翻訳|hawk
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』に、摂津国(兵庫県・大阪府)で飼われていたタカが、人々を脅かしていた大蛇を退治した話が載っているが、このほかに、遠征の帰途家臣の裏切りで孤島に残された英雄百合若大臣(ゆりわかだいじん)が、愛鷹(あいよう)「緑丸」の助けにより故国への復帰を遂げたという話も有名である。他面、タカに愛児をさらわれたという話もあり、飛騨(ひだ)(岐阜県)に伝わる手毱唄(てまりうた)に、「一人もらった男の子、鷹にとられて今日七日――」というのがあり、東京の子守唄にも「泣くとお鷹にとられます、黙ってねんねんねんねんよう」というのがあった。また、タカの鋭い目玉を眼病の霊薬とした所もあった。羽は矢羽として珍重されたせいか、タカが自らの抜け羽を深山の岩の間にしまっておく羽蔵をみつけると、一生楽に暮らせるという話もあった。
[最上孝敬]
古代エジプトでは、タカはその飛翔力(ひしょうりょく)から、天空を支配する神格と結び付けている。エジプト人は天空はタカの頭であると考え、右目が太陽、左目が月であるとした。太陽の神ホルスの名は、天空を飛ぶタカに由来し、ホルスは五色の翼をもつタカ、あるいはタカの頭部をもつ神の姿で表現された。オーストラリアの先住民の火の起源神話では、タカが特徴的に登場している。タカが最初に火をおこしたとか、他の動物のもっている火を人間のなかに広めたとかいう。ボルネオ島の先住民には、タカを神の使者とするものが多い。タカを祀(まつ)ると幸いがあるとか、タカを見た人はよいことがあるとかいう。タカの飛び方で吉凶を判断する民族もある。タカが円を描いて飛ぶと多数の人が死ぬなどという。アイヌ民族では、タカは悪い神に食物を供給する料理番であると伝えるが、タカそのものはよい神で狩猟のときに獲物を追い出してくれるという。熊送り(くまおくり)と同類のタカ送りの儀礼を行う習慣もあった。タカを籠(かご)に入れてたいせつに飼育し、殺すとき、タカのようなりっぱな射手になるようにと祈ると、聞き入れられるという。
[小島瓔]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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