内科学 第10版 「内分泌疾患」の解説
内分泌疾患(内分泌系の疾患の総論)
内分泌疾患(ほかの疾患に伴う肝障害)
肝はグルカゴン,インスリン,成長ホルモン,甲状腺ホルモン,エストロゲン,グルココルチコイドなどの多くのホルモンによる調節を受けている.臨床的に,内分泌疾患で肝障害の頻度が高いのは甲状腺機能亢進症である.本症では,AST,ALT値の上昇を1/3,ALP値の上昇を2/3に認め,ビリルビンの上昇も5%程度に認められる.うっ血性心不全を合併した場合には80%程度にビリルビンの上昇を認めると報告されているが,一般的には軽度の異常であることが多い.また,抗甲状腺薬による肝障害も高頻度に認められる.甲状腺機能低下症では,軽度の肝腫大と肝障害を認めることがある.粘液水腫でうっ血性心不全や肝腫大を呈するとAST,ALT値も高値を示し,黄疸の出現や肝予備能の低下をきたすことがある.[西口修平]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報