精選版 日本国語大辞典 「役法」の意味・読み・例文・類語 えき‐ほう‥ハフ【役法】 〘 名詞 〙 中国の古代から清代の末期まで、政府が必要とする労働力を国民に割り当てた力役の制度。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「役法」の意味・わかりやすい解説 役法 (えきほう)yì fǎ 中国史上徭役制度という意味で使われる語。中国では古代から,庶民の国家に対する負担として,田賦とならんで徭役が存在したが,その制度,内容は時代によって変遷している。役法という語が使用されるのは宋代からであるが,同時に職役の語も広く使われた。徭役の内容としては郷村組織の役員と,行政運営に必要な下級警官や官庁の作業員,守衛などの類が主である。負担形態からいえば実労働提供が本来であるが,金銭納︵銭納または銀納︶の場合もあり,負担基準も戸等,土地所有面積,納税額など,さまざまになっている。これらについての制度を一括して役法とよび,徭役に服務する者を役人︵えきじん︶という。 →賦役︵ふえき︶ 執筆者‥岩見 宏 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「役法」の意味・わかりやすい解説 役法えきほうyi-fa; i-fa 中国で公事のため人民を使役する法で,宋代の役法 (職役) が有名。宋代職役には,官物の輸送などに従う衙前 (がぜん) ,賦税を徴収する里正,戸長,郷書手,盗賊を捕える耆長,弓手,壮丁,官の使い走りをする承符,人力,人手,散従官,州県の末端事務を司る曹司より押録,孔目官にいたる諸役,農民が租を納めるとき,倉庫の実務にあたる斗子,庫子,秤子など多くの役があった。各種役には,五等に分けられた郷戸があり,一等戸は里正,二等戸は戸長,耆長,そのほかは三等以下の戸があたった。衙前は里正の役を終えた者のなかから割当てられた。以上を差役法といい,神宗時代,王安石によって,希望者をつのって役にあてる募役法に切替えられた。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報