第68回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門での作品上映など、世界的に活躍するアニメーション作家・水江未来さんが、1年間を通じた8,760枚に及ぶ手描きアニメーション『WONDER』の完成のため、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にてプロジェクトを2013年3月30日から開始した。
関連記事: 世界中で注目を集めるアニメーション作家・水江未来による、1年に及ぶ前代未聞のプロジェクトがまもなく終了!
http://kai-you.net/article/91
Kickstarterプロジェクトの開始と同時に、『WONDER』の音楽を担当するアコースティックオーケストラグループ・パスカルズの描き下ろし楽曲と映像を組み合わせた予告編が公開されている。
今回の目標金額は17,870ドルに設定されていて、プロジェクトは4月30日まで開催される。制作資金の仕様用途としては、水江未来さん本人が実現を強く希望している35ミリプリント︵フィルム︶およびDCP︵デジタルシネマパッケージ︶の作成や、パスカルズによるオリジナル楽曲作曲およびスタジオ収録、制作費の補填、映画祭出品費用などが挙げられている。
Kickstarter ﹁WONDER | 365 Days Animation Project﹂ by CaRTe bLaNChe
http://www.kickstarter.com/projects/407135437/wonder-365-days-animation-project
プロジェクトは、一口最低5ドルの出資から支援に参加することが可能だ。そのお礼︵リワード︶として、出資者は、作品をオンラインで鑑賞できる権利や1点もののオリジナルドローイング、DVD、描き下ろしポスターや動画、オリジナルのデザイン時計など、支援金額に応じて用意されているプレゼントを受け取ることができる。
Kickstarterと言えば、﹃マインド・ゲーム﹄﹃四畳半神話大系﹄で知られる湯浅政明監督・﹃攻殻機動隊﹄などを手がけるアニメ制作会社のプロダクションI.Gによって、わずか1ヶ月で20万ドルを集めた﹁Kick-Heart﹂などが記憶に新しい。
http://www.kickstarter.com/projects/production-ig/masaaki-yuasas-kick-heart/
必ずしも商業流通が前提ではない、インディペンデントな短編アニメーションは、大手出資者を募るということも難しく、資金繰りがどうしても困難な場合が多い。国内外で活躍する水江未来さんの今回の試みが成功すれば、制作体制の新しい可能性を切り拓くことに繋がるかもしれない。
プロジェクト開始から4日が経過した2013年4月3日1時現在、支援者は21名、総支援額3,537ドルが集まっている。Kickstarterページには、英語での説明が掲載されているが、水江さん本人が登場している告知映像に加え、﹁WONDER﹂特設サイトには概要の日本語訳も掲載されている。興味を持った方は、是非支援してみてほしい。
Kickstarter ﹁WONDER | 365 Days Animation Project﹂ by CaRTe bLaNChe
http://www.kickstarter.com/projects/407135437/wonder-365-days-animation-project
※Kickstarterで支援をする場合、Kickstarter.comとAmazon.com︵日本ではなくアメリカのAmazon︶のアカウントが必要となります
﹁WONDER﹂特設サイト
http://wonder.calf.jp/kickstarter
﹁WONDER | 365 Days Animation Project﹂概要︵日本語訳版からの転載︶
手描きというアナログな手法をつかった、1枚として同じ形、同じ色のない、連続する8760枚の画が生み出す365秒のアニメーション。デジタル時代を生きる、アニメーション作家・水江未来のアナログ的挑戦。
Not a Story to Tell but Emotions to Feel
﹁WONDER 365 ANIMATION PROJECT﹂は、2012年4月1日~2013年3月31日までの365日間、休むことなく1秒︵24枚の作画︶の作品をWEB上に発表する、水江未来によるプロジェクトです。毎日発表される作品の最後は、翌日に発表される作品の最初とつながり、プロジェクトが終了すると同時に、365秒の1本の短編アニメーション﹃WONDER﹄が完成します。
水江は、一般的な映画のような脚本や絵コンテは一切作成せず、頭の中に浮かぶイメージや動きをダイレクトに1枚1枚描いていきます。本能的に毎日描き続ける、マラソンのような制作形態。365日間絶え間なく紡がれたイメージのダイナミックなうねりは、観るものひとりひとりの心の中に、それぞれのエモーショナルなストーリーを生み出します。
言葉よりも、映像が大いに語る﹃WONDER﹄の予告編を、こちらからごらんください!
﹁WONDER 365 ANIMATION PROJECT﹂は、365日x24枚=8760枚の画でつくられています。つまり、1日24枚、1時間に1枚作画する必要があります。これまですべての過程をひとりで制作してきた水江にとっても、このプロジェクトを達成するためにはスタッフの助けが欠かせませんでした。この一年間、彩色スタッフを制作に加えることで、予定どおり3月31日までに、すべて描き終えることができました。
スタッフの参加によって、完成まであと少しのところにこぎつけたものの、想像以上にハードなこのプロジェクトの予算は、当初の予定よりも大きくふくらみました。特に、水江たっての願い︿35ミリ上映﹀を実現するためのプリント代の資金は、借入や個人資金をあてがわざるを得ない状況となっています。
WHY KICKSTARTER? WHY NOT!
商業的ではないとみなされるインディペンデントな映画、特に抽象アニメーションは、昨今ますます資金集めが厳しくなっています。ひとりという最小限の単位で最大限のエネルギーを注ぎ、精力的に作品を国際的に発表してきた水江未来が、誰も体験したことのないアニメーション表現をみなさんに見せることができると、自信を持って取り組んでいるのが、アニメーション制作をはじめてから13年になる彼の集大成となる﹃WONDER﹄です。
多くのインディペンデント作家が、ユニークで野心的なプロジェクトをはじめることで、沢山の支援と新しいファンを獲得しているキックスターター。この﹃WONDER﹄のプロジェクトを通じて、国境を越えた多くの出会いがあることを、水江未来とスタッフ一同、とても楽しみにしています!
最初のゴールは国際映画祭でのプレミア上映ですが、まず5月のカンヌ映画祭に間に合うよう、﹃WONDER﹄の4月中完成を目指しています。
THE GOAL
作品を完成するために、下記用途として、最低17,870ドルを必要としています。
■素晴らしい日本の音楽ユニット、パスカルズによるオリジナル楽曲作曲およびスタジオ収録
■35ミリプリント︵フィルム︶およびDCP︵デジタルシネマパッケージ︶を作成
■現在の制作費の補填
■映画祭出品費用
私たちは、水江未来による全て手描きで作られたアニメーションと、パスカルズの生楽器の生み出す音楽とのコラボレーションが、今までに無い魅力的なアニメーションとなると確信しています!
ぜひいっしょに﹃WONDER﹄を作り上げ、さまざまなかたちで﹃WONDER﹄を楽しみましょう!
ABOUT THE DIRECTOR
水江未来
細胞や幾何学模様などをモチーフに抽象的なアニメーション作品を多数制作。﹃DEVOUR DINNER﹄(08)がアニマドリード準グランプリを受賞。﹃MODERN No.2﹄(11)はベネツィア国際映画祭オリゾンティ部門にノミネートし、アヌシー国際アニメーション映画祭では音楽賞を受賞。国内外の映画祭で審査員を務め、回顧上映なども行われている。山田悠介﹃ブレーキ﹄の表紙、小説すばるにて平山夢明の扉絵を手がけるなど、イラストレーターとしても活躍。
ABOUT THE MUSIC
パスカルズ
ロケット・マツ率いる14人編成のアコースティックオーケストラ的なグループとして、独自なサウンド を築く。オモチャの楽器やピアニカ、バイオリン等を使ったサウンドは軽妙な中にエスプリやユーモアを配し、他にはない開 放感を聴く人に与える。﹁東洋独特のデリケートなメロディ。﹂﹁ 冒険心、遊び心﹂などと、フランスの多くの音楽誌に絶賛される。 音楽性としては、テクニックやジャンルに頼らない表現を探し、日本という事を確認しながら、出来るだけニュートラルな自由なイメージを目指している。
Risks and challenges
インディペンデント、そして抽象アニメーションを制作し続けていくこと自体が、とても挑戦的な試みです。今回の﹁WONDER 365 ANIMATION PROJECT﹂そして﹃WONDER﹄の制作は、水江未来の13年間のキャリアの中でも最も大きなチャレンジとなりました。文化庁の助成を受けたのは幸いでしたが、この1年がかりのプロジェクトを成し遂げるために、日本以外でも資金を探す必要に迫られたことも、今回キックスターターでのチャレンジの理由でもあります。リスクとしてあげられることは、デジタルシネマ化が急速に進む中で、あえてすべての作画を手描きでおこない、生楽器の音楽を付け、35ミリフィルムで上映するということでしょう。
﹃WONDER﹄は、監督を含め3人というミニマムなチームです。そのミニマムなチームが抱える最大のリスクは、365秒の抽象アニメーション製作/制作の作画・音楽・上映形態に、たっぷり手間をかける贅沢ということ。しかし、その最大のリスクは、みなさまのサポートの力で最高に贅沢なサプライズに生まれ変わると信じています。
みなさまのサポートに、心から感謝いたします!
プロジェクトのリワード一覧
| SAKURA | 5ドル
﹁Thanks﹂として本編にクレジット
| ORIGAMI | 15ドル
・﹃WONDER﹄HDパスワード付きリンク︵無期限/オンラインスペシャルプレミアを予定︶
・デスクトップピクチャー︵HD︶5点
・SAKURA
| KIMONO | 25ドル
・﹃WONDER﹄全原画pdf︵8760枚︶
・SAKURA+ORIGAMI
| FUJIYAMA | 40ドル
・サイン入り﹃WONDER﹄DVD︵リージョンフリー︶
・﹃WONDER﹄グリーティングカードセット
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO
| BONSAI | 65ドル
・サイン入りDVD﹁Japanese Independent Animators Vol.01水江未来作品集2003-2010﹂︵CALF︶
・水江未来未収録作品オンライン視聴リンク︵キックスターター限定版︶
・﹃WONDER﹄ポスター︵A1サイズ︶
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA
| IKEBANA | 100ドル︵限定20︶
・水江未来過去作品原画﹃LOST UTOPIA﹄﹃DEVOIR DINNER﹄﹃JAM﹄の中から1枚︵サイン入り︶
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA+BONSAI
| MATSURI | 300ドル︵限定15︶
・今回のために水江未来が描き下ろす、各1点もののオリジナルドローイング︵B5サイズ / サイン入り︶
・﹃WONDER﹄オリジナル扇子
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA+BONSAI
| UKIYO-E | 1,000ドル︵限定5︶
・今回のために水江未来が描き下ろす、各1点もののオリジナルドローイング︵B3サイズ / サイン入り︶
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA+BONSAI
︻特典︼あなたの町の映画祭、またはあなたが参加する映画祭に、監督とプロデューサーが参加している際は、上映会ペア招待券+ワンドリンクチケットをプレゼント。一緒に乾杯しましょう!︵あなたが参加していて、監督とプロデューサーが参加していない際は、上映会ペア招待券をプレゼント︶
| BANZAI | 2,000ドル︵限定5︶
・今回のために水江未来が制作する、1秒のループ動画
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA+BONSAI
︻特典︼あなたの町の映画祭、またはあなたが参加する映画祭に、監督とプロデューサーが参加している際は、上映会ペア招待券+ワンドリンクチケットをプレゼント。一緒に乾杯しましょう!︵あなたが参加していて、監督とプロデューサーが参加していない際は、上映会ペア招待券をプレゼント︶
| HANABI | 3,000ドル︵限定3︶
・水江未来デザインオリジナル時計︵dedegumo︶
・本編に﹁Special Sponsor﹂としてクレジット
・SAKURA+ORIGAMI+KIMONO+FUJIYAMA+BONSAI
︻特典︼あなたの町の映画祭、またはあなたが参加する映画祭に、監督とプロデューサーが参加している際は、上映会ペア招待券+ワンドリンクチケットをプレゼント。一緒に乾杯しましょう!︵あなたが参加していて、監督とプロデューサーが参加していない際は、上映会ペア招待券をプレゼント︶
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