精選版 日本国語大辞典 「因襲」の意味・読み・例文・類語 いん‐しゅう‥シフ【因襲・因習】 (一)〘 名詞 〙 (二)① 昔からの習慣、作法や風習をうけつぎ従うこと。 (一)[初出の実例]﹁祭祀の典則は之を遵守して違乱すべからず。其一社の例祭民俗因襲の神賑等は地方の適宜に循ひ行ふを得べし﹂(出典‥教部省達第二四号‐明治六年︵1873︶七月七日) (二)[その他の文献]︹劉歆‐移太常博士書︺ (三)② 昔から続いていて、現在では弊害が生じているようなしきたりに無批判に従うこと。また、そのようなしきたりや風習。 (一)[初出の実例]﹁陋習(いやしきならひ)に因襲(インシウ)し﹂(出典‥新聞雑誌‐二三号・明治四年︵1871︶一二月) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「因襲」の意味・わかりやすい解説 因襲いんしゅうconvention 停滞的な社会に伝承された社会規範、とくに慣習で、合理的、進歩的観点から価値が疑われ、あるいは否定されているもの。しきたり、伝統、迷信などともいわれ、村落や職能団体あるいは一定の地域や階層など限られた範囲に行われる。社会の拡大、人間精神の合理化、進歩発展の要請という人間世界の大勢からすれば、小社会の昔ながらの古い慣習は、それを妨害するものであるから、新しい社会規範、あるべき規範からみて因襲と評価されるのも当然で、その超克が必要となる。しかし因襲といわれるものも、それなりの合理性が実体的にあったからこそ成立したのであり、この点を無視するのは正確な見方ではない。また因襲の評価が当該社会のなかからでなく、外からなされる場合には、むしろ文化の衝突であり、社会的、政治的対立を反映することもあるから、結論には注意が必要である。 ﹇千葉正士﹈ [参照項目] | 慣習 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
普及版 字通 「因襲」の読み・字形・画数・意味 【因襲】いんしゆう(しふ) 従来のしきたりによる。風習、慣例。︹史記、亀策伝序︺孝・孝景、掌故に因し、未だ試に遑(いとま)あらず。 字通﹁因﹂の項目を見る。 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「因襲」の意味・わかりやすい解説 因襲いんしゅうconvention 因習とも書く。共同体によって保たれてきた伝統的な行動様式であるが,違反した場合に,その共同体からの非難制裁が伴う点において,単なる慣習とは異なる。共同体の結束のためには大きな力となってきたが,最近では都市化に伴う社会・文化的諸条件の変化によって消滅しつつある。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報