下垂体(読み)カスイタイ

デジタル大辞泉 「下垂体」の意味・読み・例文・類語

かすい‐たい【下垂体】

脳下垂体のうかすいたい

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精選版 日本国語大辞典 「下垂体」の意味・読み・例文・類語

かすい‐たい【下垂体】

  1. 〘 名詞 〙のうかすいたい(脳下垂体)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「下垂体」の意味・わかりやすい解説

下垂体
かすいたい


()

 ()()10×13×6()3()()()()()()調


下垂体ホルモン


(1)(2)(3)(4)()(5)6()尿294

(1)GH 191α()

(2) 191ε()

(3)TSH 96α113β()β

(4)ACTH 39

(5)FSH 90α115βδ()()

(6)LH 89α119βδ

(7)MSH 13

(8) 8

(9)尿ADH 8尿尿


動物の下垂体

脊椎動物のうち、無顎(むがく)類(ヤツメウナギ、ヌタウナギなど)では、ラトケ嚢の下方から唇が前方に伸びるため新たな腔所(こうしょ)ができる。この腔はやがて頭部前上方に移動し、最終的には入口は鼻孔となり、先端部の結合組織内に腺性下垂体が生じる。すなわち、無顎類の腺性下垂体は、他の脊椎動物におけるような口陥構造ではなく、鼻下垂体管の鼻咽頭(びいんとう)粘膜から発生する。彼等より進化した軟骨魚類の腺性下垂体には、腹葉とよぶ特殊な構造があるが、この腹葉は四足動物の隆起葉(結節部ともいい、前葉、中葉の上部にあり、血管網が発達している)の変形である。一方、硬骨魚類の条鰭(じょうき)類には腹葉がなく、腺性下垂体は、前葉(主葉)頭部、前葉尾部、中葉に分けられる。軟骨魚類、硬骨魚類の全骨類と総鰭類、鳥類にも前葉に区分があるが、両生類、爬虫(はちゅう)類、哺乳(ほにゅう)類には区分がない。また、鳥類やある種の哺乳類には中葉が存在しない。

 神経性下垂体の神経葉(後葉と同義に用いられることが多い)には、視床下部に細胞体のあるニューロン軸索が集合しており、バソプレッシン、オキシトシンなどが蓄積されている。下等脊椎動物ではアルギニンバソトシンしか含まないものもある。正中隆起(神経葉とともに神経性下垂体に含まれる)は、鳥類では神経葉ホルモン(後葉ホルモン)も含むが、おもに前葉の細胞に作用して前葉ホルモンの分泌を促進または抑制するホルモン(放出ホルモンと抑制ホルモン)を含んでいる。これらの視床下部ホルモンが、下垂体門脈という血管系に分泌され、前葉に運ばれて作用する動物が多いが、下垂体門脈の発達していない動物では拡散により前葉に達する。条鰭類では正中隆起が前葉に接しているので、視床下部ホルモンはより直接的に前葉細胞に作用する。中葉の細胞に働く因子も視床下部で産生される。他方、腺性下垂体は、視床下部ホルモンの作用を受けて、さまざまなホルモンを分泌する。それぞれのホルモンは異なる細胞から分泌されることが多いが、複数のホルモンを一つの細胞が分泌する例も知られている。

[川島誠一郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下垂体」の意味・わかりやすい解説

下垂体
かすいたい
pituitary gland

脳下垂体。頭蓋のほぼ中央のトルコ鞍にはまり込み,視床下部と細い柄で連なっている内分泌腺。重さがわずか 0.6g程度の小さい臓器であるが,重要なホルモンを多数分泌し,他の内分泌腺の機能をコントロールしているため,内分泌系の主導者の名がある。前葉と後葉に分けられる。前葉からは,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) ,卵胞刺激ホルモン,黄体形成ホルモン,プロラクチンなどが,また後葉からはバソプレッシン (抗利尿ホルモン) とオキシトシンが分泌される。

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栄養・生化学辞典 「下垂体」の解説

下垂体

 脳下垂体ともいう.ヒトでは間脳の視床下部から下方に突出した器官で,前葉と後葉とよばれる二つの異なる由来の組織が結合して構成されている.動物種によっては中葉の部分がある.内分泌器官で前葉は成長ホルモン,プロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン,性腺刺激ホルモン等,後葉はオキシトシン,バソプレッシンなどを分泌する.中葉に相当する部分はメラノトロピンを分泌する.後葉ホルモンは視床下部で合成され軸索輸送で後葉に至り分泌される.

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百科事典マイペディア 「下垂体」の意味・わかりやすい解説

下垂体【かすいたい】

脳下垂体

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世界大百科事典(旧版)内の下垂体の言及

【脳下垂体】より


neurohypophysisadenohypophysis

※「下垂体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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