デジタル大辞泉 「疎い」の意味・読み・例文・類語 うと・い【疎い】 ﹇形﹈﹇文﹈うと・し﹇ク﹈ 1 親しい間柄でない。疎遠だ。﹁二人の仲は―・くなった﹂﹁去る者は日々に―・し﹂ 2 ︵﹁…にうとい﹂の形で︶そのことについての知識や理解が不十分である。﹁その方面の事情に―・い﹂ 3 親しみが持てない。わずらわしく思う。 ﹁かつ見れど―・くもあるかな月影のいたらぬ里もあらじと思へば﹂︿古今・雑上﹀ 4 不案内である。関心がない。 ﹁後の世のこと心に忘れず、仏の道―・からぬ、心にくし﹂︿徒然・四﹀ 5 愚かである。間が抜けている。 ﹁女郎狂ひするほどの者に、―・きは一人もなし﹂︿浮・胸算用・二﹀ [派生]うとさ﹇名﹈ [類語]︵1︶遠い・遠遠しい・縁遠い・薄い・疎遠・遠(とお)縁(えん)・懸隔・開き・無縁/︵2︶浅慮・浅薄・短慮・無知・不勉強・不案内・認識不足・暗い・ちんぷんかん・ちんぷんかんぷん・物知らず・世間知らず・井の中の蛙 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「疎い」の意味・読み・例文・類語 うと・い【疎】 (一)〘 形容詞口語形活用 〙 [ 文語形 ]うと・し 〘 形容詞ク活用 〙 (二)① 交渉、交際が深くない。親しい間柄でない。縁故関係がうすい。疎遠だ。 (一)[初出の実例]﹁川上の川榛(はり)の木の宇止介(ウトケ)ども舂米持(つきしねもち)は親族(うから)とぞ思(も)ふ﹂(出典‥琴歌譜︵9C前︶長埴安振) (二)﹁うとからぬ人々二三人ばかり御前にて破(や)らせ給ふ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶幻) (三)② 相手を避けたい、相手から遠ざかりたいとする気持やそぶりを表わす。心の隔てをおこうとする。よそよそしい。 (一)[初出の実例]﹁枕がみなる扇︿略﹀とりて見などして﹃うとくおぼいたる事﹄などうちかすめ、うらみなどするに﹂(出典‥枕草子︵10C終︶三六) (四)③ ( ②から転じて ) その物に対して煩わしい、いとわしいと思う。 (一)[初出の実例]﹁かつみれどうとくもあるかな月影の至らぬ里もあらじと思へば︿紀貫之﹀﹂(出典‥古今和歌集︵905‐914︶雑上・八八〇) (五)④ ( 主に﹁…にうとい﹂の形で ) ある事に対する関心のよせ方が少ない。あまり心が傾いていない。 (一)[初出の実例]﹁大聖文殊の三世の智母とましますが、これにうとくおはすべきにもあらず﹂(出典‥法華修法一百座聞書抄︵1110︶三月二六日) (六)⑤ ( ﹁…にうとい﹂などの形で ) ある事についての知識や理解が不十分である。そのことがよくわかっていない。不案内だ。精通していない。 (一)[初出の実例]﹁それは礼記にうといことぞ﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶二四) (二)﹁おれは俗事に疎(ウト)いからとんと解せぬ﹂(出典‥滑稽本・浮世床︵1813‐23︶初) (七)⑥ 物事の状態で欠けるところがある。機能が不十分だ。 (一)(イ) 間が抜けている。知恵がまわらない。 (一)[初出の実例]﹁うとき事は、云におよばず、面躰に顕れたり、うとき者は御茶ひろきとの世話あれど、それさへ違て取得なし﹂(出典‥評判記・赤烏帽子︵1663︶山本万之助) (二)(ロ) からだの働きがにぶっている。耳がよく聞こえないことや目がよく見えないことにいう。 (一)[初出の実例]﹁おばば﹃あれ合点のいかぬ。何者やら﹄と、うとき老眼すかして見る﹂(出典‥浄瑠璃・大経師昔暦︵1715︶中) (三)(ハ) いい加減だ。不備だ。 (一)[初出の実例]﹁野面の石垣麦藁塀(むぎはらべい)要害うとしと申せ共﹂(出典‥浄瑠璃・用明天皇職人鑑︵1705︶五) 疎いの語誌 ﹁うと﹂は、﹁うつろ﹂﹁うつほ﹂の﹁うつ﹂と同じく、空虚・からっぽを意味する。いやな対象についての嫌悪感や無関係でいたいという気持を表わすこともあるが、情意の面は﹁うとましい﹂を使うのが普通。 疎いの派生語うと‐げ〘 形容動詞ナリ活用 〙疎いの派生語うと‐さ〘 名詞 〙 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例