイ酸塩鉱物︵環状︶ — 、緑柱石、電気石類など。
●イノケイ酸塩鉱物︵単鎖状︶ — 、輝石類など。
●イノケイ酸塩鉱物︵2本鎖状︶ — 、角閃石類など。
●フィロケイ酸塩鉱物︵層状︶ — 、雲母類や粘土鉱物など。
●テクトケイ酸塩鉱物︵3次元網目状︶ — 、石英、長石類、沸石類など。
テクトケイ酸塩鉱物は、アルミニウムなど価数の小さい原子でケイ素が置き換えられ、全体として負電荷を帯びる場合にのみカチオン種を含む。このような置換は他のケイ酸塩でも起こる。
いくつかの希少な鉱物では、結晶構造中に複数種のアニオンが共存していたり、上に挙げた種別の中間の構造を持つ複雑なアニオンを含んでいる。
ケイ酸塩岩石[編集]
地質学や天文学におけるケイ酸塩は岩石の種別の一種であり、ケイ酸塩鉱物を主成分とするものを示し、火成岩、変成岩、堆積岩の多くがこれに含まれる。地球のマントルや地殻は主にケイ酸塩によって構成されており、他の地球型惑星についても同様である。 地球では、地殻の形成、および部分的な融解、結晶化、分画、変成作用、風化、続成作用などの過程によって多種多様なケイ酸塩鉱物が生成してきた。地表付近においては生物もケイ酸塩の生成に寄与している。プランクトンの一種である珪藻はケイ酸塩からなる被殻を作り出す。深海の沈降物は主に珪藻の被殻からなっている。脚注[編集]
参考文献[編集]
- 都城秋穂、久城育夫『岩石学I - 偏光顕微鏡と造岩鉱物』共立出版〈共立全書〉、1972年。ISBN 4-320-00189-3。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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