精選版 日本国語大辞典 「丸子船」の意味・読み・例文・類語 まるこ‐ぶね【丸子船・丸木船】 (一)〘 名詞 〙 中世末期以来、琵琶湖水運の主力をなした特異な船型・構造をもつ運送船。板を縦はぎしてくり船のようにまるい船首にし、船体主部両側はおも木と称する半丸太を用いるなど、近世の和船形式とは著しく異なり、北陸地方のはがせ船に共通する構造をもつ。三十石積から五百石積まであり、百石積以上を大丸子、以下を小丸子と呼んだ。丸船。丸太船。まるきぶね。まるこ。︹書言字考節用集︵1717︶︺ 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「丸子船」の意味・わかりやすい解説 丸子船 (まるこぶね) 丸船ともいう。おそらく中世末期ないし近世初頭のころから近年に至るまで,琵琶湖で用いられてきた特異な小型~中型船︵50石~200石程度︶。若狭湾︵敦賀,小浜︶から峠を越えて琵琶湖経由で京・大坂に至るルートは,日本海岸各地と畿内を結ぶ物資流通の大動脈であったが,この湖上を南北に縦断する航路の主役がこの船であった。その外観上最大の特徴は,船首部の形状にある。すなわち,おけや樽をつくるように,下方をややすぼめた短冊形の板を,縫釘︵ぬいくぎ︶で円筒形にはぎ合わせ,ちょうど縦半割りにしたおけのような形の船首をつくる︵船名の由来︶。また,船体の特徴は,細長い縦通材︵船首尾方向に通る厚板材︶をはぎ合わせた丸みのある船底部の上方には,両玄側板の代りに半割りにした丸太を使っていることである。その結果,船体の中央横断面の外周は,垂直方向につぶれた楕円形になる。これも︿丸子船﹀の名のゆえんなのかもしれない。 執筆者‥小佐田 哲男 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報