リリースまで1か月を切ったところで、2日で3度の新ビルド公開という急展開を見せたWindows 10。ようやく製品としての体裁を整えてきたようにも見える。現時点でのビルドはBuild 10162。だが、まだまだ変わりそうな気配もある。今回は、そんな中で、Windows 10に搭載される標準アプリケーションに注目してみよう。
スタートメニューとアプリの種類
Windows 10では、スタートメニューが復活する。だが、それはアプリタイルが並ぶWindows 8.xのスタート画面でもなければ、Windows 7まででお馴染みの懐かしのスタートメニューでものでもない。その折衷案とも言えるものだ。よく言えばどちらのユーザーにも使いやすいものだが、どちらのユーザーも失望させるものにもなりかねない。そのギリギリの瀬戸際にある崖っぷちメニューだ。
まず、スタートメニューそのものがスクリーンアダプティブであり、レイアウトアダプティブだ。タブレットモードではフルスクリーンで表示され、タブレットモードを抜けると通常のサイズになる。この通常のサイズは、エッジ枠のドラッグで任意のサイズに変更できる……はずなのだが、これがうまくいかない。サイズ変更ハンドルは表示されるのだが横方向の変更が不可能だ。おそらくは、スタートボタンが最小化された状態のタスクバーアイコンで、スタートメニューはアプリを一覧するためのウィンドウであるのだろう。肝心のシェルがこの状態では先が思いやられる。
復活したスタートメニュー。デスクトップからは2ペインの通常サイズで表示される 項目によってはジャンプリストで任意のタスクが選べる。タスクバーのジャンプリストそのものだ
スタートボタンをクリックしてスタートメニューを開くと、右ペインにはアプリのタイルが並んでいる。これはWindows 8.xにおけるスタートスクリーンをそのまま持って来たイメージだ。
また、左ペインにはよく使うアプリが上部に並んでいる。アプリによっては“>のマーク”によって階層化され、そこからショートカットメニューや過去に開いたファイル履歴を参照できる。これは、これまでのジャンプリストそのものだとも言える。
左ペイン下部には﹁エクスプローラー﹂、﹁設定﹂、﹁電源﹂のコマンドリンクが並び、最後に﹁すべてのアプリ﹂がある。﹁すべてのアプリ﹂のクリックで、左ペインには名前順にアプリが並ぶ。並びは縦1列固定だ。表示幅の変更もできないから長い名前のアプリの区別が難しい。長い名前の後ろにバージョン番号や年号などが続くアプリ名は気を付けた方がよさそうだ。また、並び順も名前順のみで、日本語名のアプリは最後尾に位置し、読みの五十音順でも何でもないので、ひどく選びにくい。
﹁すべてのアプリ﹂は、デスクトップアプリもストアアプリも同列だ。個々のアプリを右クリックした時に、﹁スタート画面にピン留めする﹂と﹁アンインストール﹂しか表示されないのがストアアプリ、﹁アンインストール﹂がなく、﹁タスクバーにピン留めする﹂、﹁管理者として実行﹂、﹁ファイルの場所を開く﹂が出てくるものがデスクトップアプリだ。ここでは便宜的に﹁ストアアプリ﹂と呼んでいるが、今後は、あらゆるアプリがストア経由で配布されることになるので、話はややこしい。
さらに﹁スタート画面にピン留めする﹂、﹁タスクバーにピン留めする﹂、﹁アンインストール﹂が表示されるものもある。どうやら、これがユニバーサルWindowsアプリのようだ。ただし、Windowsの標準アプリについてはアンインストールできないようだ。
見分け方としては、次のようになりそうだ。
・デスクトップアプリ
スタート画面とタスクバーの両方にピン留めできる
・ユニバーサルWindowsアプリ
スタート画面とタスクバーの両方にピン留めでき、アンインストールもできる
・ストアアプリ
スタート画面だけにピン留めでき、スタート画面からアンインストールできる。
今後、デスクトップアプリとユニバーサルWindowsアプリは、その区別がどんどん分かりにくいものになっていくのだろう。
タブレットモードではスタートメニューが全画面表示される 左ペインは非表示で左上のボタンをタップすると表示される スタートボタンのクリックでスタートメニューが表示され、そこからさらにすべてのアプリで起動したいアプリを選ぶ アプリごとにショートカットメニューが異なる。ユニバーサルアプリはスタート画面、タスクバーの双方にピン留めでき、アンインストールもできる 勢揃いした新規アプリ
さて、すべてのアプリを一覧表示させていくと「新規」というラベルがついているものが見つかる。これらは新たにインストールされたアプリで、一度実行すると、新規ラベルは表示されなくなる。ザッと見てみたところ、
・3D Builder
・Get Office
・Get Started
・Microsoft Solitaire Collection
・Microsoft Wi-Fi
・OneNote
・People
・Skypeを手に入れよう
・Windowsフィードバック
・Xbox
・カメラ
・カレンダー
・サポートに問い合わせる
・ストア
・スポーツ
・ニュース
・フード&レシピ
・フォト
・ヘルスケア
・ボイスレコーダー
・マップ
・マネー
・ミュージック
・メール
・リーダー
・映画とレシピ
・検索
・電卓
・電話コンパニオン
といった新規項目がある。ちなみにメールやカレンダーは右クリックしても「スタート画面からピン留めを外す」だけが表示され、ここではアンインストールができないことが分かる。おそらくシステムアプリとして登録されているからだと思われる。
主立った新規アプリを見ていこう。
・3D Builder
英語版がストアで公開されていた3Dプリンタ用のオブジェクト作成アプリ。Windows 10が3Dプリンタを標準サポートしていることから標準アプリとして用意されるようだ。
・Get Office
新たなOfficeアプリとしてのSway、Windows 10での標準アプリになる可能性が高いOneNote、そして、Office Onlineへのリンクなどが用意されたランチャー。
・Microsoft Wi-Fi
Windows 10のリリースと同時にサービスインするらしきMicrosoftのWi-Fiサービス。料金などの詳細についてはまだ未発表だが、Windows 10と統合され、ネットワークリストに表示される﹁WindowsストアからWi-Fiを購入﹂を選択して接続することができるようになるという。ホテル、空港、会議センターなどの一般的なWi-Fiスポットで利用することができるという。
・電話コンパニオン
スマートフォンとの連携を実現するためのユーティリティ。Windows Phone、Android、iPhoneまたはiPadがサポートされている。OneDrive、OneNote、Skype、Office、Outlookなどをスマートフォンに導入することを支援するためのものだ。各プラットフォームでのストアにおけるアプリのアドレスが自分宛のメールで送られ、Windows 10と同じMicrosoftアカウントでのログインをナビゲートする。なお、Cortanaとミュージックは﹁間もなく登場﹂となっている。また、接続されたスマートフォンのバッテリの充電状態やストレージの使用状況などが表示される。
・サポートに問い合わせる
Microsoftの製品やサービスについてのサポートを得るためのユーティリティ。Microsoft Answer Techとオンラインでチャットができるサービスも提供されるようだ。
・Windowsフィードバック
カテゴリごとに分類され、ユーザーからのフィードバックを一覧したり、それぞれのフィードバックに賛成票を投じたり、新たなフィードバックを追加することができる。ただし、ここで問題が解決するわけではない。あくまでも目安箱だ。
・メール
レイアウトアダプティブで、ウィンドウサイズによって、その表示レイアウトを柔軟に変化させる。項目のスワイプによるクイック操作がサポートされ、左右のスワイプに既読/未読設定や削除、移動、フラグ設定などを割り当てることができるようになった。メッセージ一覧はスレッド表示のみとなり、以前のように単純な時系列表示ができなくなっている点は“改悪”だ。
・カレンダー
レイアウトアダプティブで、ウィンドウ幅がある程度狭くなると、週表示、日表示からリスト表示へとレイアウトが変化する。複数のアカウントを設定できて、予定を設定するアカウントを選択できるが、デフォルトのアカウントを指定できないなど、実用には耐えないような不具合が残ったままとなっている。
3D Builderは3Dプリンタのためのモデリングアプリ Get Officeは、各種Officeアプリの導入支援のためのランチャー Microsoft Wi-Fiは、どうやら新サービスとして提供されるインフラのようだ 電話コンパニオンで、各スマートフォンプラットフォームとWindowsとの連携を支援する スマートフォンをUSB接続すると、マスストレージとして接続され、各種のアプリを使った連携をナビゲートしてくれる 接続されたスマートフォンのストレージや充電状況が分かる サポートに問い合わせるではサポートスタッフとオンラインチャットで問題解決にあたれるようになるらしい フィードバックアプリを使って不具合や改善要望を送ることができる