デジタル大辞泉
「助六」の意味・読み・例文・類語
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すけろく【助六】
(一)[1]
(一)[ 一 ] 歌舞伎脚本﹁助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)﹂の通称。
(二)[ 二 ] 歌舞伎所作事。長唄。三世桜田治助作詞。一〇世杵屋六左衛門作曲。天保一〇年︵一八三九︶江戸中村座初演。四世中村歌右衛門の八変化﹁花翫暦色所八景(はなごよみいろのしょわけ)﹂の一つ。河東節を取り入れた作曲。
(三)[ 三 ] 常磐津、歌沢、清元の曲名。明治以後の作。
(四)[ 四 ] 歌舞伎の﹁助六﹂の主人公、花川戸助六。
(二)[2] 〘 名詞 〙
(一)① 銭(ぜに)の異称。
(一)[初出の実例]﹁春の雨独り機嫌に給酔て︿西因﹀ 向の助六松風ぞふく︿春重﹀﹂(出典‥俳諧・西鶴大矢数︵1681︶第五一)
(二)[その他の文献]︹浮世草子・新玉櫛笥︵1709︶︺
(二)② 盗人、てきや仲間の隠語。醤油をいう。︹新しき用語の泉︵1921︶︺
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助六
すけろく
浄瑠璃(じょうるり)、歌舞伎(かぶき)劇、音曲などの登場人物、およびこれを主人公とした作品の通称。延宝(えんぽう)︵1673~81︶または宝永(ほうえい)︵1704~11︶ごろ、大坂千日寺であったという町人萬屋(よろずや)助六と島原の遊女揚巻(あげまき)の心中事件が典拠で、京坂では事実に沿った情話として脚色、一中節﹃蝉(せみ)のぬけがら﹄﹃大坂助六心中物語﹄をはじめ、歌舞伎脚本﹃助六心中紙子姿﹄﹃京助六心中﹄︵ともに1706︶、人形浄瑠璃﹃萬屋助六二代
(かみこ)﹄︵並木丈助作・1735︶、﹃紙子仕立両面鑑(かみこじたてりょうめんかがみ)﹄︵菅(すが)専助作・1768︶などがつくられたが、江戸ではこれから脱化して﹁侠客(きょうかく)物﹂となり、1713年︵正徳3︶の﹃花館愛護桜(はなやかたあいごのさくら)﹄以来代々の市川団十郎が演出を洗練し、歌舞伎十八番の一つ﹃助六由縁江戸桜(ゆかりのえどざくら)﹄として今日に伝わった。舞踊化作品も1764年︵明和1︶2世瀬川菊之丞(きくのじょう)初演の長唄(ながうた)﹃女助六﹄をはじめ数多いが、なかでは4世中村歌右衛門(うたえもん)が八変化(へんげ)﹃花翫暦色所八景(はなごよみいろのしょわけ)﹄︵1839︶のなかで踊った長唄﹃助六﹄︵10世杵屋(きねや)六左衛門作曲︶が現存。また、生世話(きぜわ)風のパロディーにした脚本に4世市川小団次が1858年︵安政5︶に初演した﹁黒手組助六﹂があり、﹃黒手組曲輪達引(くるわのたてひき)﹄の外題で今日も上演される。
﹇松井俊諭﹈
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助六 (すけろく)
︵1︶万屋助六 元和年中︵1615-24︶の京の俠客と伝える︵︽事実文編︾︶がさだかでない。宝永年間︵1704-11︶に横死,また島原の遊女総角︵あげまき︶と心中したという。1706年︵宝永3︶11月,京・早雲座︽助六心中紙子姿︾,大坂・片岡仁左衛門座︽京助六心中︾で同時に舞台化され,1709年ころに一中節︽万屋助六道行︾,また義太夫節︽千日寺心中︾が上演された。さらに義太夫節︽万屋助六二代𧚓︵かみこ︶︾︵1735︶,︽紙子仕立両面鑑︾︵1768︶が成立,上方系心中狂言の主人公として定着し,︿助六心中物﹀の系譜をつくった。
︵2︶花川戸助六 江戸浅草山の宿に米問屋︵また魚問屋とも︶大捌助八︵また戸沢助六︶という男達︵おとこだて︶があったと伝えられる︵︽雲萍︵うんぴよう︶雑志︾︽実事譚︾︽遊歴雑記︾など︶。上方の巷説が江戸にもたらされ,合して江戸の︿助六劇﹀が成立,1713年︵正徳3︶4月山村座︽花館愛護桜︵はなやかたあいごのさくら︶︾で2世市川団十郎が助六に扮して初演された。再演の︽式例和︵やわらぎ︶曾我︾で助六実は曾我五郎と役名が定まり,以後は曾我の世界のものと定まり,しだいに和事味が加えられて,江戸庶民の代表的性格を帯び,後期には︿江戸っ子の先祖﹀として意識化するにいたった。扮装は往時の蔵前風俗を写し,武士階級に対抗する江戸町人の理想像となっている。変型としては︿女助六﹀︵長唄所作事,1785︶や,講釈種からの︿世話の助六﹀︵︽黒手組曲輪達引︾1858︶などがある。
→揚巻︵あげまき︶ →助六由縁江戸桜
執筆者‥小池 章太郎
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助六【すけろく】
桜(ゆかりのえどざくら)︾の外題で上演される。1713年初演,1749年2世市川團十郎が3度目の助六を演じた際,演出の基礎が固まった。大坂で評判になった助六と揚巻の情話を江戸へ移し,新構想の力強い侠客(きょうかく)劇に直したもの。失われた宝刀友切丸を捜すため,江戸の侠客花川戸助六︵実は曾我五郎︶は吉原へ出入りするうち,恋仲の遊女揚巻に横恋慕する髭(ひげ)の意休がその刀をもっていることを見抜き,意休を切って刀を取り返すという筋で,はなやかな舞台が展開される。助六の登場音楽は河東節の代表曲で,初世山彦河良作曲,1761年初演。
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助六 すけろく
浄瑠璃(じょうるり),歌舞伎などの登場人物。
延宝(1673-81)のころにおきた京都の万屋(よろずや)助六と島原の遊女揚巻(あげまき)の心中事件をもとに脚色,上方で心中物として流行。のち江戸の2代市川団十郎が花川戸(はなかわどの)助六として明快な男達(おとこだて)にした助六を演じ江戸庶民の人気を博した。歌舞伎十八番「助六由縁(ゆかりの)江戸桜」として今日につたわる。
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助六
〔長唄〕
すけろく
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 作者
- 桜田治助(3代)
- 演者
- 杵屋六左衛門(10代)
- 初演
- 天保10.3(江戸・中村座)
助六
(通称)
すけろく
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 元の外題
- 京助六心中 など
- 初演
- 宝永3.11(大坂・片岡仁左衛門座)
助六
〔河東〕
すけろく
歌舞伎・浄瑠璃の外題。- 初演
- 享保18.1(江戸・市村座)
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
助六
いなりずしと巻きずしを組み合わせたもので、歌舞伎十八番の一つ﹁助六﹂にちなむ。主人公の恋人が花魁(おいらん)の揚巻なので、﹁揚﹂に対応するいなりと、﹁巻﹂に対応する海苔巻きの組み合わせをこう呼ぶ。
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
世界大百科事典(旧版)内の助六の言及
【揚巻∥総角】より
…(1)京島原丹波屋の遊女。宝永年間(1704‐11)以前,万屋助六という男となじみ心中したとも,助六の仇を討ってのち薙髪し尼となったとも伝えるがさだかでない。1706年(宝永3)11月,京の早雲座︽助六心中紙子姿︾,大坂の片岡仁左衛門座︽京助六心中︾で同時に舞台化され,09年ころに一中節︽万屋助六道行︾,また義太夫節︽千日寺心中︾が上演された。…
【黒手組曲輪達引】より
…[河竹黙阿弥]作。通称《黒手組の助六》。1858年(安政5)3月江戸市村座で《江戸桜清水清玄(えどざくらきよみずせいげん)》の二番目狂言として初演。…
【助六由縁江戸桜】より
…1幕。通称︽助六︾。歌舞伎十八番の一つで3時間近く(現行1時間半から2時間)を要する華やかな大曲。…
※「助六」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」