デジタル大辞泉 「カルシウム拮抗薬」の意味・読み・例文・類語 カルシウム‐きっこうやく〔‐キツカウヤク〕【カルシウム×拮抗薬】 《calcium antagonist》狭心症や心筋梗塞こうそくの治療薬。カルシウムチャネルに結合し、血管平滑筋へのカルシウムの流入を抑制して筋を弛緩しかんし、血管を拡張する。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルシウム拮抗薬」の意味・わかりやすい解説 カルシウム拮抗薬かるしうむきっこうやくcalcium channel blockers 強い血管拡張作用を有する薬剤。細胞内へのカルシウム︵Ca︶の流入を阻害し、冠動脈︵心臓の動脈︶を含む末梢(まっしょう)血管の拡張作用、心収縮力の抑制作用などを有する。おもに血管拡張作用による血圧降下を目的に、血圧降下薬として使用されているが、冠動脈の拡張作用と心収縮力の低下による酸素消費量の減少作用などから、作用時間が長いものは狭心症︵冠攣縮(れんしゅく)性狭心症︶治療薬としても用いられる。また、心房細動︵頻脈︶による頻脈性不整脈などに対する抗不整脈薬として用いられる薬剤もある。 カルシウム︵Ca︶拮抗薬は、その化学構造により末梢血管拡張作用が強いジヒドロピリジン︵DHP︶系と、末梢血管拡張作用は弱いものの心収縮力や心房伝達抑制作用をもつベンゾチアゼピン︵BTZ︶系に大別されており、血圧降下薬としてはおもにDHP系薬剤が、抗不整脈薬としてはBTZ系薬剤が汎用されている。 注意すべきおもな副作用としては、頭痛、動悸(どうき)、ほてり感、浮腫(ふしゅ)、消化器症状︵便秘など︶などがあげられている。 具体的な製剤名には以下のようなものがある。 (1)血圧降下薬としてのみ使用されるCa拮抗薬 アゼルニジピン、シルニジピン、ニルバジピン、バルニジピン塩酸塩、フェロジピン、マニジピン塩酸塩︵いずれもDHP系薬剤︶。 (2)血圧降下薬・狭心症治療薬として使用されるCa拮抗薬 アムロジピンベシル酸塩、エホニジピン塩酸塩エタノール付加物、ニカルジピン塩酸塩、ニトレンジピン、ニフェジピン、ベニジピン塩酸塩︵いずれもDHP系薬剤︶。 (3)血圧降下薬・狭心症治療薬・抗不整脈薬として使用されるCa拮抗薬 ジルチアゼム塩酸塩︵BTZ系薬剤︶。 (4)狭心症治療薬・抗不整脈薬として使用されるCa拮抗薬 ベラパミル塩酸塩、ベプリジル塩酸塩水和物︵いずれもBTZ系薬剤︶。 ﹇北村正樹 2024年2月16日﹈ [参照項目] | 狭心症 | 血圧降下薬 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例