血清病(読み)ケッセイビョウ

デジタル大辞泉 「血清病」の意味・読み・例文・類語

けっせい‐びょう〔‐ビヤウ〕【血清病】

ジフテリア破傷風などの治療の際に、動物の抗毒素血清を注射したときに起こるアレルギー性疾患。軽いものでは発疹はっしん・発熱・浮腫ふしゅなどが現れ、重いものではショック症状を起こす。

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精選版 日本国語大辞典 「血清病」の意味・読み・例文・類語

けっせい‐びょう‥ビャウ【血清病】

  1. 〘 名詞 〙 血清注射をしたときに副作用として起こる症状。動物の血清を注射した時に起こるアレルギー現象。発疹、関節痛、嘔吐、下痢にはじまり、呼吸困難をおこして死亡することもある。〔育児読本(1931)〕

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内科学 第10版 「血清病」の解説

血清病(アレルギー性疾患)

 

 12immune complexICvon Pirquet Schickserum sickness-like reaction

   使

 ICICICIgG1IgG2IgG3IgMIgG4IgAIgEICICICICC3aC5aICFc

 12尿尿便漿90Stevens-Johnson114

 CRPC3C4IC尿尿C3IgGIgMIgA

 3Still

 2040mg/23

 使使使

Wener, MH: Serum sickness and serum sickness-like reactions. In: UpToDate, Feldweg AM ed, UpToDate, Waltham, 2010.  

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家庭医学館 「血清病」の解説

けっせいびょう【血清病 Serum Sickness】

 
[]
 
 
[]
 使使尿使
 
 
[]
 
 12尿尿
 28
 使13使
[]
 尿尿
[]
 
 
 使
[]
 使使
 使使  
 

 
 
 尿
 112
   

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「血清病」の意味・わかりやすい解説

血清病
けっせいびょう

異種の免疫血清である異種抗血清(おもにウマ免疫グロブリン)の注射による過敏反応として生ずる一定の症状群をいう。注射後発症までの日数により、次の3型に分けられる。

(1)一次性血清病 注射後1~2週間の潜伏期を経て発熱、皮疹(ひしん)(じんま疹型のことが多い)、関節痛(関節炎)、リンパ節腫脹(しゅちょう)などを生じ、心・腎(じん)障害や神経炎が出現することもある。大量の抗原を注射すると、それに対する抗体が産生され、残存している抗原と結合して免疫複合体が形成されるためで、症状は通常、数日で消失する。

(2)促進型血清病 再注射により生じ、すでに抗体が産生されているので症状の出現が1~4日と早い。

(3)アナフィラキシー型血清病 ときに注射後ただちにアナフィラキシーショックがおこることがある。アトピー素因者に生じやすい。

 血清病は、予防的能動免疫の実施、抗生剤の開発、ヒト抗毒素血清(たとえば破傷風)の使用などにより減少しているが、現在でも蛇毒(じゃどく)、ガス壊疽(えそ)、ボツリヌス中毒などウマ抗毒素血清を使用せざるをえないものもある。通常、血清病という場合には一次性ないし促進型血清病を意味するが、種々の薬剤(とくにペニシリン)により同様の症状を生ずることがあり、広義に用いられることもある。対症的治療が行われ、皮膚症状に対しては抗ヒスタミン剤、発熱や関節痛に対しては消炎鎮痛剤を用いる。これらの薬剤が無効のときにはステロイド剤を使用する。

[高橋昭三]

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改訂新版 世界大百科事典 「血清病」の意味・わかりやすい解説

血清病 (けっせいびょう)
serum sickness

異種動物の血清や薬物の注射を受けて1~2週間後に発生する全身のアレルギー反応。本来はウマの抗毒素血清を注射したあとに現れる症状に用いられた用語だが,現在では広い意味に使われ薬物投与後に生ずる場合にも用いられている。異種血清や薬などの異物は生体内では抗原となって,これと反応する物質(抗体)が産生される。抗体は残存している抗原と結合して複合物ができ,これが血液に入って症状をひきおこす。発熱,皮膚の蕁麻疹(じんましん)や紅斑,リンパ節の腫大,関節の腫張と痛みは,血清病によくみられる四つの徴候とされている。以前に異種動物の血清や薬物に暴露されたことのある人は反応が早く,症状の出現が早く,症状の程度も強い。したがって,以前に破傷風などで抗毒素血清の注射を受けたことのある人は,再注射により重篤な血清病を起こしやすいので注意を要する。
アレルギー
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百科事典マイペディア 「血清病」の意味・わかりやすい解説

血清病【けっせいびょう】

 
()尿()34()
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「血清病」の意味・わかりやすい解説

血清病
けっせいびょう
serum sickness

異種蛋白に対する過敏現象で,ヒトに動物血清を注射したときに副作用として起る。反応は免疫血清でも正常血清でも現れ,一般には皮下注射より静脈内注射のほうが発生頻度が高い。初回注射の場合,大部分は7日以内に現れ,まず皮膚,ことに注射部位に発疹ができ,全身に及ぶ。リンパ節腫脹のほか,嘔吐,けいれんなどの症状が出現する。2回目以降の注射では,抗体がすでにつくられているので反応の現れ方が速く,症状も重篤となる。最近,治療血清は改良されているが,事前の検査は必要である。

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世界大百科事典(旧版)内の血清病の言及

【アレルギー】より

…しかし,抗毒素血清による治療は,動物に免疫した血清を用いるため,蕁麻疹,発熱,関節痛,リンパ節腫張,ときにショックを起こすなどの異常な反応をもたらした。これは今日血清病と呼ばれているものであるが,抗血清の注射による〈変じた反応〉として認識された。同年R.コッホは,健康なモルモットの皮下に結核菌を注射すると,1~2週間後にその局所に結節ができ,次いで潰瘍になり,死ぬまで治らないが,結核菌の感染を受けているモルモットでは1~2日後に硬結ができ,やがて潰瘍になるが,しかしこの潰瘍は急速に治ってしまうことを発見した。…

【抗毒素】より

…この血清から免疫グロブリンを精製したものが抗毒素製剤である。抗毒素は,E.ベーリング,北里柴三郎により1890年に開発され,以来ウマの抗毒素製剤が用いられてきたが,ウマの免疫グロブリンもヒトには異種のものであり,これに対する抗体が治療をうけた患者に生じることが原因となって血清病になることがあるので,抗毒素を多量に含むヒト血清から免疫グロブリンを精製した製剤が用いられるようになってきている。しかし,ヘビ,サソリなどの抗毒素はウマ血清由来のものが多い。…

【免疫】より

…血清療法が盛んになって,異種動物,ことにウマの血清を注射すると,数日のうちに蕁麻疹(じんましん),糸球体腎炎,血管炎などの病的反応が起こってくるが,これは注射された血清に対して,生体が免疫反応を起こして抗体をつくり,生体内で抗原抗体反応が起こったためである。これを血清病という。もし同じ血清を2度注射すると激しいショック症状(アナフィラキシーショック)を起こして,しばしば死に至る。…

※「血清病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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