裸の王様だったSTAP細胞研究者
こんな研究に数十億円の税金を注ぎ込んだ責任を明らかにすべし
2014.4.9(水)
伊東 乾
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よく知られたアンデルセンのメルヘンに「裸の王様」という話があります。
もともとはスペインあたりにあった伝承をアンデルセンが翻案したものだそうですが、アウトラインとしては、新しい服好きの王様をたぶらかそうと、詐欺師が宮廷にやって来て﹁バカには見えない布地﹂で作った﹁賢者だけに見える服﹂を献上する。
王様は、群臣が見ている手前、服が見えないとも言えず、ありもしない服を褒めそやかす。また群臣の方も、王様が見えていると言う服を見えないと言うこともできず、調子を合わせて服を褒める。詐欺師はたんまりと褒美をいただき、さっさととんずらする。
で、そのありもしない服を着た、実際は下着姿の王様がパレードをし、人々も調子を合わせているなか、現実をしっかり見つめる1人の子供が﹁王様は裸だ!﹂と指摘する。
これと同じことをしなければいけないんじゃないでしょうか?
STAP細胞騒ぎの話です。
裸の王様のSTAP細胞
アンデルセンの童話とSTAP細胞など先端研究の違いがあるとすれば、童話では最初からだましてやろうという詐欺師であるのに対して、研究で一山当てようという人は、当初から詐欺を目論んでいるわけではないけれど、限りなく山師的なところがある、という部分だと思います。
あるところに、万能細胞でノーベル賞が出たりして、バイオ関係ではやたらと羽振りがよく予算がぼこすかつく研究環境がありました。そこで、ここから予算を引っ張って、一山当てようと思う人がたくさん現れ、我も我もと再生工学周りで研究プロジェクトを立て百花繚乱の賑わい。
人より一足でも早く、大きな手柄を上げて特許や学術賞など取れればもっけの幸いと、様々な勇み足やスキップだらけのずさんな実験研究も何のその、賑やかに楽しくやっておりましたとさ。
と、その中で、物理化学的な刺激だけによって、個別分化した細胞が受精卵=胚のレベルまで万能性を回復する、と見えるようなデータが出た気がした研究者が現れます︵この人は信じている可能性がありますから、必ずしもそれをもって詐欺とは言いません。ただ実験ノートが3年間で2冊とか、およそずさんな報道も目にするのは事実です︶。
これがSTAP細胞と呼ばれるもので、こんなものを見つけたとしたら大変な業績ですから、直ちに宮廷、もといマスコミに持ち込んで記者会見などをします。
﹁賢者にだけ見える万能細胞﹂もとい﹁理化学研究所︵理研︶でひとまず一度確認されたSTAP細胞﹂という触れ込みで、全世界に情報が発信されるのですが・・・ところがどこで再現しようとしても、ちっとも﹁万能細胞﹂は作り出すことができない。
まさに﹁賢者にだけ再現することができるSTAP細胞﹂という状態になっているのが、今の状態でしょう。