舌鋒鋭いコメントで人気を博し、テレビで見ない日はないドラァグ・クイーンのマツコ・デラックスさんだが、意外にもメディアに単独インタビューという形で登場することは近年ほとんどない。特にWebメディアでは皆無と言っていい。
自著﹃デラックスじゃない﹄︵双葉社︶などを読むと、インターネットに対する批判的な意見も目立つ。
テレビとネットをめぐる状況としては、ネット上でテレビの信用性が疑問視され、いつの間にかテレビはネットの仮想敵となっていた。一方で、2016年末にはWELQ問題︵関連記事︶などもあり、ネット上の情報の信頼性を巡る議論はテレビでも取り沙汰されている。
今、テレビを代表するタレントとして活躍するマツコさんは、Webメディアをはじめとするインターネットをどう見ているのか?
同時に、筆者には、テレビに映るマツコさんは、彼︵マツコさんはゲイという性自認なので、女装をしていても﹁彼女﹂とは併記しない︶自身のパーソナリティを大っぴらに開示することをあえて避けているように見えていた。
異性装でパフォーマンスを行う﹁ドラァグクイーン﹂として女装してテレビに登場するマツコさんだが、︵もちろん言及することはあれど︶テレビで﹁ゲイである自身﹂を前面には押し出していない。
しかし、大衆はそんなマツコさんの意見を求めている。その理由について、マツコは自著の中で﹁アタシはヒエラルキーの中にすらいない﹂からだとしている。
マツコさんは自身のパーソナリティを表に出さず、ヒエラルキーの外側にいながら、テレビを中心に祭り上げられている。そんなマツコさん自身の欲望はどこにあるのか? なぜ、彼はテレビに出続けているのか?
ゲイとしての立場からも執筆している筆者︵関連記事︶は、以前から話を聞いてみたいと思っていた。
一人の人間がメディアで発信をするとは、どういうことなのか? マツコ・デラックスさんに質問をぶつけてみた。
取材・文‥須賀原みち 編集‥新見直
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