アルジェリア(読み)あるじぇりあ(英語表記)People's Democratic Republic of Algeria 英語

精選版 日本国語大辞典 「アルジェリア」の意味・読み・例文・類語

アルジェリア

  1. ( Algeria ) アフリカ北西部、地中海に面した共和国。ローマ、アラブ、トルコの支配を経て、一八三〇年フランス領。一九五八年臨時政府を樹立。一九六二年アルジェリア民主人民共和国が成立。首都アルジェ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルジェリア」の意味・わかりやすい解説

アルジェリア
あるじぇりあ
People's Democratic Republic of Algeria 英語
Jumhūrīya jazā'irīya dimoqratīya wa shābīya アラビア語


西Jumhūrīya jazā'irīya dimoqratīya wa shābīyaal-Jazā'irEl Djazaïr3352007西西西西238174134459729200833481000200634895000200995沿250350141962沿


自然

地形

6500()沿10002000()5001000200019807.5200356.720005003000()()4


気候

降雨は冬季に集中しており、地中海沿岸に多く、南下するにつれ極端に少なくなる。気候区分は地形によく対応し、沿岸平野とテル・アトラス地域が地中海式気候、アトラス高原からサハラ・アトラス山脈までがステップ気候、年降水量200ミリメートルの線が走るサハラ・アトラス山脈南縁より南が砂漠気候である。いずれの地域も夏は乾燥し、気温も高く厳しい暑さとなる。このため建物の壁は厚い。地中海沿岸は冬は温和であるが、アトラス山脈では気温が下がり、高山では積雪をみる。カビリー山地など東部のテル・アトラス山脈では年降水量1000ミリメートルを超す所もあるが、全体に降水量は少なく、大河はなく、農業・工業・都市用水をいかにして確保するかがつねに問題となる。サハラ・アトラス山脈からアトラス高原にかけ、砂漠化が進行しており、政府はこれを食い止めるため「緑の長城計画」(バラージュ・ベールBarrage Vert)とよぶ大規模植林計画を実施している。また幹線道路への砂の堆積を防ぐため、道路の両側に植林している。季節風として、春から初夏にかけサハラから吹き出す、砂混じりの熱風「シロッコ」は有名である。

[藤井宏志]

地誌


沿沿沿()1962沿()

 200400()

 ()()()196019621967退


歴史


沿

 78

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 1830101321870()700100

 

 1945FLNALN1954111FLN()7450FLN195819589FLN19623

 19627391963919644FLN1965619

 197119761977()()1978al-Shādhili Benjadid19292012

 1980()FLN199071992


政治


FIS199061991121FIS退1199212

 19921Mohamed Boudiaf191919926Ali Kafi1928201319941Liamine Zeroual1941 199511461519994Abdelaziz Bouteflika1937202120044200811200943

 19921996FISAISGIA719972003

 19961119976RNDFLN3801220025200752FLNRND26514700015


経済・産業

独立以後の経済の課題は、植民地時代に形成されたブドウ、柑橘(かんきつ)類、鉱産物の輸出に依存する経済、近代的部門と伝統的部門および内陸部と沿岸部との著しい格差、多数の失業者と海外出稼ぎ者などの解消にあった。ブーメディエン時代、石油・天然ガスの輸出収入を基礎に、先進国の融資と技術を導入し、二度の五か年計画で工業化を図った。この結果、沿岸や地方に工場が建設され、「中進国」となったが、一方で農工間格差は拡大し、失業者、労働移住者は減少しなかった。

 1980年以後、石油・天然ガス価格は下落し、建設した工場の操業率も低く、重化学工業化路線は破綻(はたん)した。生活物資も不足し、1988年10月には全土に暴動が起きた。1994年には累積債務が返済不能となり、民営化と通貨切下げ、補助金削減を中心としたIMF(国際通貨基金)および世界銀行の構造調整計画を受け入れた。豊富な石油・天然ガスを生かすため、49%を外国企業に開放して開発を進め、1996年末完成したスペインへの海底ガスパイプラインを使って、ヨーロッパ各国への供給を高めた。1998年にはIMF構造調整計画を予定通り終了し、国営企業の再編・民営化、市場経済化、外国資本の誘致など経済の再建中である。EU(ヨーロッパ連合)加盟の可否も経済発展の鍵(かぎ)であり、2002年にはEUとの連合協定を締結した。

[藤井宏志]

資源

工業化の基礎である石油の埋蔵量は11億4000キロリットル(2007)、年生産量は6387万トン(2007)で、このうち85%を輸出している。油田はハシ(ハッシ)・メサウド、エジェレなどで、地中海沿岸まで500キロメートル以上のパイプラインが必要だが、軽質油であり、ヨーロッパに近接している点で有利である。天然ガス埋蔵量は4兆5000億立方メートルと世界有数である。ハシ(ハッシ)・ルメルに大ガス田があり、海岸へ送って液化したうえで輸出している。1983年イタリアへ、1996年にはスペインへの海底ガスパイプラインが完成。生産は政府が51%資本参加した外国企業が、輸送と販売は国営会社ソナトラックが行い、1991年以降外国企業と協力して開発が進んでいる。このほか地下資源として鉄鉱石(ウェンザなど)、燐(りん)鉱石(ジュベルオンク)、亜鉛、鉛などがある。

[藤井宏志]

農業

独立後、農地の所有形態は、社会主義セクター、農業革命セクター、私的セクターに分類された。前二者は、ヨーロッパ人所有の農園や大地主の農地を国有化し、国営農場(自主管理農場)や協同組合農場に再編したもので、全耕地面積の40%を占めた。私的セクターはアルジェリア人の大農、中農、小農の所有地である。国営農場、協同組合農場では、給与が一定で、政府が販売を管理したため、農民の労働意欲が低下し、農産物の質・量ともに低下した。工業化の過程で農場員の都市流出も起きた。食糧自給率も落ち、食糧輸入は増加した。1987年、社会主義セクターと農業革命セクターは解体され、3万以上の個人経営農場(EAI)と集団経営農場(EAC)に分割された。社会主義セクターもほとんど民営化している。1戸当り10ヘクタールが生活限度のこの国で、私的セクターは平均7ヘクタールと零細農が多いが、50ヘクタール以上の中農、100ヘクタール以上の大農は近代化し収入も多い。

 主要栽培作物は小麦、大麦、ブドウ、柑橘類、野菜、工芸作物、ナツメヤシであるが、国内需要のないブドウは小麦への転換が行われており、2007年の農業人口は300万となっている。遊牧民の伝統があり畜産・酪農にも力を入れている。2007年の家畜統計ではヒツジ1985万頭、ヤギ337万頭、ウシ166万頭、ロバ23万頭、ラクダ29万頭などとなっている。

[藤井宏志]

工業

GDP10沿


貿易

貿97.9200620.827.2


財政

外国からの借入金に依存してきたため債務の元利返済が増加したが構造調整策を実施、石油価格も上昇したので2007年の累積債務総額は40億ドルに減少している。

[藤井宏志]

交通

全長4017キロメートルの鉄道はほとんど植民地時代に敷設されたもので、国営鉄道会社が運営している。道路の建設は独立後も続けられており、とくにサハラ縦断道路の建設に力を入れ、1978年に完成した。2010年時点で、モロッコとチュニジアを結ぶ東西横断高速道路が日本企業により建設されている。航空では20以上の空港があり、主要な国際空港はアルジェのウアリ・ブーメディエン空港とオラン、アンナバ、コンスタンティーヌの各空港で、フランス各都市との路線が多い。国営会社のアルジェリア航空は国内路線を独占している。港湾ではアルジェ、アルズー、オラン、アンナバが主要港である。各港からマルセイユとの間に定期旅客航路がある。

[藤井宏志]

社会


719使使

 199528551998調29102008調3346954150002.80.52.3024591990

 20671999752007

 UGTA


文化


調7

 


日本との関係

独立戦争中、日本の有志がFLNに医療援助などを行ったことから両国の友好関係は密接で、独立後すぐ大使を交換した。経済関係では日本から工業製品を輸入し、天然ガス、原油を輸出している。日本の技術への信頼から日本のプラント輸出が多く、アルジェリアは日本の1977年度(昭和52)プラント輸出相手国の第1位であった。そのほか、世界遺産に登録されたタッシリ岩絵の保存計画など幅広い協力を行っている。大統領ブーテフリカは2000年(平成12)、2004年、2008年に来日している。

[藤井宏志]

『淡徳三郎著『アルジェリア革命』(1972・刀江書院)』『宮治一雄著『アルジェリア社会主義と自主管理農場』(1978・アジア経済研究所)』『宮治一雄著『アフリカ現代史5 北アフリカ』(1978・山川出版社)』『藤井宏志著『アルジェリア非植民地化の地理学的研究』(1982・熊本商大海外事情研究所)』『日本貿易振興会編『ジェトロ貿易市場シリーズ・アルジェリア』(1987・日本貿易振興会刊)』『フアン・ゴイティソーロ著、山道佳子訳『嵐の中のアルジェリア』(1999・みすず書房)』『私市正年編著『アルジェリアを知るための62章』(2009・明石書店)』『シャルル=ロベール・アージュロン著、私市正年、中島節子訳『アルジェリア近現代史』(白水社文庫クセジュ)』


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改訂新版 世界大百科事典 「アルジェリア」の意味・わかりやすい解説

アルジェリア
Algeria



al-Jumhūrīya al-Jazā'irīya al-Dimuqratīya wal-Sha`bīya, Democratic and Popular Republic of Algeria 
2381741km2 
20103598 
Algier9 
 
Algerian Dinar



西685%沿西Tell AtlasSahara Atlas

 沿600mm沿

 71121100︿

18301962132

 

 1192︿13︿Ben Badīs︿4244

 1962

11962-65 19627FLNHouari Būmedīn1927-7819639644FLN656FLN

21965-70 ALNALN︿FLN321971-75 2

431976-78 1976611127727812

51979-91 19791FLNShadlī Ben Jadīd806FLN823FLN

 84888618728810892FLN20FIS9069112FISFLN1

61992-  Muammad Boudiaf1989FIS調FLNFIS926Alī Kāfi976

 19941Lamine Zerroual



 

 

1 119666871

2 196811970-7321974-77240%1967-78GDP2.25

3 11980-84

3%19731970

 便88

 21970

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百科事典マイペディア 「アルジェリア」の意味・わかりやすい解説

アルジェリア

 
al-Jumhuriya al-Jazairiya al-Dimuqratiya wal-Sha biyaDemocratic and Popular Republic of Algeria2381741km234082008Alger236200899Algerian DinarAbdelaziz Bouteflika1935199942009435Abdelmalek Sellal201291976111996112002514463895(2015)GDP17392008GDP3400200623.62003寿70.873.6200731201072.62006        西沿88511956 71618301905119541962 1963196519891991FIS1992119992003120059︿9720074121137FISGIAAQIM2012AQIM20121120131104110837
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルジェリア」の意味・わかりやすい解説

アルジェリア
Algeria

 
  Al-Jumhūrīyah al-Jazā'irīyah al-Dīmuqrāīyah ash-Sha`bīyah
 2381741km2
 452580002021
 

西西沿姿4305317161830196273 FLN7154891 FLN1991 FIS199211999 60% 25% 15%80姿2002  

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旺文社世界史事典 三訂版 「アルジェリア」の解説

アルジェリア
Algeria

 
西西
9西貿313516781516退1830324219沿1919
1954FLN581958610196237FLN1965197619862FLN1198919911FIS892121FIS19936941199511199611976FLN3199871995  

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アルジェリア」の解説

アルジェリア
al-Jazā'ir[アラビア],Algérie[フランス]


西802099.571830132(FLN)19547627()FLN80FIS()()92

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