リッピングは「違法開錠」? 議員8割、ずさんな知識 これは嘘ニュースです
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衆議院に続き、参議院でも賛成多数で可決した。
違法ダウンロードへの刑事罰導入や、私的目的のDVDリッピング︵データ吸い出し︶を違法行為とした改正著作権法が、15日の衆議院本会議に続き、20日の参議院本会議でも可決・成立し、10月1日から施行されることが確定した。だが、賛成票を投じた国会議員の8割以上が﹁リッピング﹂を、鍵を持たずに開錠する﹁ピッキング﹂と誤認するなど、デジタル技術に対する知識がずさんであることが本紙の調査で明らかになった。
本紙では改正著作権法が参院で可決された20日、衆参両院の国会議員722人に対し、FAXで緊急アンケートを行った。有効回答数は633人︵87・7%︶だった。
アンケートでは、まず今回の改正著作権法への賛否を確認。633人中629人が賛成票を投じていた。
続けて今回の改正案について、基本的な知識を問う質問を行った。質問内容は以下の通り。
︵1︶今回の法案で複製の対応が分かれた、CD、DVD、Blu-rayの違いを教えてください。
︵2︶今回私的複製としても禁止された﹁リッピング﹂について教えてください。
︵3︶動画サイト﹁YouTube︵ユーチューブ︶﹂などで用いられている﹁キャッシュ化﹂について教えてください。
寄せられた回答のうち、︵1︶ディスクメディアの違いについて正しく答えられたのは230人︵36・4%︶。誤答のほとんどは﹁分からない﹂﹁無回答﹂だったが、中には﹁違いはない﹂︵自民党・60代男性︶という質問の意図を完全に無視した強引な回答もあった。
︵2︶﹁リッピング﹂については正答者36人︵5・7%︶と、大幅に激減。︵1︶と異なり、誤答に﹁分からない﹂﹁無回答﹂がほとんどなかった反面、衆参・与野党問わず522人︵82・5%︶が、リッピングを﹁特殊な器具を用いて鍵を使わずドアを開けること﹂︵民主党・50代女性ほか︶、﹁サムターン回し、カム送りなど﹂︵共産党・50代男性︶と回答しており、開錠技術である﹁ピッキング﹂との区別がついていないことが分かった。
ただし、この点については、誤答のパターンが極端にピッキングに偏っていることから、議員に改正法案を説明する際、官僚側が意図的に誤った情報を流したのではないか、との疑いもある。サイバー犯罪を担当する、ある警察庁幹部は﹁﹃ダブルクリック﹄も知らない老齢の議員に一から用語を教えていては、4年の任期内では到底間に合わない。寿命でも間に合わない﹂と話している。
︵3︶﹁キャッシュ化﹂を正しく答えられた議員は0人︵0.0%︶。誤答は全て﹁株券や不動産やゴルフクラブ会員権を現金化すること﹂︵民主党・70代・O沢議員ほか︶としており、国会議員らしく資産運用に長けた知識を見せた。
著作権法に詳しい京都大学法学部の坂本義太夫教授︵Winny論︶は、今回の調査結果について﹁どうせそんなことだろうと思っていたので驚きはない﹂としつつ、﹁法案成立間際、音楽業界が自民・公明に吹聴して違法ダウンロードへの刑事罰導入をねじ込んだと言われているが、多くの識者が指摘するように、違法ダウンロード撲滅は業界の活性化につながらない。良い音楽なら売れる。つまらない音楽でも握手券をつければ売れる﹂として、改正案に対し批判的な見解を示した。