MDT242WGLast-modified: 2008-02-03 (日) 21:49:38 (6016d)
︵モニターはPC関連機器の中でも、比較的個体差が大きい製品です。そのため、以下のレビューは全ての﹁MDT242WG﹂には該当せず、個体特有のものである可能性があります︶*1
概要HDMIを2系統とD5入力を持つ、フルHD対応のマルチメディア液晶モニタ。 最大表示解像度はWUXGA(1920x1200)の24.1インチワイド。 入力の豊富さと動画に強いことが特徴。 前モデルのMDT241WGのマイナーアップデートモデルで、リモコンが付属するようになった。応答速度は、中間色で6ms︵オーバードライブ︶。黒→白,白→黒は16ms。 輝度500cd/m2,コントラスト比1000:1,視野角度 上下左右178度。 入力系統は全部で6系統。 PC系は、DVI-D︵HDCP対応︶とアナログRGB。 AV系は、HDMI 2系統,D端子︵D5対応︶,S-Video/コンポジット︵排他入力,S端子優先︶。 HDMIはPCからの入力、DIVはAV機器からの入力にも対応している。*2 PinP機能で、制限付きだけどPCの画面上に他の入力を子画面として表示可能。 付属のリモコンは、すてべの設定・操作を行うことができる。 5Wx2chのスピーカーとアンプを内蔵。光デジタル音声出力,アナログ音声出力端子があるため、外部に音声出力することも可能。 画面表示パネル
表面に反射防止加工がされたノングレアパネル。ツルピカじゃないタイプ。
液晶パネルはAUOのA-MVA。マルチメディア液晶モニタはSamsungのS-PVAが使われることが多いためか、雑誌系ニュースサイトの新製品情報ではA-MVAパネルということが書かれていた。液晶モニタは新製品情報ではパネルの素性を明らかにしないことが多いので、ちょっと珍しい。
表示にギラツキ感はなし。S-PVAパネルと比べると格段に快適。 白が多い表示にして近い位置で見ると少し粒子感があるけど、よっぽど気にしてないと気づかないレベル。 ノングレアパネルにしては、少し表面が光を反射しやすい。 照明が映りこむほどの反射ではないので、普段使う分には影響はなさそう。自分の背後に直射日光クラスの強い光源がなければ問題ない。 白を前面に表示すると、四隅に若干の輝度の落ち込みがあるように感じる。 それと、視野角は広いわりには、色や輝度が変化しない角度はあまり広くない印象を受けた。 正面から少し角度が変わると、色がやや黄色寄りになって輝度がわずかに下がる。 そのため、視線をパネルの中央に向けていると、周辺部で色の変化や輝度の落ち込みを感じてしまう。 モニタから1mくらい離れていればほとんど気にならないレベル。50cmくらいの近い位置で使うなら輝度むらや色むらに感じてしまうかもしれない。 応答速度は、最近の液晶では標準的。 動画再生用の追加機能があるモニタだけど、よっぽど動きの激しい映像でもなければ標準のままでも気にならなかった。 明るさと色表現
明るさや色に関する初期表示は次の通り。
●ブライトネス100%
●コントラスト50%
●シャープネス50%
●明るさセンサー‥オフ
●カラー調節‥N︵Native,特に色調節をしない︶
はっきりいって、何でこういう設定になっているのかわからないほどに見づらい。
まず、ブライトネス100%はあまりにもまぶしすぎる。 ﹁LCD-MF241X﹂の初期設定もかなりまぶしかったけど、これはそれ以上。白を全画面に表示すると、室内蛍光灯よりも明るい。 照明が明るい店頭表示に合わせて設定してあるのかもしれないけど、そのまま室内で使うのは無理。 ブライトネスは20%以下が実用範囲だと思う。私は、7.0%まで落とした。 周辺の明るさに合わせてブライトネスを自動調整する﹁明るさセンサー﹂はかなり便利。 設定値は弱,中,強の3段階。 中,強にしておけば、自動であまり疲れない輝度になる。ブライトネスの手動設定はいらないほど。 センサーはモニタ枠の下中央にある。センサーに影が落ちると、それを感知してモニタの輝度が変わってしまう。室内照明や座っている位置によっては頻繁にブライトネスが変わることになるかもしれない。 初期状態では、なぜかシャープネスが強めに設定されている。 “表示をくっきりさせる”というレベルじゃない。輪郭が強調されすぎて、テキストの周辺などにノイズが出てしまっている。 おかげで、PCの画面がかなり汚く見えてしまう。 シャープネスを20〜30%に落とすと、輪郭ノイズも消えて見やすくなる。PCのモニタとして使うのなら、シャープネスの設定を見直すのは必須。 コントラストやカラー調節は、色に厳密な使い方をしないのなら、特に設定を変えなくても良さそう。特定の色に偏るような違和感はなかった。*3 シャープネス設定
DVIでデジタル出力してドットバイドット表示すれば、1ピクセル=1ドットに割り当てられてくっきりした表示になる。
そして、本来ならドット間の表示の干渉はないはず。
ところがMDT242WGの画面調節には、周辺ドットへの影響を設定する﹁シャープネス﹂という項目がある。 デジタル表示なのに、まるでアナログ的な動作。 あまり大きな変化はしないものの、﹁シャープネス﹂の値を変えると、色の差が少ないドット間で干渉が起こる。 ![]() ![]() ![]() この画像は、Windows付属の﹁電卓﹂のメニュー部分をマクロ撮影したもの。 背景は灰色︵RGB=192,192,192︶,文字は黒︵RGB=0,0,0︶の表示*4。 シャープネス50.1%や19.2%では、輝度に差があるドットがある。 ﹁シャープネス﹂の初期値は50.1%が設定されている。輪郭がくっきりした印象だけど、色の組み合わせによってはテキスト周辺にエッジノイズが浮かんでいるように感じることがある。 設定はなぜかスムーズに変わらない。45.4%→45.0%,26.2%→25.8%,19.6%→19.2%で大きく変化︵上げる方向は試してない︶。 19.2%以下では、ぼかしがかかったように見える。 接続機器,ケーブルの相性や、使用者の好みもあるので、自分の環境に合った表示になるように調整が必須。 うちの環境では、26.2%以上ではわずかにエッジノイズを感じることがあったので、25.0%に落とした。 表示モード・映像設定
とにかく表示モードや機能が多すぎて混乱気味。使う表示モードによって有効だったり無効だったりする機能があるので、なおさらワケわからない。
おまけにAV系入力は、画面の拡大表示設定とは別に、表示アスペクト比の設定があったりする。
もう少しすっきりと整理することはできなかったんだろうか……。
DV MODE (Dynamic Visual MODE)色や輝度に関する基本的な動作を切り替える機能。 スタンダード1標準の動作モード。普段はこのまま使っていて問題なさそう。 スタンダード2
カラー調節で﹁SATURATION︵彩度︶﹂と﹁HUE︵色合い︶﹂も設定できるようになる。
色調整のメニューは増えるけど、露骨にトーンジャンプ*5がでてくる。いったい何のためのカラー調節機能なのかと。
内部的に映像を圧縮して処理しているのが、トーンジャンプの原因らしい。
色の再現性は壊滅的になるけど、出力遅延は﹁スタンダード1﹂より少ないらしい。速度重視の場合に選択。 スタンダード2にすると、﹁CRオプティマイザー﹂と﹁IV MODE﹂も使えるようになる。 遅延が少なく機能も豊富。しかし画質だけは致命的という、なんとも極端なモード。 テキスト画面の輝度を押さえて、文字を長時間見続けるのに向くモード。標準では色温度も下がって、落ち着いた色合いになる。 sRGB色調整がsRGB(sRGB:Wikipedia フォト
白黒にメリハリをつけた、自然画に適した設定――らしい。
しかし実態は謎モード。
暗い部分はより暗く、明るい部分はより明るくなる。 つまり、暗部は黒つぶれしやすく、明部は白飛びしやすくなってしまう。 明暗差が大きく見えるので、﹁MDT242WG﹂をフォトフレームとして使うなら、見栄えはするかもしれない。 はっきりいって、﹁スタンダード1﹂の方が綺麗に見える。 静止画閲覧用ということで、動画用の﹁MP MODE﹂は使えない。 ゲーム1
中間色にメリハリをつけて、迫力ある映像にするモード。
色がより鮮やかに見える。
反面、暗部は黒つぶれしやすくなっている印象。
好みに合わせて﹁スタンダード1﹂と使い分けるといいかも。
ゲーム2
﹁スタンダード2﹂のゲームモード版。
もちろんトーンジャンプが発生するけど、﹁スタンダード2﹂に輪をかけてひどくなる。
﹁スタンダード2﹂と同じように遅延は少ないようなので、速度重視の場合に、画質の劣化を割り切って使うモード。
ムービー
謎モードその2。というか、﹁DV MODE﹂中で一番謎なモード。
暗いシーンの階調表現力を引き上げたモードらしい。
確かに暗部は黒つぶれしにくい気がする。 ところが﹁スタンダード2﹂なみにトーンジャンプがおきているので、中間階調がすっ飛ぶ。 おまけに、どうも色が飽和しやすいらしいようで、かえって薄っぺらい表示になってるような印象を受ける。 このモードは、あんまり使うことはなさそう。 MP MODE (Motion Picture MODE)- 動画再生
動画ブレ抑制技術﹁MP ENGINE﹂で液晶の残像感を低減する機能。有効にすると、動きの早い動画がくっきりとした表示になる。
効きの強さをレベル1〜3の3段階で選択可能。リモコンの﹁MP MODE﹂ボタンで簡単に切り替えることができる。
黒挿入とバックライトの消灯を組み合わせているので、レベルが高くなるにつれて画面は暗くなる。﹁MP MODE﹂を有効にするだけで、ブライトネスが10%以上低くなるように感じた。
動画のブレ抑止は、レベル1でもはっきりとわかるほど。ぼやけていた輪郭部分がすっきりする。 でも、レベル1から2や3に上げた時はあまり大きな違いは感じなかった。 静止画に対しては、まったく意味がないどころかチラツキが多くてかえって見づらい。 PCの通常画面、Web表示などではチラツキがひどくてまともに作業するのは無理。 画面の一部分でのみ動画を表示している場合も、動画に対するブレ抑止効果より周辺のチラツキの方がきつくて画面を見続けることができなかった。*6 動画を全画面に表示している時にのみ使える機能と考えた方が良さそう。 個人的には、DVDの再生などよりもゲームに効果が大きいように感じた。 全画面表示が前提だけど、シューティングやアクションをやる時はかなり画面が見やすくなる。 スルーモード
画面表示時の処理を極力省略することで、映像表示の遅延を最小限にするモード。
タイミングがシビアでわずかな遅延でも影響がある種類のゲーム*7に効果を発揮する。
表示の遅延が少なくなるかわりに、制限も多い。 ●色調節など一部の画質調節機能が働かない。 ●画面サイズは﹁フル﹂﹁アスペクト﹂のみ。﹁リアル﹂﹁2xズーム﹂は使えない。 ●PinPが使用不可。 ●オーバースキャン併用不可。FULL︵100%︶固定になる。 ●AVアスペクトで﹁AUTO﹂﹁16:9﹂の選択ができない。16:9映像を表示するには、﹁16:9MODE﹂という若干アスペクト比が違う表示を使うことになる。 ●﹁MP MODE﹂と併用する場合は、垂直周波数が60Hzでなければならない。 ●プログレッシブ表示のみ対応。インタレース表示では﹁スルーモード﹂は使えない。S端子,コンポーネントビデオ,D1︵480i︶入力ではスルーモード不可。インタレース→プログレッシブ変換︵デインタレース︶処理が必要で、入力を加工せずに表示することができないため。*8 スルーモードを有効にすると、遅延がおよそ1フレーム︵約17ミリ秒︶短縮されるらしい。 もともと遅延の少ないモニタなので、効果はなかなか実感しにくい。手持ちのもので効果を体感できるものはなかった。*9 ゲームをやりこんでいる人には、それなりに違いがわかるらしい。 画面サイズ・拡大表示
最大解像度より小さいサイズを表示する場合、4種類の表示モードを選択することができる。ただし、﹁スルーモード﹂が有効な時は﹁リアル﹂﹁2xズーム﹂は使用不可。
1920x1200表示では画面サイズの選択はできない。この場合、表示は﹁リアル﹂と同じになる。
リモコンでは﹁画面サイズ﹂ボタンで切替え。
フル
アスペクト比︵映像の縦横比︶に関係なく1920x1200で全画面表示するモード。アスペクト比が16:10以外の映像は、縦または横に引き伸ばされた映像になる。
拡大時にスムージング処理がかかるので、輪郭が少しぼやける。
あまり意図して使うことはないと思う。 ただ、PinP機能など一部の機能では、﹁フル﹂じゃないと正しく動作しないことがあるらしい。 ﹁フル﹂モードは“全ての機能が使える画面サイズ”という位置づけになってる様子。 アスペクト
映像のアスペクト比を維持したまま、縦または横がいっぱいになるように拡大表示。
たぶん、一番よく使う画面サイズ。
余った部分は、設定メニューの﹁ツール﹂-﹁サイドカラー﹂で設定した色が表示される。初期値は紺色。黒にしておいた方が違和感は少ないかもしれない。
﹁アスペクト﹂モードで表示すると、映像には必ずスムージング処理がかかる。 整数倍に拡大される800x600→1600x1200の時も、拡大が必要ない1600x1200も、スムージングがかかってしまう。 スムージングのかかり具合はあまりきつくないので、“少しソフトになった”くらいの印象。 スムージングの強さを設定する項目はない。 シャープネスを設定する項目はあるけど、変更してもはっきりと違いがわかるような差はなかった。どうやらシャープネスの設定は、テキストにより強くかかるようで、画像にはあまり影響がないように感じた︵まったくかからないわけじゃないようだけど︶。 表示機能には制限なし。 リアル
拡大表示を行わず、入力解像度のままドットバイドットで表示する。1920x1200に足りない部分は、設定メニューの﹁ツール﹂-﹁サイドカラー﹂で設定した色が表示。
どの解像度でもスムージングがかからないのが最大の特徴。
パネルが大きいこともあって、小さな解像度ではかなり狭い表示になるように感じる。スムージングをかけたくない場合くらいしか使うことはなさそう。
﹁スルーモード﹂が有効な時は選択できない。 2xズーム
映像を縦横2倍に拡大して表示する。960x600を超える解像度では﹁リアル﹂と同じ表示。
﹁2xズーム﹂の時も、﹁アスペクト﹂と同じように若干のスムージングがかかる。 1ピクセルを2x2ドットで表示するピクセル2倍拡大表示にはならない。わずかに輪郭がぼやけてしまう。 ![]() この画像は、解像度800x600で「2xズーム」「アスペクト」拡大表示して、マウスカーソルの一部をデジカメで撮ったもの。 ![]()
参考に、1920x1200でドットバイドット表示になっているマウスカーソルを、上の写真と同じレイアウトになるように拡大したもの。
点灯しているドットの光が黒い部分に漏れてはいるけど、ピクセルによって点灯/消灯がきっちり分かれている。
800x600のゲームを全画面表示する場合など、ピクセル2倍拡大の方がいいこともあるので、ちょっと残念。 スムージングの係り具合は弱めで、不自然な映像になることはなさそう。 PC系の表示では、いまひとつ﹁アスペクト﹂モードとの差別化ができてない。 AV系では、D2サイズ以下の映像を表示する時に便利。 ﹁アスペクト﹂より一回り小さくなるけど、十分広い表示ができる。そして映像とドットの差が少ないので、へんなぼやけ方をしない。特にゲーム機からの映像は、すっきりとした表示になって見やすい。 ﹁スルーモード﹂が有効になっていると選択できない。 解像度別の表示確認表示はDVI接続で確認。「表示できないモードを隠す」を選択して、対応してない解像度は選択できないようにしている。
AVアスペクト
HDMI,D端子,S端子,コンポジットビデオのAV系入力では、﹁画面サイズ﹂が﹁フル﹂ではない場合、さらに表示アスペクト比の選択ができる。
画面サイズが3種類︵アスペクト,リアル,2xズーム︶に加えてAVアスペクトが6種類︵オフ,AUTO,4:3,16:9,16:9MODE,サイドカット︶あるので、組み合わせは多い。
おまけに、D2以下とD3以上の入力では選択できるモードが違ったり、動作が変わるものがあったりする。
はっきりいって、かなりわかりにくい。
リモコンでは﹁アスペクト﹂ボタンで﹁AVアスペクト﹂を切替える。 HDMI機器はまだ持ってないので、PSPのD端子出力で表示を確認してみた。 PSPのD端子出力はD2︵480P︶サイズ。 ﹁テレビタイプ﹂を4:3にすると上下に黒帯がつくレターボックス映像︵レターボックス:Wikipedia ![]() ![]() オフ入力映像を調整せずに出力する機能。D2以下の入力時に選択可能。 AUTO
4:3と16:9を自動認識して正しいアスペクト比になるように出力するモード。D2以下の入力時に選択可能。
﹁スルーモード﹂が有効な時には選択することができない。
PSPの入力︵D2/480P︶は自動認識がうまくできなくて、PSP側の設定に関係なく4:3表示になってしまった。 そのため、16:9の表示は横が圧縮されたままで表示されてしまう。 4:3のレターボックス映像は黒帯付きで表示︵左右もあまるので、上下左右が黒枠になる︶。 4:3入力映像を4:3固定で表示する。D2以下の入力時に選択可能。 16:9
入力映像を16:9固定で表示する。
﹁スルーモード﹂が有効な時には選択することができない。
D2以下とD3以上で少し処理内容が変わるらしい。 D2以下だと、縦を縮小して16:9にしてから表示。 D3以上だと映像をそのまま表示。ちょうど、D2以下の﹁オフ﹂モードと同じ動作。 D2以下では、拡大処理ではなくて縮小しているようなので、若干の画質の劣化があるのかもしれない。 D2以下では強制的に横長表示にするので、PSPの16:9表示も正しく表示された。 ただ、PSPのゲーム中の画面は4:3に上下左右の黒枠をつけた映像になるので、16:9のままゲームを始めると横に引き伸ばされた映像になってしまう。 16:9MODE
﹁スルーモード﹂が使用時に、16:9に近い表示にするための表示モード。16:9より若干横につぶれた表示になる。
﹁16:9MODE﹂を選択すると自動で﹁スルーモード﹂もオンになる。反対に、﹁16:9MODE﹂選択中に﹁スルーモード﹂をオフにすると、AVアスペクトは﹁AUTO﹂か﹁16:9﹂に切り替わる。﹁スルーモード﹂専用の表示モード。
﹁オーバースキャン﹂が使えず、﹁画面サイズ﹂は﹁フル﹂と﹁アスペクト﹂に制限される。
サイドカット16:9映像を縦いっぱいに表示する機能。変わりに左右の両端がカットされる。D3以上の入力で選択可能。 PinP(子画面表示)
マニュアル上はPIPと記載。
画面内に他の入力からの映像を子画面として表示する機能。
機能はあまり豊富な方ではない。 親/子の組み合わせは制限あり。入力端子は、﹁DVI,HDMI﹂﹁D-SUB,D端子﹂﹁S端子︵コンポジット︶﹂の3つのグループに別れ、同じグループ内では親子表示ができない。 子画面サイズは最大640x480と小さめ。モニタのサイズが大きいので、印象としてはかなり小さく見える。 半透明表示機能はないので、子画面の後の表示はまったく見えなくなってしまう。 子画面機能だけは、同クラスのマルチメディア液晶﹁LCD-MF241X﹂の方が良さそう。 リモコンで表示位置を細かく設定できるのは、かなり便利。 表示機能組み合わせ表機能が多すぎてかなりわかりづらいので、まとめてみた。 映像設定
機能CRオプティマイザー
動画再生時に、映像の明るさに合わせてバックライトの輝度を自動で調節する機能。﹁DV MODE﹂が﹁スタンダード2﹂﹁ゲーム2﹂﹁ムービー﹂の時に使うことができる。
NANAOの液晶モニタに搭載されている、コントラスト拡張や明るさ自動調整と似たような機能。
説明だけ見るとそこそこ使えそうに思えるけど、﹁DV MODE﹂をトーンジャンプが起きるものにしないと有効にならない。 おかげで、ほとんど日の目を見ることのない機能になってる気がする。 IV MODE年齢によるまぶしさの感じ方に合わせて、長時間使っても疲れにくい明るさに調整する機能。 オーバースキャン
アナログテレビ放送では、表示サイズより一回り大きな映像を受信して、周辺部をカットして表示している。ブラウン管で目に見える範囲いっぱいに歪みの少ない映像を表示するために、そういう仕様になっている。ブラウン管時代の名残。
そのため、テレビ放送映像︵それを収録したものなども含む︶を100%表示すると、ブラウン管では表示されなかった外周部に、ノイズや管理情報が入っていたりする。
これを、ブラウン管と同じように、外周部を使用せずに表示するのが、オーバースキャン機能。
オーバースキャンを設定すると、外周部をカットして、残りを﹁AVアスペクト﹂設定に合わせて拡大して表示する。 わずかに拡大処理が入るので、少しぼやけた表示になる。もっとも、オーバースキャンが必要な映像はたいていアナログソースなので、ほとんど気にならないと思う。 設定できるのは、100%︵外周部をカットしない︶,98%,95%︵S端子,コンポジットでは93%︶。 表示されない領域が90%より外側としている映像もあるようなので、90%の設定もあったほうがよかったかもしれない。 明るさセンサー
周辺の明るさを感知して、自動でモニタの輝度を調整する機能。
効果はかなり大きくて、ブライトネスを蛍光灯並みの100%に設定していても、﹁明るさセンサー﹂を“中”や“強”にするだけで、目が疲れのない明るさまで一気に落ちる︵“弱”はちょっと明るめで、長時間使うにはまぶしいかもしれない︶。
﹁明るさセンサー﹂用の光センサーは、本体の下フレーム中央。この部分に影が落ちたりすると、それだけでモニタの輝度が変わってしまう。 自分の後ろに室内照明がある場合は、光センサー部分に影が落ちないようにレイアウトを考えた方が良さそう。 本体設定ボタン
たぶん使うことはない。
かなり安っぽくてボタンが小さい割には使いやすいけど、リモコンの便利さにはかなわない。
というか、本体の設定ボタンを使うとクリアピアノブラックの筐体にくっきりと指紋がついてしまう。
ただでさえ汚れが目立つ筐体なので、本体の設定ボタンを使う時にはそれなりの覚悟が必要。
リモコン
大きくてちょっと置き場に困るけど、かなり使いやすい。普及機AV機器のリモコンと比べても劣らない。
ボタン1つで、入力側の切り替えができるのは便利。 使う機会が多そうな機能は、たいてい独立したボタンがある。﹁画面サイズ﹂の変更や、﹁MP MODE﹂,﹁スルーモード﹂のON/OFFも簡単に設定できる。 本体のリモコン受光部は右下のMITSUBISHIロゴのあたりにあるようなので、本体右下に向けて使わないと反応が悪い。本体の中央付近にあるセンサーは﹁明るさセンサー﹂用のもので、そこに向けてもリモコンは使えないので注意。 スピーカー&アンプ
しょせんはモニタ内蔵のスピーカーなので、割り切りが必要。
いちおう普通に音は出る。*11
音質は1000〜2000円くらいのコンパクトスピーカーと同程度。
音楽や映画の鑑賞には使えないけど、軽くBGMを流すくらいには使えそう。 ﹁DIATONEリニアフェイズ回路搭載でクリアな高音質を実現!﹂という割にはたいしたことはなかったけど、聞いていて怒りがこみ上げるほど*12じゃなかったので、“まぁ、こんなものかな”という感じ。 再生音は、低音〜中音域が不足しがちでシャリシャリした音。全体的に音の広がりがなくて薄っぺらい。 音の厚みが足りないのを、サラウンドで無理やり補っている感じがする。 本体スピーカーで音を聞く場合、サラウンド機能の効果はかなり大きい。 サラウンドがオフの場合、モニタ中央下部のかなり狭い範囲から音が鳴ってるように聞こえる。 これが、サラウンドをオンにすると、点ではなくそれなりに広い範囲で音が鳴っているように感じる。 モニタの前で作業をするときに、特定の一点に余計な意識を集中させないという意味では、うまい音作りをやってると思う。 ヘッドホン端子はついてるけど、ヘッドホンを繋ぐのは厳禁。 ほぼ確実に後悔します。*13 まず、終始ノイズが入る。音楽を再生すると気になりにくいけど、はっきりと聞こえるレベルの音量。無音時にはかなり鬱陶しい。 アンプの素性はあまり良くないようで、聞いている途中で急に音が不足することがある。 ある音の音量や音程が変わっていく中で、突然ふっと音が消える。 音の成分や厚みがころころ変わりまくるので、気が散って仕方がない。かなり疲れる音。 サラウンドをオンにすると、さらに酷くなる。 無理やり音を補っているのでかなり不自然。 おまけに、音の位置が安定しない。ふわふわとつかみどころのない奇妙な音。頭の中央だったり耳のすぐそばだったり、上に行ったり下に行ったりと、とにかく音が落ち着かない。 ずっと聞いていると、だんだんイライラしてきてしまう。 本体内蔵の機能で音声再生するなら、スピーカー限定でサラウンドをオン。 一番いいのは、内蔵の再生機能は一切使わずに、別にアンプとスピーカーを用意すること。 ノイズ問題
音声入力を﹁親画面連動﹂や﹁PC﹂にしていると、スピーカーから“ブブブブブ……”という低音のノイズが常時発生する。音声を再生していないときでも発生。
音量はスピーカーに耳を近づけると聞こえるというレベル。 USB接続のHDDの動作音のほうが大きくて、意識しなければ気にならない。 いちおう回避策はあるようで、HDMI,VIDEO1︵D端子︶,VIDEO2︵S端子/コンポジット︶のうち、まったくケーブルを繋いでいないコネクタに音声入力を合わせると、ノイズが聞こえなくなるものもあるらしい。個体差があるようで、これでもノイズが消えないものもあるようだけど。 この話を知って音声入力をHDMI2にしたら、うちの﹁MDT242WG﹂ではノイズは鳴らなくなった。 スピーカー・アンプ不具合(大音量ノイズ問題)
初回出荷版には、スピーカー・アンプのユニットを間違えて取り付けられたものがあるらしい。
はっきりと聞き取れる大きなノイズ音が出るものは、ユニット間違い品。
省電力から復帰した場合に起きやすいようだけど、使用中に突然音が出ることもあるらしい。 この症状は、MDT242WGに音声入力をしていなくても発生するようで、スピーカーの使用/不使用に関係なく起こる。画面表示しかしていなくても、安心はできない。 初回出荷版は全てこの問題が起こる可能性があるようで、発症は運と時間の問題。 メーカーのほうで不良品として認識しているようなので、修理に出せばユニットを新しいものに交換してくれる。 修理中は、メーカーが代替モニターを貸してくれる。修理期間は4日〜1週間くらいが目安。 修理後、スピーカーが全く使えなくなるトラブルも起きてる様子。 スピーカーの消音(ミュート)メニューかリモコンのMUTEボタンで消音できるけど、ミュート中はずっと画面にアイコンが表示される。かなり邪魔。 その他クリアピアノブラック筐体
テカテカに光るクリアピアノブラック筐体は、わざわざ開発秘話ページ
![]() まず埃が目立つ。 傷も付きやすい。 少し触れば指紋が浮かぶ。 設置する場所によっては、光が枠に反射して目に入る。 流行なのかどうなのか知らないけど、もう少し“長く使えるデザイン”にしようとは思わなかったんだろうか……。 同梱品には、光沢筐体の手入れ用クリーニングクロスもある。しかし、液晶パネルを拭くためではなくて、筐体の手入れをするためのクリーニングクロスが付属するというのは、なにやら本末転倒のような気がする。 ちなみに、フレームはテカテカ状態で使っているけど、台座の方は保護シートを貼ったままで使用中。 本体LED
電源LEDの明るさは、メニューの﹁ツール﹂→﹁LEDブライトネス﹂で設定できる。
100%だとかなりまぶしいので、多少は下げた方が良さそう。
0%にして、完全に消してしまってもいいかもしれない。
マニュアル
紙マニュアルは、一枚紙のセットアップガイドのみ。コネクタの位置や配線を簡単に説明した内容。
詳しいマニュアルは、付属CDの中にPDFファイルで収録されている。
PDFマニュアルは、ちゃんと全ての機能について説明があるけど、わかりやすいとは言えない。 説明をただ並べているだけで、目的の項目を探しにくい。 PDFのしおり設定がおおざっぱであまり役に立たない。 参照項目が飛びまくる︵例えば、P24を参照となっているので、P24を見るとP30を参照となっていたりする︶。 なにより、モニタのトラブル時のチェック項目が、モニタをつけていないと見ることができないPDFに書かれている。 モニタのマニュアルは、モニタが使えない時でも確認できるように、紙で付属しているべきだと思う。 配線
AV系のコネクタは、本体左側面にあって配線しやすい。接続機器のレイアウトを選ぶ気はするけど。
一方、PC系のコネクタはかなり接続しづらい。 コネクタの真下にでっぱりがあって、ケーブルをコネクタの根元からちょっと無理して折り曲げないと取り付けできない。 しかも、モニタ側のコネクタが、ちょっとへこんだ見づらい位置にある。 モニタを設置してから配線すると、かなり手間取ることになるので、先にモニタにケーブルを取り付けてから設置するのをお勧め。 付属ケーブル
﹁MDT242WG﹂に付属するHDMIケーブルはかなり粗悪品。
PS3から1080pで出力したら、ノイズが入りまくったり突然出力が途切れたりで、まったく出力が安定しない。
ちゃんと運用するには、品質のしっかりした市販のHDMIケーブルを買ってこないといけない。
PC接続用のDVIケーブルは、今のところ付属品でも問題なし。 感想/運用など
黒筐体は、思っていた以上に威圧感がありました……。
これまで使っていたモニタは白系ばかり。黒色筐体は﹁MDT242WG﹂がはじめて。 それなりに印象が違うとは思っていたけど、これほどモニタから受ける印象が変わるとは思ってなかった。 個人的には、モニタもPC本体も、あまり存在感があるのはどうかという気がする。 I-O DATAの﹁LCD-MF241X﹂から﹁MDT242WG﹂に移行して、不満点はだいぶ解消された。 ﹁LCD-MF241X﹂での一番の不満点は、発色に違和感があったこと。 カラーバランスを測定すると良好な結果を出していたようだけど、それにしては妙に赤・黄がきつい表示だった。 それが、﹁MDT242WG﹂ではだいぶ違和感のない色になった印象。 ﹁MDT242WG﹂も、階調の再現性がイマイチだったりガンマカーブがきれいにそろってなかったりと、イラストやデザインのプロユースには向かないようだけど、使っていて違和感がないというのはかなり重要。 パネルのギラツキがなくなったのも大きい。 S-PVAの﹁LCD-MF241X﹂は、長時間使うとかなり目が疲れて、だんだん頭が痛くなってくることがあった。 ﹁MDT242WG﹂にして、このテキストを書くためにほぼ1日中画面を見ているけど、今のところ目の奥が痛くなるような疲れや頭痛は感じない。 ギラツキパネルにはだいぶ慣れたと思っていたけど、モニタを変えてみると意外なほど大きな差に驚く。 今のところ、ほとんど不満点はなし。 表示機能の組み合わせがやたらと複雑で面倒だったり、テカテカの筐体が気になったりはするけど。 アンプとスピーカーの品質はイマイチだったけど、もともと音声再生にはONKYOの﹁SE-U55GX﹂を使っていて、これがオーディオセレクタの機能も持っているので、あまり問題になっていない。*14 でも、﹁人に勧められる製品か?﹂と聞かれると、YESとは言えない。 自分で選んだ人に﹁いいモニタだよ﹂ということはできるけど。 やっぱり、まだ過渡期の製品という印象がある。 満足したわけじゃないけど、納得はできた。そんな製品。 現在の接続状況。
関連の自分Blogリンク2次元限定: マルチメディア液晶「MDT242WG」を買ってみた |