2010年3月22日、ひとりの男性が成田空港からカイロへ向かう途中、搭乗していたエジプト航空機内で死亡した。
男性が搭乗した際、タオルで猿ぐつわをされ、後ろ手に手錠をはめられていた。そのときに男性の意識はすでになかったと、エジプト航空のクルーは語っている。司法解剖の結果、死亡した原因は不明とのこと。しかし遺体の確認に立ち会った未亡人は、男性の顔面に傷があったことを確認している。
男性の名前はアブバカール・アウドゥ・スラジュ、もしくはアブバカル・アウドゥ・スラジュ︵Abubakar Awudu Suraj︶さんで、享年45歳だった。アフリカのガーナ国籍のスラジさんは、1988年5月に来日、そのときのビザは2週間後に失効している。以来、18年以上不法滞在をしていたが、2006年9月に出入国管理法の疑いで逮捕された。そして同年11月には国外退去を命じられる。しかし同月に日本人女性︵48︶と結婚し、国外退去命令の取り下げを裁判所に申請。スラジさんと女性は1989年に出会い、1990年から同居生活をしていた。事実婚である。そして2008年2月、東京地方裁判所は国外退去命令の撤回を判決する。しかし2009年2月、東京高等裁判所にて地方裁での判決を覆し、ふたたび国外退去命令を言い渡す。その際の理由として、二人には子供がいないことと、妻が経済的に独立していることをあげている。
合計22年間も日本に滞在していたスラジさんは日本語に堪能であり、不法滞在以外での法的な問題はいっさいなかった。遺族および支援者は、法務省入国管理局・東京入国管理局に経過の説明および謝罪を求めている。しかし法務省入国管理局は﹁警察の捜査に任せている﹂との対応のみで、細かい説明はされていない。
この事件は日本のメディアではほとんど扱われていないが、ネット上では未亡人の名前が報道された。すると未亡人は、勤務する会社から解雇されてしまった。事件の報道によって、会社に被害が及ぶことを恐れたためだという。
ちなみに、スラジ氏が死亡する一週間前には、茨城県にある東日本入国管理センターにて、韓国人男性、およびブラジル人青年が、首つり自殺をしている。また3月には、大阪の入国管理センターにおいて、収容者70人によるハンガーストライキが行われている。
国連人権理事会のホルヘ・ブスタマンテ特別報告者は、日本国内の移民の人権問題を調べるため来日した。3月31日に都内の国連大学で記者会見し、あくまで﹁予備的な勧告﹂と断りつつも﹁国籍に基づく人種主義、差別意識は 日本にいまだ根強い﹂と指摘、人種差別防止に向けた法整備を求めた。
この事件で考えさせられるのは、次の点である。 1︶日本のメディアでは、現在この事件がほとんど扱われていない事実。 私が事件を最初に知ったのは、英紙The Economistの記事を読んだからである。 http://www.economist.com/world/asia/displayStory.cfm?story_id=16113280 そして日本の報道機関では、現在The Japan Timesの記事しか見あたらない。 http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100421a4.html
この事件で考えさせられるのは、次の点である。 1︶日本のメディアでは、現在この事件がほとんど扱われていない事実。 私が事件を最初に知ったのは、英紙The Economistの記事を読んだからである。 http://www.economist.com/world/asia/displayStory.cfm?story_id=16113280 そして日本の報道機関では、現在The Japan Timesの記事しか見あたらない。 http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100421a4.html
日本外国特派員協会(The Foreign Correspondents' Club of Japan)
http://www.fccj.or.jp/node/5565
日本語での報道は、東京新聞が報道したことを、ブログで取り上げている人がいる程度である。
http://www.bochao.jp/article/13683529.html
また遺族を支援しているAPFSという団体が、ネット上で記載している。
http://apfs.jp/report20100430_682.php
朝日や毎日新聞もこの事件について報道した形跡があるが、現在ネット上ではリンクが消滅している。 どうやら、なんらかの報道規制によって、日本の報道機関ではこの事件を闇に葬り去ろうとしているのだろうか。 ただしネットの時代では、こういった報道規制を打ち破ることができる。事件の真相はどうあれ、健全で公正な社会をつくるためには、このような事件はもっと報道されるべきである。
2︶スラジ氏の死亡原因の不透明さ これは、入国管理局と警察との癒着の可能性が考えられる。司法解剖の結果も、あまりにもあやしい説明である。発展途上国からの外国人ということで、ソト︵外国人︶に対して、ウチ︵日本人︶の利益を守るというメンタリティーが働いているのだろうか。 3︶未亡人が勤務先を解雇されたという事実。 余計なことに巻き込まれたくないという会社の心情も理解できないこともないが、これはあまりにも酷い話だ。しかしここで、解雇した会社だけを責めても問題は解決しない。それは事実として、そういった事件に関わっていたということで取引先として手を引く会社の存在があるからだ。つまり日本の社会全体の風潮として、何か人と違ったことをする相手をできるかぎり排除する傾向が原因であろう。正しい行為であるかという判断ではなく、異質なものが悪となってしまう社会なのである。 こういった風潮は、日本社会の奥底に根付いている非常に危険な問題だと思うのは、私だけだろうか。
朝日や毎日新聞もこの事件について報道した形跡があるが、現在ネット上ではリンクが消滅している。 どうやら、なんらかの報道規制によって、日本の報道機関ではこの事件を闇に葬り去ろうとしているのだろうか。 ただしネットの時代では、こういった報道規制を打ち破ることができる。事件の真相はどうあれ、健全で公正な社会をつくるためには、このような事件はもっと報道されるべきである。
2︶スラジ氏の死亡原因の不透明さ これは、入国管理局と警察との癒着の可能性が考えられる。司法解剖の結果も、あまりにもあやしい説明である。発展途上国からの外国人ということで、ソト︵外国人︶に対して、ウチ︵日本人︶の利益を守るというメンタリティーが働いているのだろうか。 3︶未亡人が勤務先を解雇されたという事実。 余計なことに巻き込まれたくないという会社の心情も理解できないこともないが、これはあまりにも酷い話だ。しかしここで、解雇した会社だけを責めても問題は解決しない。それは事実として、そういった事件に関わっていたということで取引先として手を引く会社の存在があるからだ。つまり日本の社会全体の風潮として、何か人と違ったことをする相手をできるかぎり排除する傾向が原因であろう。正しい行為であるかという判断ではなく、異質なものが悪となってしまう社会なのである。 こういった風潮は、日本社会の奥底に根付いている非常に危険な問題だと思うのは、私だけだろうか。
日本は戦争が終わっても何も変わっちゃいない。クソ狭い国だから抑えるところを抑えれば情報操作もやりやすいだろうし、国民もその状況になんとなく満足げである。
返信削除死亡原因については分かりませんね。 何らかの犯罪行為があったのなら 絶対に究明されるべきだと思います。
未亡人の解雇についてですが、 この時代40代後半の方が解雇されるのは 珍しい事ではありません。 厄介払いが出来たと考えているかもしれませんが・・・。 取引先については、 このようにネットで主に報道されている事件で 解雇を求めていたというのは飛躍しすぎだと思います。 何かソースがあるんでしょうか? 残念ながらネットの声というのはまだまだ小さい物だと思います。 取引の権限を持つ人が それだけで手を引いたとは考えられません。
時間で消えただけで、朝日新聞も小さく取上げたのでは? http://ceron.jp/url/www.asahi.com/national/update/0323/TKY201003220361.html
返信削除記事のご紹介ありがとうございます。日本の報道では知ることのできなかった事実が多く、参考になりました。ついでに訳しました:
返信削除http://anond.hatelabo.jp/20100601120843
マスコミが無視したというのは違うんじゃないでしょうか?
返信削除現在リンクは消えているとは言え報道はされたようですし、東京新聞に至っては人権問題として大きく取り上げています。
>ただしネットの時代では、こういった報道規制を打ち破ることができる。事件の真相はどうあれ、健全で公正な社会をつくるためには、このような事件はもっと報道されるべきである。
これなど全く逆ではないかと私は感じます。報道は多くはなかったのかもしれませんが、報道はされたにもかかわらずその痕跡が残っていないというのはつまるところ「ネット民が関心を示さなかった」からではないでしょうか。外国人に対する差別意識が強いのはマスコミよりもむしろネット上で発言している多くの人々ではないでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/hakkenku/20100601/1275366136
返信削除このブックマークから感じる事
古い事例しかありませんが
返信削除入管収容施設問題を考える
http://hwm5.gyao.ne.jp/tabunka/nyukan/
牛久入国管理センターのハンスト
返信削除http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51406636.html
現在このブログの記事は大きく注目を集めています。ツイッターでは少なくとも600人以上がこの記事を取り上げています。http://topsy.com/mezaki.blogspot.com/2010/05/blog-post.html
しかし、おそらくこれはこの﹁事件﹂に対する感心からのものではないでしょう。これがもしマスコミを批判する内容が無く、事件のあらましのみであったなら果たして注目を集めることが出来たでしょうか?単にマスゴミ批判を好物とする人が多いから注目を集めた。私はそう考えます。 事件のあらましのみであったなら、東京新聞についてはネット上では売国新聞扱いする向きも有りますからむしろこうした報道を﹁行った﹂ことを売国行為と批判する流れになったかもしれません。
これはどうかと思いますが? それとも、外国人犯罪は小さい問題でしょうか。
オーストラリアに今住んでいるのですが、日本の国際感覚には本当にがっかりします。日本人として恥ずかしいです。
少子高齢化が深刻な日本がこれから 世界で生き抜いて行くのに移民政策等が大切になってくるのは確実なのに、こんなことがあってはならないと思います。
憶測なんかではありません。事実です。過去に何度も同じような事件があり報道もされています。事実を事実として認められない、認めたくない、そんな方たちが日本には多いようですね。所詮、外国人が日本国内で人権侵害を明らかに受けていたって他人事なんでしょう。同じ日本人としてはずかしいです。最初は私だって信じられなかったけれど、自分の国で人知れずに虐待され、命を奪われていくという事実は重かったです。国会でも何度も取り上げられているはずです。それでも放置されてきているのです。
返信削除これぐらいは知っておいてほしい。
返信削除強制送還・・・「薬物投与送還」と「簀巻き送還」
http://hwm5.gyao.ne.jp/tabunka/nyukan/case/yakubutu.htm
乳児の収容
http://hwm5.gyao.ne.jp/tabunka/nyukan/chica/chi00.htm
茨城県にある東日本入国管理センターですが、牛久市にある施設です。 この施設は市民でも知っている人はあまりいません。このため中の実態はこのようなニュースがない限り、一般の人はわからない状態です。 報道規制?状態な為、一般の人が知るためには演説等この施設があること・実態を説明しないと無理でしょうね。しいて言えば牛久市あたりから演説して市民を動かさないと国内広まらないと思います。
taniguchiさん、翻訳をありがとうございました。
aaaさん、未亡人の解雇の経緯については、英紙The Economistからの引用です。
さて、他のコメントの中で少々気になった部分があったので、私なりの視点を追記したいと思います。
まずスラジュさんが結果として強制退去になったという点ですが、大筋として異論はありません。しかし問題は、不法滞在をしている人々を、日本がどのように扱っているかということです。︵こまちゃんさん、入国管理局での詳しい現状について、情報をありがとうございました︶
﹁不法滞在をしていたのだから、不利益を被るのは当然﹂という意見がありましたが、一番重要な点は、どこまでを﹁不利益﹂とするかではないでしょうか。つまり極論をいうと、﹁不法滞在をしていたのだから、人間として扱われなくても、たとえ殺されてもしょうがない﹂という意見なのでしょうか?
おそらく、そういった発想をしている人々が入国管理局で働いているような気がします。ただし、それは入国管理局の人々の問題だけではいと思います。多くの日本人の発想のどこかに、同じような傾向があるのだと思います。
不法滞在について異論はないなどと言っておいて
返信削除推定から日本人の彼らに対する扱いが存在するように結論付けている
ホルヘ某の発言は日本の法などの不備や移民に対する風土へのもので
件の問題には実質的に関係するとは思えない
さらに自殺やストは日本側に責任が存在するといわんばかりだが
どんな国でも強制退去させられる人間が退去させる側をよく言うことなどない
結局強制退去に直接批判が出来ないからその過程での問題を引っ張ってきて
さも強制退去自体に問題があるように主張しているようにしか受け取れない