艾（読み）ヨモギ

デジタル大辞泉 「艾」の意味・読み・例文・類語

よもぎ【×艾／×蓬】

 
1キク科ヨモギ属の多年草。山野に生え、高さ約1メートル。よく分枝し、特有の匂いがある。羽状に切れ込みのある葉が互生し、裏面に白い毛が密生。夏から秋、淡褐色の小花を多数つける。若葉を摘み、草(くさ)餅(もち)などを作り、餅(もち)草(ぐさ)ともよぶ。漢方では艾(がい)葉(よう)といい止血などに用い、葉の裏の毛をもぐさにする。ヨモギ属にはカワラヨモギ・オトコヨモギ・ヤマヨモギなども含まれる。︽季 春︾﹁―萌(も)えおほばこの葉も遅速なく／汀女﹂
2 襲(かさね)の色目の名。表は萌(もえ)葱(ぎ)、裏は濃い萌葱、または表は白、裏は青。


 

も‐ぐさ︻×艾︼

 
︽燃え草の意︾
1 ヨモギの葉を干し、臼でついて作る綿状のもの。灸(きゅう)を据える際に燃やす材料。焼き草。
2 ヨモギの別名。
3 ﹁艾(もぐ)縞(さじま)﹂の略。  

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精選版 日本国語大辞典 「艾」の意味・読み・例文・類語

よもぎ【艾・蓬】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① キク科の多年草。本州、四国、九州の山野に普通に生える。高さ〇・五～一メートル。全体に芳香があり、よく分枝する。葉は羽状に裂け、裂片は披針形、裏面に白い綿毛を密生する。秋、黄褐色の小さな頭状花を円錐状に多数つける。新苗をつんで餠に入れ、また葉裏の綿毛で灸療治用の﹁もぐさ﹂を製する。よもぎの仲間は、カワラヨモギ、タカネヨモギ、クソニンジン、オトコヨモギ、イヌヨモギなど日本に三〇種ほどあり、海岸から高山にまで広く分布する。漢名、艾。もぐさ。もちぐさ。さしもぐさ。つくろいぐさ。︽ 季語・春 ︾
(一)[初出の実例]﹁あやめ草 余母疑(ヨモギ)かづらき 酒宴(さかみづき) 遊びなぐれど﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一八・四一一六)
 (三)② 襲(かさね)の色目の名。表は萌葱(もえぎ)、裏は濃い萌葱、あるいは表は白、裏は青。五月に用いる。
(一)[初出の実例]﹁ことさらに昌蒲の衣を皆打ちて、撫子の織物の表著、よもぎの唐衣、楝の裳なり﹂(出典‥栄花物語︵1028‐92頃︶根合)
 (四)③ 香木の名。︹新札往来︵1367︶︺
  
 

も‐ぐさ︻艾︼

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 植物﹁よもぎ︵艾︶﹂の異名。︽ 季語・春 ︾ ︹日本一鑑窮河話海︵1565‐66頃︶︺
 (三)② ①の葉で製した、灸点(きゅうてん)に用いるもの。ヨモギの葉を乾燥させてもみ、葉の裏の白毛をとって、綿のようにしたもので、これを細かくちぎって火をつける。
(一)[初出の実例]﹁やいとうのもぐさ如何。熟艾とかけり﹂(出典‥名語記︵1275︶八)
 (四)③ ﹁もぐさじま︵艾縞︶﹂の略。
(一)[初出の実例]﹁すいのうは艾味噌越し小弁慶﹂(出典‥雑俳・柳多留‐一三三︵1834︶)
  
 

かい︻艾︼

 

(一)〘 名詞 〙 ( 頭髪が艾(よもぎ)のように白くなるところから ) 五〇歳。一説に、七〇歳。艾年(かいねん)。
(一)[初出の実例]﹁凡そ人の幼といひ、弱といひ、壮といひ、強といひ、艾といひ、耆(き)といひ、老といひ、耄(ばう)といふ、其称同じからねど、ただその年の積れるにて、異なる人にはあらず﹂(出典‥随筆・折たく柴の記︵1716頃︶下)
 (二)[その他の文献]︹礼記‐曲礼上︺
  

えもぎ【艾・蓬】

  1. 〘 名詞 〙 ＝よもぎ（艾）
    1. [初出の実例]「ゑもぎ、むぐらは軒をあらそひて」(出典：御伽草子・あきみち（室町末）)

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動植物名よみかた辞典　普及版 「艾」の解説

艾 (ヨモギ・エモギ;モグサ;ヨゴミ;ヨムギ)

学名：Artemisia princeps
植物。キク科の多年草,園芸植物,薬用植物

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