先日、﹁FUJI ROCK FESTIVAL '19﹂ラインナップ第2弾での出演が発表された、シンガーソングライター・澤部渡さんによるソロプロジェクト・スカート。
— 澤部渡 (@skirt_oh_skirt) 2019年3月8日
近年では、藤井隆さんのアルバムへの楽曲提供や、テレビ番組﹁山田孝之のカンヌ映画祭﹂のエンディング曲・劇伴担当、スピッツや鈴木慶一さんのレコーディングに参加するなど、着実に活躍の幅を広げている。
そんなスカートの魅力を知るうえでこれだけは外せない、という︵純然たる筆者の好みで選んだ︶珠玉の5曲をご紹介する。これだけでも聞いておけばフジロックのスカートのライブがさらに楽しめるだろう。
ちなみに、高校生シンガーソングライター・崎山蒼志さんを発掘した﹃日村がゆく!﹄で、当時審査員として出演していたのも、澤部渡さんだ。
老若男女に染み渡る「不健康ポップバンド」
2010年、自主レーベルから1stアルバム﹃エス・オー・エス﹄をリリースさせたことから、活動が本格化したスカート。
2014年に所属レーベルをカクバリズムに移したのち、2016年に発表したアルバム﹃CALL﹄が高い評価を受け、一気に注目を集めた。
世代や性差を超えて愛されるべきポップな楽曲群は、いずれもどこか憂いを帯びた風のようでもあり、聴く者の心にさざ波を立ててゆく。
今年1月からApple musicやSpotifyといったサブスクリプションサービスでの配信開始と同時に、メジャー2ndシングル﹃君がいるなら﹄と2017年に発売されたメジャー1stアルバム﹃20/20﹄のLP盤もリリースされた。
新進気鋭のイラストレーターや漫画家が手がけるアートワークも、スカートの作品世界を彩る大事な要素のひとつ。
配信により手軽にさまざまな楽曲に触れられるのは便利だが、そこで完結してしまうのは少しもったいない。
サブスクで気に入った楽曲・アルバムに出会えたなら、ぜひ一度CD・レコードショップでもパッケージを手に取ってみてほしい。
独断と偏見で選んだ、スカートの名曲5選
アルバム『CALL』より。個人的には、アルバムの中で1、2を争う名曲。
詩的な歌詞の美しさが極まっており、なにやら心がざわつくような、それでいてメロディは耳心地が良いような、なんとも不思議な曲。余談だが、
豊田徹也さんの同名漫画『
アンダーカレント』の空気感に似ている気がする。
シングル『静かな夜がいい』より。絶妙に変な夢っぽいPVが良い(漫画好きな澤部さんらしい小ネタもポイント)。
比較的疾走感のあるポップスで、夜のハイウェイを駆けながら……というよりは自転車や原付で夜道を走るときに聴きたくなる。
アルバム﹃CALL﹄より。アルバム内最長の約5分という、しっとりと聞き応えのある楽曲。カクバリズム移籍後の1作目は、この﹁シリウス﹂を表題作とした12インチのシングル盤である。
ジャケットのイラストは﹃惑星9の休日﹄﹃夜とコンクリート﹄で知られる漫画家・町田洋さんということもあり、ぜひともフィジカルリリースされたものをゲットして楽しんでいただきたいところ。
アルバム﹃20/20﹄より。軽快なイントロから始まるグルーヴ感が心地よい。
ものすごく月並みなことを言うと、﹁始まりの季節に口ずさみたくなるような﹂1曲だが、本当のことなのだから仕方がない。
字面どおりに受け取れば前向きな歌詞なのだが、どこか切なさが漂っているというのがスカートらしさ。
アルバム﹃サイダーの庭﹄より。透きとおるような歌声がエモーショナルに響くサビに心を掴まれる。今年1月にリリースされたシングル﹃君がいるなら﹄にも現体制での再録版が収録されており、こちらももちろん必聴である。
紹介した5曲を含め、スカート楽曲はとにかく聴き心地が良い。
しかしそれは、ただ右から左に抜けてゆくということではなく、ちょっとしたアレンジや歌詞のワードチョイスなどにフックがあり、それがじんわりと胸に沁み込んでいくのだ。
フジロックでも、一度少しだけスカートのステージで立ち止まって欲しい。きっと、あなたの心に残る何かがあるはずだ。
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