ライブに配信イベント、MVやCMまで。様々な場面で我々の目に触れ、決定的な印象を与える映像作品の数々。
そんな映像を手掛けるクリエイターの中で異彩を放つのが、22歳という若き俊英・
Nate(ねいと)さんだ。
プロゲーミングチーム・Crazy Raccoonのクリエイター部門唯一のメンバーとして所属し、﹁Crazy Raccoon Cup﹂のオープニング映像を担当。FPSゲームが人気を博し、ストリーマーがポップスターとなった現代において、映像作家としても独自の立場を築き上げている。
そんな彼は6月4日︵土︶、新たにクリエイティブチーム﹁nim﹂を設立。チームとして、クリエイターとして新たな一歩を踏み出す。
Nateさんはどのような道を歩んで、今ここに立っているのか。映像制作のルーツはどこにあるのか。前編ではCGを用いて﹁視覚からの快感﹂を生み出す、映像に込めたこだわりに迫る。
──動画制作や動画投稿は最初﹃うごメモ﹄からスタートしたということですね?
Nate はい、実は意外と﹃うごメモ﹄から映像制作を始めた人が僕の世代には多いんです。僕は今22歳なんですけど、同じぐらいの世代の映像作家には過去に﹃うごメモ﹄をやっていたっていう人がちらほらいますね。
﹃うごメモ﹄では、ちゃんと作品を﹁うごメモシアター﹂という掲示板サイトに投稿できたんですよね。
YouTubeとかニコニコ動画とかみたいに、作品を投稿してコメントをもらったり、スターをもらう。そういう観てくれる人とのやりとりにもめちゃくちゃハマって、それでPCでも同じようなことをやろうとした流れで映像制作を始めたんです。
魅せられたCGの世界
──自身のクリエイティブにおいて中心的な役割を担っている、CGの魅力はどこにあると考えていますか?
Nate 自分の頭の中で想像していることを形にできることですかね。簡単に言うと、そこが決定的に︵実在するものを︶カメラで撮る実写映像と違うところです。
僕のつくる映像では、現実にはありえないものが登場したり、あり得ないことが起きたりする。自分の頭の中で﹁こんなことさせたいな﹂﹁こんなことやりたいな﹂と思ったことを自由自在にできるのがCGの魅力だと思ってます。
──逆に実写の映像を使ってみようと思うこともあるのでしょうか?
Nate 部分的に取り入れたり、実写素材の上にCGのグラフィックを乗せたりすることはたまにあるんです。
ただ、僕個人としては﹁リアルにないことを表現したい﹂というモチベーションがあるので、CGを採用することが多いですね。僕が頭で想像したことは、僕の頭の中だけにしかないわけじゃないですか。
他の人には伝えられないのがもどかしいので、﹁俺こんなにすごいこと頭の中では考えてるから﹂とみんなに共有したいというか。シェアハピです︵笑︶。
──映像制作において、影響を受けた人はいらっしゃいますか?
Nate 初めの頃は、日本のmurAta Yuziさんに影響を受けていました。
もちろん、いろいろな映像作家の作品をVimeoやBehanceで観たんですけど、特にこの人の映像が大好きで、僕の今の作風の原型になってます。ボカロP・かめりあさんの﹁ココロの質量﹂のMVは映像1フレームずつ研究しましたね。
量 ︻Dubstep︼
感覚的な動きや、音とのシンクロみたいなところがめちゃくちゃ気持ちいい。VJもされている方なので、音楽と視覚的な情報が密接に関わる分野が得意なんだと思います。直接お会いしたこともあって、そのときは﹁本当に本当に大好きです、めちゃくちゃ影響されてます﹂って告白しました︵笑︶。
──海外のクリエイターではどうですか?
海外にも影響を受けた人はたくさんいます。アメリカのAndrew Kramer︵アンドリュー・クレイマー︶さん、中国のSOMEIさんやzaoeyoさんはリスペクトして参考にもしています。
特に、Andrew Kramerさんは日本で開催されたイベントで、僕を﹁若き日本人アーティスト﹂みたいに紹介していただいたこともあり、個人的にめっちゃ良くしていただいています。
Andrew Kramerさんはソフトの使い方などのチュートリアル動画をYouTubeに出していて、そういう他のクリエイター育成の姿勢も含めて憧れている存在ですね。
— Nate / ねいと (@nate_nate_co) December 20, 2019
──Nateさんご自身が﹁映像について語らせてくれ﹂というタイトルで配信されているのもそういった意図からなんでしょうか?
Nate そうですね。ただ、Andrew Kramerさんがやってることって映像をつくっている人向けのコンテンツなんですよね。
僕はちょっと違って、どっちかというと映像を知らない人に向けて配信しています。いずれ、もうちょっと技術的なことを話すチュートリアル動画のようなものを撮る気がないわけではないんですけど、現段階ではまだかなって思いますね。
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