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- ナショナルジオグラフィック日本版
- 2016年2月号
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地下に眠るロンドン
新しい地下鉄﹁クロスレール﹂の建設や再開発が進む英国ロンドン。新しい街をつくるため掘られた地下から、歴史を物語る遺物が次々と見つかっている。
文=ロフ・スミス/写真=サイモン・ノーフォーク
ロンドンのように歴史のある大都市では、舗道の敷石の下からも、実にさまざまなものが出てくる。紀元1世紀のフレスコ画から、中世のアイススケート靴、さらにはゾウの歯まで見つかっている。
ロンドンはヨーロッパでも最古の都の一つで、いつの時代にも絶え間なく多くの人々が行き交い、暮らしてきた。ローマ人、アングロサクソン人、ノルマン人の都となり、チューダー朝やジョージ朝が繁栄した。そして上流階級の道楽者が町を闊歩する摂政時代を経て、ビクトリア朝を迎えた。
時代が変わるたびに、考古学的に貴重な遺物が積み重なり、深いところでは9メートルに達する地層ができた。現代のロンドンはそうした歴史の上に発展しているのだ。
建設ラッシュで﹁お宝﹂発見の好機到来
だがロンドンは、人口800万を超える大都会でもある。道路はいつも混雑し、高層ビルや巨大な建築物がそびえる。コンクリートをはがして、その下の地層を調査できる機会はめったにない。ところが最近のロンドンは建設ラッシュで、大規模な土木工事もあちこちで進行している。地中深くに埋もれた歴史を探ることができる、またとないチャンスが訪れているのだ。 数年前、ロンドンが誕生して間もない頃の物語が一つ明らかになった。コードウェイナーという由緒ある地区に、経済・金融情報の配信会社ブルームバーグが、欧州本部の社屋を建てることになった。1.2ヘクタールの建設予定地を深さ12メートルまで掘削したところ、ローマ時代の貴重な遺跡が見つかったのだ。 それはロンドンが、﹁ロンディニウム﹂と呼ばれていた頃の古代ローマ時代の街並みだった。 ※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年2月号でどうぞ。
ロンドンの地下には、深いところで9メートルにも達する“遺物の地層”があるそうです。普段生活をしている地面のすぐ下に、人骨やさまざまな遺物が埋まっているというのは、想像してみると奇妙なものですが、この大都市で見つかった出土品の写真はどれも興味深いものばかりでした。
新石器時代のおのや、紀元2世紀のワシの彫刻など、大昔の出土品でもかなり良い状態で残っていることに驚きます。シンプルながらもエキゾチックな雰囲気が漂う13世紀の中東の香水瓶や、シェイクスピア時代に﹁雷鳴の音を演出するために使われた﹂という砲弾にも目を引かれました。︵編集M.N︶