ロシアの徴兵制が破綻の危機に瀕していることについては、小欄で以前、ご紹介した。
この結果、ロシア軍の定数100万人に対して実際の兵力は80万人足らずとなっており、国防上の大問題となっているのだ。
こうした事態に対し、ロシア政府も様々な対策を講じてはきた。
徴兵逃れを防ぐための様々な予防手段に始まり、軍隊での生活環境を改善するためにすべての兵舎にシャワー室を設置︵今までなかったというのも信じがたい話だが︶、さらには食堂にサラダバーを付けることもまでした。
とはいえ、徴兵制の破綻は若年人口の低下と徴兵逃れの蔓延という構造的なものであって、この程度で改善されるような問題ではない。
このため、議会では、大学生への徴兵猶予を廃止したり、2008年に2年から1年間に短縮された徴兵期間を再び2年間へ戻すといった案が検討されたものの、国民の猛反発は必至であるため、いずれも実現しなかった。