潦（読み）ニワタズミ

デジタル大辞泉 「潦」の意味・読み・例文・類語

にわ‐たずみ〔にはたづみ〕【×潦／行＝潦】

［名］雨が降って、地上にたまり流れる水。
「はなはだも降らぬ雨故―いたくな行きそ人の知るべく」〈万・一三七〇〉
［枕］地上にたまった水が流れるようすから、「流る」「すまぬ」「行方しらぬ」にかかる。
「―流るる涙留めかねつも」〈万・四一六〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「潦」の意味・読み・例文・類語

にわ‐たずみにはたづみ【潦・行潦・庭水】

 

(一)( ﹁にわたつみ﹂とも )
 (二)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 雨が降ったりして、地上にたまった水。または、あふれ流れる水。水たまり。
(一)[初出の実例]﹁はなはだも降らぬ雨ゆゑ庭立水(にはたつみ)いたくな行きそ人の知るべく﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶七・一三七〇)
 (二)﹁のどかにも頼まざらなんにはたつみ影見ゆべくもあらぬながめを﹂(出典‥狭衣物語︵1069‐77頃か︶四)
 (二)② ①に雨が落ちてできる泡。
(一)[初出の実例]﹁水のおもにうきて流るるにはたつみ見るにつけても袖ぞぬれける﹂(出典‥千穎集︵999‐1106頃︶)
 (三)[2] 枕 地上にたまった水が流れる様子から、﹁流る﹂﹁行く﹂﹁川﹂にかかる。
(一)[初出の実例]﹁行く水の 止らぬ如く 常も無く 移ろふ見れば 爾波多豆美(ニハタヅミ) 流るる涙 止めかねつも﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一九・四一六〇)

潦の補助注記


(1)語源について、﹁には﹂は﹁にはか︵俄︶﹂とする説もあるが、その文字表記や、﹁書陵部本名義抄﹂に記されているアクセントなどから﹁庭﹂と関連づける説が有力。
(2)①の挙例﹁万葉‐一三七〇﹂の﹁庭立水﹂から﹁にはたつみ﹂という清音の形もあったと考えられる。

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