世界の観光地名がわかる事典 「バルトブルク城」の解説 バルトブルクじょう【バルトブルク城】 ドイツ中部、チューリンゲン州のアイゼナハ︵Eisenach︶郊外の山上に建つ古城。世界遺産に登録されている。この城は、1067年にルーヴィヒ・デア・シュプリンガー伯爵によって建てられたといわれる。アイゼナハの町の歴史も、この城の建設から始まった。このように創建は11世紀に遡るが、現存する建物の多くは19世紀のものである。ここはさまざまな歴史を秘めた城でもある。ワーグナー︵Wilhelm Richard Wagner、1813~1883年︶が作曲した歌劇﹃タンホイザー﹄のモチーフとなった中世のタンホイザー伝説の一つで、中世の騎士が抒情詩(じょじょうし)を競い合った歌合戦の舞台となったのはこの城である。また、死後奇跡を起こして聖人に列せられた聖女エリザベートは、この城に4歳で嫁いできたハンガリーの王女である。さらに、ルターの破門宣告後に開かれたヴォルムス帝国議会に出席したマルティン・ルター︵Martin Luther、1483~1546年︶は、この城に匿われて、ドイツ語訳の﹁新約聖書﹂を完成させた。後年、ルターを尊敬していたゲーテ︵Johann Wolfgang von Goethe、1749~1832年︶は、ワイマール公国の宰相時代にしばしばこの城を訪れ、城の補修を指示したともいわれている。城内には博物館があり、この城ゆかりの品々が展示されている。その中には、中世ドイツの彫刻家リーメンシュナイダー︵Tilman Riemenschneider︶の作品もある。また、ルターが新約聖書をドイツ語に翻訳した小部屋︵Lutherstube︶も訪れることができる。 出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報