日本大百科全書(ニッポニカ) 「タコ」の意味・わかりやすい解説
タコ
たこ / 蛸
鮹
章魚
octopus
devil fish
軟体動物門頭足綱八腕形目に属する動物の総称。
形態
分類
生態
漁業
食品
民俗
タコは西洋ではデビル・フィッシュ(悪魔の魚)といわれているが、日本では人間に好意的な、賢くていたずら好きとイメージされる。薬師如来(やくしにょらい)が海上をタコに乗ってやってきたという伝説の蛸(たこ)薬師は、京都市や東京都目黒区など各地に存在しており、大阪府岸和田市などには、タコを禁食して祈れば眼病や吹き出物、いぼなどに霊験があるという蛸地蔵もある。また愛知県知多(ちた)郡の日間賀(ひまが)島では、毎年1月に蛸祭が行われるが、「タコ木」とよばれる木を沖へ流してタコを釣るしぐさをし、大漁祈願をする。このほか関西地方では、半夏生(はんげしょう)に「半夏蛸」といってタコを食べる風習があり、これは、タコのように大地に吸い付いて、その足のようにイネの広がるのを祝う縁起とされる。怪物的なタコの伝説は、西洋のクラーケンをはじめ、富山県の大ダコが牛馬を襲って食べる話(日本山海名産図会)など各地にあるが、タコがイモ掘りをするとか、新墓を掘り荒らすというような伝説もある。三重県鳥羽(とば)市の畔蛸(あだこ)町は、中秋の名月の夜、タコが田の畔(あぜ)にたくさん上ってきたためにつけられた地名だとされる。
[矢野憲一]
『ロジェ・カイヨワ著、塚崎幹夫訳『蛸』(1975・中央公論社)』▽『井上喜平治著『蛸の国』(1977・関西のつり社)』
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たこ
胼胝腫(べんちしゅ)の俗称で、限局性の角質肥厚をさす。長期間にわたって圧迫や摩擦などの外的刺激を繰り返し受ける部位に、皮膚の防御反応として生ずる。通常は黄褐色調の硬い角板で、表面は平滑または多少ざらざらしている。ときに圧痛を訴えることがある。ある種の職業で特定の部位にできるもの(畳職人の肘(ひじ)だこなど)をはじめ、いわゆるペンだこ、座りだこ、靴ずれだこなどがその例である。治療は、原因を避けその部位に外力を加えないことが先決であるが、対症療法としてはスピール膏(こう)やピック膏などを貼(は)る。
[水谷ひろみ]