イルカ(読み)いるか(英語表記)dolphin

翻訳|dolphin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イルカ」の意味・わかりやすい解説

イルカ
いるか / 海豚
dolphin
porpoise


()whalewhite whale


種類と形態


446沿退212040362.2()1530退()3porpoisedolphinporpoisedolphin使1.83.3

(1)23

(2)()

(3)7()

(4)41()()便


感覚


()1()40退200()4261.22


分布


()沿沿3637152014


生態


932007()50沿調50200500210200400500


生活史

イルカの寿命は、人間のそれに近く比較的長いので、個体観察によってその生活史を研究するのは困難である。現在は、歯の象牙(ぞうげ)質やセメント質の中の年輪を数えて、これをもとに生活史を解析している。寿命は普通50~60年、平均成熟年齢は7~10年の種類が多い。ただし、体の小さいネズミイルカ類や一部のカワイルカ類では3~7年で成熟するが、寿命も短い。雄が大きくなるマゴンドウでは、雌の9年に対して雄は平均17年で成熟する。寿命も45年と短い(雌は62年)ので、ゴンドウの社会では成熟雄は少ない。大部分のイルカは死ぬまで妊娠可能であるが、年齢とともに妊娠率は下がる。ただし、マゴンドウの雌は30~40歳で妊娠しなくなる。妊娠期間は10~15か月、小形種ほど短い。1産1子。離乳は早くて1年弱、遅い種で4~5年で完成する。出産間隔は環境、年齢で変わるが、普通2~6年に1回である。

[粕谷俊雄]

保護と利用

イルカの利用は、水族館における見せ物としては世界的に普及しているが、漁業としては小規模なものを除けば日本に限られている。日本では、三陸のイシイルカの突ん棒(つきんぼう)漁、伊豆と和歌山県太地(たいじ)地方のスジイルカ属、マゴンドウ、ハンドウイルカなどの追込み漁で、年間2万頭前後が商業的に捕獲されている。また、巻網、刺網などにかかって多くのイルカが死亡したり、イルカの漁業妨害、およびそれに伴う人間との魚の配分をめぐる争いは世界各地で発生し、自然保護と漁業のあり方が問題となっている。インダスカワイルカのように、灌漑(かんがい)用のダム建設によって生息数が1000頭程度に減少した種類もある。

[粕谷俊雄]

民俗

ギリシア神話では、イルカはつねにポセイドンのお供をしている。ポセイドンは水の神で、そのシンボルは三本またのやすである。このやすで海面をたたけば海は荒れて大時化(しけ)となるし、陸上の岩を突けばそこから水が噴出する。ヘレニズム時代になるとイルカは想像上の動物と化して、その尾はやすのように三つまたとなっている。他方、中国では漢の武帝(在位前141~前87)の時代に西域との交易が盛んとなり、絹と交換でヘレニズム文化も入ってきた。そのなかにイルカもあった。当時の宮殿柏梁台(はくりょうだい)が火災にあって焼け、その跡に建章宮を建てたが、このとき越(えつ)の巫子(みこ)が次のように進言した。海中に虯(きゅう)という魚がいて、その尾は鴟(し)に似ている。この尾で波をかき回せばたちまちにして雨が降る。火災予防のため、この動物の像を大屋根の上にのせるべきである。この進言に従ったものが鴟尾(しび)の起源であり、その動物は明らかにギリシアのイルカである。

 この鴟尾は日本にも輸入されて、東大寺大仏殿の鴟尾となったが、ここではあまりに抽象化されて、何の像かわからなくなっている。鴟尾が本来の形に戻ったのは、織田信長が1576年(天正4)に築いた安土(あづち)城以後のことであり、それが名古屋城の金の鯱(しゃち)(金鱐(きんしゅく))にまで発展するのである。

[大村秀雄]

『西脇昌治著『鯨類・鰭脚類』(1965・東京大学出版会)』『シュライパー著、細川宏・神谷敏郎訳『鯨』(1965・東京大学出版会)』『黒木敏郎著『イルカと人間』(1973・講談社)』『大村秀雄著『鯨の生態』(1974・共立出版)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「イルカ」の意味・わかりやすい解説

イルカ (海豚)
dolphin
porpoise


DelphinoideaDelphinidaePhocoenidaeMonodontidae4mPlatanistoideadolphinwhalewhite whale1.42.5m546退porpoise

 17332234122kg6kg1.2%2%

 3沿1520414

 9105050200500210

 

 寿506081035寿15101711261245

 15000



姿沿1


使

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イルカ」の意味・わかりやすい解説

イルカ
Delphinidae; dolphin; porpoise

一般にハクジラ類のうち,バンドウイルカマイルカなどクジラ目マイルカ科に属する小型種,イシイルカスナメリなどネズミイルカ科に属する種およびカワイルカ類をさす。しかしながらマイルカ科のオキゴンドウハナゴンドウなどはゴンドウクジラ類と呼ばれることも多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

367日誕生日大事典 「イルカ」の解説

イルカ

生年月日:1950年12月3日
昭和時代;平成時代のシンガー・ソングライター;絵本作家

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

栄養・生化学辞典 「イルカ」の解説

イルカ

 小型の歯クジラで,肉を食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイルカの言及

【桟橋】より


dolphinpontoonpontoon bridge

【クジラ(鯨)】より


porpoise

【マイヨール】より


︿︿ 10

【真脇遺跡】より

…その下からは中期中葉の土器(下山田式土器)を豊富にもつ包含層が続き,さらにその下に前期末から中期初頭の朝日下層式土器の包含層がある。この層には口縁部を粘土ひもや彫刻で華麗に飾り,円筒形の胴に東北日本に多い木葉状撚糸(よりいと)文を縦に施した土器がきわめて多数出土し,その間に足の踏場もないほどイルカの頭骨や脊椎骨が散乱している。イルカの骨は上層からも検出されるが,この層ほど保存が良好ではない。…

※「イルカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android