多肉植物(読み)タニクショクブツ

デジタル大辞泉 「多肉植物」の意味・読み・例文・類語

たにく‐しょくぶつ【多肉植物】

 
()漿()  

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精選版 日本国語大辞典 「多肉植物」の意味・読み・例文・類語

たにく‐しょくぶつ【多肉植物】

  1. 〘 名詞 〙 茎や葉が肥厚し多量の水分を貯えた植物の総称。一般に、乾燥地や塩分の多い地域に生育する。体表にはクチクラが発達したものが多く耐乾性が強い。茎が多肉質となるサボテン・トウダイグサや、葉が多肉質となるリュウゼツランなどがある。多漿植物。肉質植物。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「多肉植物」の意味・わかりやすい解説

多肉植物
たにくしょくぶつ


()()

 

形態


便

 
多肉茎植物

退()

 
多肉葉植物

退()2

 
コーデックス

地上茎の下部が肥大した壺(つぼ)型植物と、胚軸または根の肥大したイモ型植物とがある。代表的なコーデックスにはユーフォルビア、パキポディウム、アデニア(トケイソウ科)、イポメア(ヒルガオ科)、ホッケア(ガガイモ科)などの一部がある。

[林 雅彦]

生育地


西

 湿湿Hot Spot41

 1000

 ()CAM

 

利用

リュウゼツラン属の葉からは繊維がとれ、また茎部を発酵させてテキーラなどの酒の原料ともする。アロエの葉にはアロインという成分があり、やけど、外傷、潰瘍(かいよう)などに有効である。薬事法ではアロエ・ベラAloe veraが指定されているが、一般にはより寒さに強いアロエ・アルボレッセンスA. arborescens(医者いらずとよばれる)が民間治療薬として広く用いられている。ユーフォルビアの乳液は有毒であるが、テルペン系炭化水素が含まれており、石油植物として注目されている。オプンチア類(ウチワサボテン)は家畜の飼料としても栽培されている。最近ではガガイモ科のホーデア属Hoodiaからダイエット用の薬品が開発され、注目されている。また、ペラルゴニューム・シドイデスPelargonium sidoidesからはかぜ薬がつくられ、そのために乱伐されて問題となっている。栽培は一般に十分陽光を当て排水のよい培養土を使う。ただし、ハオルチアは陰性植物なので、十分な遮光が必要である。玉型メセン類は夏の高温時に休眠し、やや栽培がむずかしい。コーデックスにはきわめて栽培困難なものも少なくない。

[林 雅彦]

園芸的発展




 

 ()Astrophytum()RoseocactusAriocarpus()19805564200012Echeveria

 

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改訂新版 世界大百科事典 「多肉植物」の意味・わかりやすい解説

多肉植物 (たにくしょくぶつ)
succulent plant


508000351300LithopsLampranthus1302000Anacampseros50Portulaca30Lewisia2016500Didierea2Alluaudia6411StapeliaCarallumaHoodiaTrichocaulonCeropegiaHoya28700AloeHaworthiaGasteriaEuphorbia500Monadenium50Jatropha10Agave300Nolina25Yucca607485Pachypodium20Adenium1280Othonna40Cissus15Peperomia100Salicornia30Sarcocaulon12Adenia20Xerosicyos2Idria columnaris Kellog.

退

 Peperomia lunnellaFenestraria aurantiaca N.E.Br.Haworthia truncata Schönl.H.manghanii Poeln.

 31 Conophytum2 3 WilcoxiaDelospermaMestoklemaIbervilleaGerrardanthus

CAM使

CrassulaCotyledonAeoniumSempervivumDischidia

使Agave sisalana Perr.A.tequilana Web.pulque833Euphorbia virosa Willd.使E.antisyphilitica Zucc.E.intisy Drake25001Salicornia fruticosa L.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多肉植物」の意味・わかりやすい解説

多肉植物
たにくしょくぶつ
succulent plant

貯水組織が発達し多量の水分を含む植物。貯水は,乾燥や環境の高塩分への適応なので,多くは砂漠や海岸の植物であり,表面にクチクラ層が発達し,気孔は数が少く陥没しているなどの特徴をもち,葉や茎が著しく肥厚している。葉は退化したもの (アッケシソウ) ,とげ状になって代りに茎が光合成するもの (サボテン) ,逆に葉が多肉化したもの (リュウゼツラン) などがある。これらの植物は,吸水力が弱く,水分の蒸散も低くなっているが,クチクラ層が発達しているため,気孔を閉じると蒸散量が少くなり,数年間の乾燥状態にも耐えられる。なお,多肉植物は夜間の呼吸作用に際して,炭水化物を分解するとき有機酸の状態で体内にとどめ,それを昼間の炭酸同化作用に用いるので二酸化炭素として放出する量は一般の緑色植物よりも少い。

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百科事典マイペディア 「多肉植物」の意味・わかりやすい解説

多肉植物【たにくしょくぶつ】

肥厚した葉や茎の貯水組織に多量の水をもつ植物。系統的には全く異なった植物群の総称で,50科以上の植物が含まれる。乾燥地や塩分の多い地域にみられ,耐乾性が強い。葉が多肉化したものにベンケイソウの類,スベリヒユ,リュウゼツランなど,茎が多肉化したものにアッケシソウ,サボテンなどがあり,葉は退化するものが多い。多肉化した組織には夜間気孔から取り込んだ二酸化炭素をリンゴ酸などの有機酸にして蓄え,昼はそれを使って光合成をするという特別な代謝がある。これは昼間気孔を閉じ,水分の蒸散を防ぐという意義をもつ。観賞用が多い。
→関連項目アロエ

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世界大百科事典(旧版)内の多肉植物の言及

【生活形】より

…多年生植物については,地上部が残るか残らないかを,越冬芽(耐乾芽など,植物の生活にとって不適当な条件を切り抜けるための抵抗芽一般を含む)が地表面からどれくらいの高さにあるかによって区別する。ラウンケルの生活形を整理すると,まず,地上植物(芽が地表より30cm以上高いもの),地表植物(芽の位置が地表30cmより低いもの),半地中植物(芽が地表にあるもの),地中植物(芽が地中にあるもの),夏緑性一年生植物(不適な時期を種子で過ごすもの)の区分ができ,さらに地上植物は,芽の位置が地表から30m以上の高さのもの(巨大地上植物),8~30mの高さのもの(大型地上植物),2~8mの高さのもの(小型地上植物),0.3~2mの高さのもの(矮小(わいしよう)地上植物)や,多肉植物,着生植物などに,地中植物は土中植物,水生植物などが区別されている。ラウンケルはこの類型化をもとにして,世界のさまざまの地域に生育する植物各1000種を無作為に選び出し,類型化された生活形がそれぞれどのような割合で分布しているかをパーセントで示した生活形標準表normal spectrum of life formを作成した。…

※「多肉植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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