白血病(読み)ハッケツビョウ(英語表記)leukemia

翻訳|leukemia

デジタル大辞泉 「白血病」の意味・読み・例文・類語

はっけつ‐びょう〔ハクケツビヤウ〕【白血病】

血液中の白血球が異常に増加する病気。多いのは急性白血病で、未熟な白血球が増殖して造血・免疫機能が低下し、発熱・貧血・出血傾向や脾臓ひぞうリンパ節れなどの症状がみられる。慢性白血病は成熟した白血球が増殖するもので、症状は急性に比べると軽度。
[補説]略号と病名
AML(acute myelogenous leukemia)急性骨髄性白血病
ALL(acute lymphoid leukemia)急性リンパ性白血病
CML(chronic myelogenous leukemia)慢性骨髄性白血病
CLL(chronic lymphoid leukemia)慢性リンパ性白血病

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精選版 日本国語大辞典 「白血病」の意味・読み・例文・類語

はっけつ‐びょうハクケツビャウ【白血病】

 

(一)   1931
 

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改訂新版 世界大百科事典 「白血病」の意味・わかりやすい解説

白血病 (はっけつびょう)
leukemia


R.1846





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10

 

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19692

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白血病」の意味・わかりやすい解説

白血病
はっけつびょう

癌(がん)と同じように、自分自身の白血球が無制限に増加し、放置すれば進行して死に至る病気。白血球が異常に増加して赤い血液が白みを帯びて見えるところから、ドイツの病理学者ウィルヒョウが名づけた。小児の悪性増殖性疾患のなかで最大の頻度を占めている。人種(国別)によって、発生頻度に多少の差と発生する種類に差があり、日本では、人口10万人に対して女性3人、男性4人ぐらいの死亡率である。

[伊藤健次郎]

原因

地球上には無数の発癌にかかわる因子が存在するが、なかでも発病に関係の深いものとして、放射線(原爆、水爆をはじめ、検査、治療に用いられている放射線のすべて)、核酸の代謝に直接影響を与えるような化学薬品や医薬品、さらに発癌性物質といわれるもの、ウイルスの感染などがあげられる。そしておそらく10万人中の3、4人は遺伝的に白血病が発生しやすいような遺伝子をもち、そうした遺伝子保有者がこのような誘因に出会ったときに発病すると考えられる。また一方で、白血病に対する免疫力も関係しており、免疫力の低下した場合に発生しやすくなるものとも考えられる。なお、ウイルスは染色体の中に潜り込んで細胞遺伝子に変化をおこし、発病を助長すると考えられている。全年代にわたって発生するが、5~6歳の幼児と60~70歳の高齢者に頻度のピークがみられる。前者(小児白血病)は白血球が量的、質的に活発になる年代で、同時に、保育所などに通い始め、いろいろな誘因に初めて出会う年代でもある。後者は免疫力が自然に低下する年代であり、長い人生の間に数多くの誘因で変調をきたした細胞がたまりやすい年代でもある。

[伊藤健次郎]

種類と経過


()()()()()()DIC

 9034

 


治療

白血病の治療としてもっとも広く用いられているのは化学療法で、抗白血病薬である制癌剤が使われる。異常増殖した白血球(白血病細胞)を完全に消失させ完治させるまで制癌剤を使うと、正常細胞まで障害して生存できなくなるので、間欠的に使用して白血病細胞の数を段階的に減少させ、休薬期間中に正常細胞の回復を図る方法が行われる。これによって自覚および他覚症状が減少し、末梢(まっしょう)血や骨髄の所見が一見正常となる。これを寛解remissionといい、この療法を寛解導入療法という。続いて残存する白血球細胞の増殖を抑制して寛解状態を維持・安定させるための療法が行われ、これを地固め(強化)療法という。これを強力に行えば完全治癒が期待されるわけであるが、実際には治癒を期待するのは困難で、一定期間休薬してから制癌剤を投与することを繰り返す寛解維持療法が行われる。これにより、急性白血病(とくに小児白血病の急性リンパ性白血病)の長期生存者が増加しつつあり、外来通院や社会復帰が可能となってきた。しかし、白血病全体からみると、依然として予後の非常に悪い疾患であることに変わりはない。

[伊藤健次郎]

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六訂版 家庭医学大全科 「白血病」の解説

白血病
はっけつびょう
Leukemia
(子どもの病気)



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百科事典マイペディア 「白血病」の意味・わかりやすい解説

白血病【はっけつびょう】

造血組織の腫瘍(しゅよう)性疾患で,血液中に白血球が増加し,幼若白血球がみられる。予後不良。原因は(がん)と同じく未確定。原爆症患者に発病率が高く放射線との関係が問題視されている。急性型と慢性型があり,急性白血病では貧血,発熱,出血傾向,リンパ節の腫脹(しゅちょう)などを呈し,慢性白血病では脾臓の腫大やリンパ節の腫脹があるが,発熱,出血などはない。治療は副腎皮質ホルモン剤制癌薬の投与。近年は化学療法剤の進歩により生存期間が延長されるようになった。慢性骨髄性白血病には,骨髄移植も行われる。
→関連項目悪性リンパ腫ARE事件塩酸イリノテカン癌ウイルス希少疾病用医薬品骨髄バンク小児癌成人T細胞白血病成分献血セミパラチンスク核実験場造血幹細胞移植電磁波障害白血球増加症脾腫日和見感染症メルカプトプリンリンパ節腫瘍6-メルカプトプリン

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四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「白血病」の解説

白血病


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家庭医学館 「白血病」の解説

はっけつびょう【白血病 (Leukemia)】

◎急性白血病と慢性白血病がある
 骨髄(こつずい)、脾臓(ひぞう)といった血液をつくる器官(造血器(ぞうけつき))で白血球系細胞が無制限に増殖する病気で、いわば造血器のがん、ともいうべき病気です。
 白血病の頻度は低いのですが、年々、高齢化とともに増加傾向にあり、一度発症すると生命にかかわることが多い点が問題です。
 確かな原因はまだ不明ですが、ウイルス感染、放射線の照射、発がん性のある薬物、有機溶媒(ゆうきようばい)(有機物を溶かすために使う液体)との接触、発病しやすい遺伝的な因子などが誘因となって発症すると考えられています。
 おとなにおこる成人(せいじん)T細胞白血病(さいぼうはっけつびょう)(「成人T細胞白血病」)は、レトロウイルスと呼ばれるウイルスの一種の感染でおこります。この白血病は、欧米に比べて日本で多くみられ、輸血などによって人から人へと感染するといわれています。
 白血病は、増殖する悪性の細胞の種類や病気の経過などから、急性白血病(「急性白血病」)と慢性白血病(「慢性白血病」)に分けられていて、治療の方法も予後もちがってきます。

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内科学 第10版 「白血病」の解説

白血病(血液疾患に伴う神経系障害)

 
3leukemia
 MRIMRI  

白血病(血液疾患)

(2)白血病
 白血病の消化管病変としては,白血病細胞の消化管への浸潤によるもの,化学療法の毒性によるもの,免疫力低下に伴う日和見感染によるものなどがあげられる.白血病細胞の消化管浸潤は全消化管に生じる可能性があり,多発するびらんや潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様隆起,潰瘍,びらんなどその所見は多彩で,ときに致命的な消化管出血を起こすことがあり注意が必要である.また化学療法によるものとしては,消化管粘膜の破壊に,高度な好中球減少が重なり腸管壁での細菌増殖が起こって腸管壁の壊死および穿孔などを引き起こすことがある.日和見感染としてはカンジダ症やサイトメガロウイルス感染症などが起こりうる.[安藤貴文・後藤秀実]

白血病(血液疾患と腎障害)

(1)白血病
 慢性リンパ性白血病は,膜性腎症や膜性増殖性糸球体腎炎をきたすことがある.急性前骨髄性白血病では, 腫瘍細胞から放出されるトロンボプラスチン様物質によりDICをきたし,腎皮質壊死による乏尿性急性腎不全を生じることがある.成人T細胞白血病では高カルシウム血症によって腎障害を呈することが多い.[前嶋明人・野島美久]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白血病」の意味・わかりやすい解説

白血病
はっけつびょう
leukemia

白血球の悪性腫瘍。血流のなかに病的な幼若細胞 (白血病細胞) が現れ,肝,脾,腎,肺,脳,リンパ節などで増殖し,出血,悪液質,感染症などの合併症を起す。普通は,白血球数が正常値 (5000~8000/mm3) の数倍にもなるが,増加しないものもある (非白血性白血病) 。急性と慢性,骨髄性とリンパ性と単球性に分けられる。急性リンパ白血病は小児に多く,成人では急性骨髄性白血病が多い。近年,抗白血病薬の進歩によって予後が著しく改善された。

白血病
はっけつびょう
Leukosis

ミクソウイルスを原因とするニワトリの病気。リンパ性白血病,赤芽球性白血病,骨髄性白血病などが含まれ,特にリンパ性白血病の被害が大きい。介卵感染し,120日齢以上の成鶏,ブロイラーに発生する。症状には特徴がなく,露出皮膚,鶏冠の蒼白化,体重減少,下痢などがみられる程度で,白血病所見である末梢血液像の異常は末期にときおり出現するにすぎない。

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栄養・生化学辞典 「白血病」の解説

白血病

 
   

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世界大百科事典(旧版)内の白血病の言及

【癌】より

…これでわかるように,癌は多くの場合〈固い塊〉として出現するが,皮膚や消化管の癌では,表面を薄く広がっている場合もある。白血病では,癌は血中を流れたり,組織に瀰漫(びまん)性に入り込んでいて,必ずしも形をなさない。
【癌の種類】
 異常な細胞が過剰に増生してつくる組織の塊を,腫瘍tumorあるいは新生物neoplasmという。…

【血液】より


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【原子爆弾症】より

…ABCC(現,放射線影響研究所)を主とする追跡研究の結果によると,原爆被爆者では悪性腫瘍の発症率が,被爆しなかった人々との間で,統計的に有意に増加している。とくに骨髄性白血病の年間発症率は,被爆後2年後からしだいに高くなり,5~8年後にはピークに達し,対照群の約10倍になっている。しかし,その後しだいに発症率は低下し,20年後以降は対照群との差がなくなりつつある。…

【小児癌】より

…小児癌には,成人にはほとんどみられることのない特有なものと,成人にも小児にもみられるものとがある。前者には神経芽腫,ウイルムス腫瘍,網膜芽細胞腫,肝芽腫などがあり,後者には白血病,悪性リンパ腫,脳腫瘍などがある。しかし,どちらともいえないものや,また同じ病名でも,成人と小児とでは病型が異なり,症状や治療法の違うものが少なくない。…

【ネコ(猫)】より

…治療は対症療法しかなく,予防ワクチンもないが,大流行はみられない。(4)白血病 ネコ白血病ウイルスによって起こる血液の癌であるが,感染しても必ず白血病になるわけではない。しかし,他の病気に対する抵抗力の低下,貧血,腎不全など多彩な症状を現すやっかいな感染症である。…

※「白血病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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