日本歴史地名大系 「船井郡」の解説
船井郡
ふないぐん
面積：五七九・六二平方キロ
京都府のほぼ中央部、丹波山地の一部を占め、東は北から北桑田郡美みや山ま町・同京けい北ほく町、南は東から京都市右京区・亀岡市、北は綾部市、西は北から天田郡三み和わ町・兵庫県多た紀き郡西にし紀き町・同篠ささ山やま町・大阪府豊とよ能の郡能の勢せ町に接する。
東南部の八木町を除く大部分が高原状山地からなり、中央部は府下最高地域でもある。郡の北境近く、美山町境の長ちよ老うろうヶ岳︵九一六・九メートル︶を最高峰として五〇〇―八〇〇メートルの山々が郡境・郡内に起伏し、耕地は河川沿いに展開する。東方の旧三国境、すなわち滋賀県高島郡朽くつ木き町・北桑田郡美山町・京都市左京区の近江・丹波・山城にまたがる三みく国に岳を主峰として、西に延びる山系が日吉町の北部から当郡に入り、南西にすすんで丹波町と園部町の境界を形成しながら多紀郡にでる。当郡はこの連山によって南東部斜面と北西部斜面に二分される。南東部斜面に流れ落ちた水は大おお堰い川に流入し淀川となって大阪湾に流れる。大堰川は北桑田郡を西流して日吉町南部で当郡に入り、園部町の東部、八木町西部を流れて亀岡市に入るが、その間郡内では中なか世せ木き川・木こず住み川・田たわ原ら川・胡ご麻ま川および本ほん梅め川を合わせた園部川などを合流する。また北西部斜面では、北桑田郡から流れ込んだ由良川が、高たか屋や川や上かみ和わ知ち川を合わせながら和知町南部を西流し、瑞穂町の西部を流れる土は師ぜ川を福知山市で合流して日本海に流れ込む。
郡名は平城宮出土木簡に﹁丹波国舩井郡﹂とみえ、天平一七年︵七四五︶三月二一日付の智識優婆塞等貢進文︵正倉院文書︶に﹁私部継人年十三、丹波国船井郡
里戸主私部智国戸口﹂とある。
船井郡は桑田郡から割置されたという説︵船井郡誌︶もある。
里戸主私部智国戸口﹂とある。
船井郡は桑田郡から割置されたという説︵船井郡誌︶もある。
〔原始〕
縄文・弥生時代のおもな遺跡としては、瑞穂町南部の中ちゆ台うだい地域に縄文土器片や弥生土器片の散布がみられ、同時代頃の住居跡の存在も考えられている。また和知町の由良川沿いにある本ほん庄じよ遺跡にも、石器未製品や土器片が散布している。園部町宮みやノ口くち遺跡は弥生時代、古墳後期―平安時代の遺跡とされる。
古墳中注目すべきものは、丹波町富とみ田たにあるカナヤ一号墳と豊とよ田たの豊田車くる塚まづか古墳︵前方後円墳︶である。瑞穂町から流れてきた高屋川に沿い、南東に蒲こも生う野のの大平原をのぞむ山麓台地上にある。両古墳とも全長は三〇メートルを超え、車塚古墳は完存する。後期古墳は郡内各地の山麓部にみられるが、とくに八木町八木の小おだ谷に古墳群、園部町の新しん堂どう池いけ古墳群、丹波町のカナヤ古墳群、ほか一〇基前後からなる古墳群がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報