2016年1月から2月にかけて日本橋で行われた、五感で花を楽しむ体感型イベント﹁FLOWERS BY NAKED﹂。テクノロジーを駆使して現出させた魅惑的な世界が女性を中心に人気を集め、およそ1ヶ月間で7万人以上を動員した。
新たに、7月30日︵土︶から8月31日︵水︶にかけて、その﹁FLOWERS BY NAKED﹂がパワーアップして再び開催となり、会場の六本木・東京ミッドタウンホールでは、初日から約200人の行列ができるほどの盛況を迎えた。
同日行われたメディア内覧会では、今回の﹁FLOWERS BY NAKED﹂のテーマソングを歌う新進気鋭の19才シンガーソングライター・出雲咲乃さんによるライブも行われ、会場全体を舞台にしたスペシャルパフォーマンスでギャラリーを魅了した。
現実と虚構の狭間で咲き誇る﹁FLOWERS BY NAKED﹂
「FLOWERS BY NAKED」より「BIG BOOK」
﹁FLOWERS BY NAKED﹂は、デジタル/アナログを掛け合わせて、視覚だけではなく、聴覚や嗅覚、味覚、触覚といった五感に訴えかける、都心の一角で花をモチーフにした映像や体験コンテンツを楽しむことができるイベント。
「FLOWERS BY NAKED」を手がけたNAKED Inc.創始者の村松亮太郎さん。これまで数々の賞を受賞し、近年では東京駅や『進撃の巨人』などのプロジェクション・マッピングで高く評価されている
冬に行われた前回は、この先に訪れる春を思って桜をモチーフにしたアートなどが披露された「秘密の花園」という位置付けだったが、対称的に、夏真っ盛りに開幕した今回の「FLOWERS BY NAKED」は、トロピカルな「
魅惑の楽園」をイメージしているという。
「FLOWERS BY NAKED」より「SUNFLOWER」
会場では、映像として投影された花々が、来場者が介入できるインタラクティブなコンテンツの数々に組み込まれている。
アートなのかエンタメなのか、アナログなのかデジタルなのか──テクノロジーを駆使して現実と虚構の狭間で咲き乱れる花々は、六本木・ミッドタウンの会場を幻想的な異世界に変貌させた。
出雲咲乃の初ライブ、生命謳う楽曲﹁はないちもんめ﹂を披露
内覧会の目玉は、遂にヴェールを脱いだ夏仕様の﹁FLOWERS BY NAKED﹂はもちろん、弱冠19才ながらBS朝日のスペシャルドラマ﹃女優墜ち﹄主題歌に抜擢されたシングル﹁当流女﹂で4月にデビューを果たした出雲咲乃さんによるスペシャルライブだ。
この日は、﹁北九州生まれの19才﹂という以外、その素顔を含めて一切が謎に包まれていた彼女の初ライブパフォーマンスのお披露目でもあった。
司会の合図と共に、出雲咲乃さんの姿が、会場の中央、来場者がハッシュタグをつけて投稿した写真が投影されるコンテンツ﹁BLOOM! BLOOM! BLOOM!﹂の巨大円形スクリーンに映し出される。
広い会場を、全部で9つの﹁FLOWERS BY NAKED﹂コンテンツを一つ一つ巡って、花の世界と一体になりながら、﹁FLOWERS BY NAKED﹂のためだけに書き下ろしたという﹁はないちもんめ﹂を歌唱。
うっそうと生い茂る森のような会場を巡り歩きながら、花を愛でるかのように一語一語噛みしめて艶やかに歌い上げる。現実とも幻想ともつかない﹁FLOWERS BY NAKED﹂と共振し、まるで彼岸から歌いかけられているかのような感覚に包まれた。
そして、会場をグルリと回って、ついにスクリーンの映し出されているステージにたどり着いた出雲咲乃さん。大ぶりな花の仮面で覆われた彼女の表情までは読み取れないが、集まった大勢の記者らの前で、堂々と歌い切った。
全力で咲き誇る花の瑞々しさと儚さを歌い上げた﹁はないちもんめ﹂は、﹁FLOWERS BY NAKED﹂のパンフレットを見てインスピレーションが一気に湧いて、すべて合わせて3日ほどで制作したという。
ライブ後、村松亮太郎さんと共に登壇し、MCの質問に答える彼女は、毅然とした響きを帯びた歌声とは裏腹に、少しはにかんだ、年相応のあどけない表情も覗かせた。
﹁︵﹁FLOWERS BY NAKED﹂のような︶日本のアートはすごく好きで、世界に羽ばたいてほしいと思っています。自分自身も世界に羽ばたいていきたいと思っているので、このような素敵な機会に関わることができ、とても嬉しかったです﹂︵出雲咲乃さん︶
7月から放送中の読売テレビ・日本テレビ系のドラマ﹃遺産相続弁護士 柿崎真一﹄主題歌に新曲﹁世界のしかけ﹂が抜擢されるなど、活躍の場を広げているシンガーソングライターの、記念すべき初ライブ。
一曲だけのパフォーマンスながら、日本語の美しい響きと重みをわきまえた、19才とは思えない世界観を漂わせる歌詞と、異国情緒あふれる優雅なメロディは、﹁FLOWERS BY NAKED﹂の開幕を告げるに相応しいステージとなった。
鑑賞するだけではない、体験する楽しさ
「FLOWERS BY NAKED」より「MOSAIC FLOWERS」
8月31日まで開催されている﹁FLOWERS BY NAKED﹂は、単に鑑賞し愛でるだけの展示ではなく、来場者のアクションを取り込んだインタラクティブなイベントとなっている。
壁際のスクリーンに立つとその人の花が咲いて花言葉を教えてくれる﹁MOSAIC FLOWERS﹂。蓮の茎を形どったモニュメントに触れると、3DCGで投影された頭上に雨が降り注ぐ水面から晴れ間が差し込む﹁LOTUS﹂。
「FLOWERS BY NAKED」より「LOTUS」
中央に据えられた花のオブジェに触れると、植物や花々、鳥や魚たちが躍動する箱庭型のインタラクティブアート「LIFE」といった、幻想的でしなやかな力強さをもった作品の数々が所狭しと用意されている。
「FLOWERS BY NAKED」より「LIFE」
すでに前回訪れた方もそうでない方も、是非、むせ返るような花の匂いが立ち込める﹁FLOWERS BY NAKED﹂で、視て、触れて、体験してみてほしい。
にいみなお
執筆
/ KAI-YOU.net Chief Editor
1987年生まれ。ポップポータルメディアのサブスクリプションサービス﹁KAI-YOU Premium﹂編集長/株式会社カイユウ取締役副社長 。
ポップリサーチャーとして、アニメ、マンガ、音楽、ネットカルチャーを中心に、雑誌編集からイベントの企画・運営など﹁メディア﹂を横断しながらポップを探求中。
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