改訂新版 世界大百科事典 「ロトルー」の意味・わかりやすい解説
ロトルー
Jean de Rotrou
生没年:1609-50
フランスの劇作家。パリに近いドルーで生まれる。19歳で処女作の悲喜劇︽憂鬱症患者︾を発表。翌年からブルゴーニュ座の座付作者となり,あふれる才能のままに多くの喜劇,悲喜劇,悲劇を書き,当時の大作家コルネイユに次ぐ人気劇作家であった。スペイン劇に影響を受け,波乱に富んだ筋を巧みに構成し飽きさせない。喜劇では彼の最高傑作ともいわれる︽二人ソジー︾︵1637︶,イタリア劇をまねた︽妹︾︵1645︶,悲喜劇では︽迫害されたロール︾︵1638︶,悲劇では古典悲劇の最初の作ともいわれる︽死にゆくエルキュール︾︵1634︶をはじめとして,︽聖ジュネ正伝︾︵1645︶,︽バンセスラス︾︵1647︶,︽コスロエス︾︵1648︶などが代表作。猩紅熱蔓延︵まんえん︶のときに退去せず,敢然として市の陪席判事の職に殉じた。総じてバロック劇作家の代表といえよう。
執筆者‥伊藤 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報