20世紀日本人名事典 「山本 周五郎」の解説
山本 周五郎
ヤマモト シュウゴロウ
生年 明治36(1903)年6月22日
没年 昭和42(1967)年2月14日
出生地 山梨県北都留郡初狩村(現・大月市初狩)
本名 清水 三十六(シミズ サトム)
学歴︹年︺ 横浜第一中中退
主な受賞名︹年︺ 文芸春秋懸賞小説(第1回)︹大正14年︺﹁須磨寺附近﹂
経歴 4歳の時上京、まもなく横浜に移り、小学校卒業直後に再び上京し、木挽町の山本周五郎質店で丁稚奉公をする。傍ら、正則英語学校、大原簿記学校に通う。大正12年の関東大震災で質店が罹災したので、関西に行き地方新聞記者、雑誌記者などをして13年帰京、日本魂社の記者となる。15年4月に発表した﹁須磨寺附近﹂が文壇出世作となる。昭和3年浦安に転居し、蒸気船で通勤しながら勉強する。6年大森・馬込に移り、この頃、山手樹一郎を知り、文筆に専念、娯楽小説、少年少女探偵小説などを発表。15、6年頃から歴史小説に佳作を見るようになり、18年﹁日本婦道記﹂で直木賞に推されたが﹁読者から寄せられた好評以外に、いかなる文学賞のありえようはずがない﹂との確信でそれを辞退し、以後も毎日出版文化賞、文芸春秋読者賞を辞退した。戦後は横浜市本牧元町に移り、旅館・間門園を仕事場とした。以後の代表作に﹁山彦乙女﹂﹁正雪記﹂﹁栄花物語﹂﹁樅ノ木は残った﹂﹁赤ひげ診療譚﹂﹁五弁の椿﹂﹁天地静大﹂﹁青べか物語﹂﹁虚空遍歴﹂﹁季節のない街﹂﹁さぶ﹂﹁ながい坂﹂など。﹁山本周五郎全集﹂(全30巻 新潮社)が刊行されている。平成8年東京・神田の古書市で昭和5年の雑誌﹁譚海﹂付録の短編﹁黒襟飾組の魔手﹂が66年ぶりに発見された。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報