『突きつけられた現実』 ~日本×コロンビア~
<突きつけられた現実 ~日本×コロンビア~>
1分2敗- これが日本に突きつけられた現実だった。
決して小さくない期待を抱かせたザックJAPANの4年に渡る歩みと目の前の現実との乖離に 試合から2日経った今もまだこの国は冷静に受け止められていないようにも見える。
一体どこで何を間違ったのだろうか?それともこれが日本の実力だったのだろうか? 今こそ冷静に検証し、その現実を見据えるべき時だろう。
<﹃奇跡﹄に賭ける一戦>
このコロンビア戦を迎えた時点で日本の勝ち抜け条件は﹃奇跡﹄、と表現されていました。 他力に頼る部分もありますが、いずれにしてもこの試合の﹁勝ち﹂だけは絶対条件。
前の2戦では試合後、結果以上に日本中が抱いた﹁これじゃない﹂感を払拭させる為にも この90分で﹁日本のサッカーが見たい﹂、そんな機運が高まっていた中での一戦ともいえます。 果たしてザックが最後に運命を託した11人は以下のような顔ぶれとなりました。
ポイントはまずボランチに青山が初先発として名を連ねた事。 秘密兵器のまま終わるかと勝手に思っていた隠し玉に遂に出番が回ってきました。
もう1つ、3戦に渡り色々といじくり回してきた前線のユニットは大久保を本来のFWへ戻し、 2列目はザックJAPAN最大の強みとなってきた﹁本田、香川、岡崎﹂の3人が並んだ、 まさに原点回帰とも言えるメンバー。
一方のコロンビアと言えば既にグループ勝ち抜けを決めており先発を8人入れ替えてきました。 ただでさえエース・ファルカオがいないというのに、第2FWのバッカが負傷で離脱し、 10番Jロドリゲスもベンチスタート。飛車角どころか王もいないようなメンバーだが日本にとっては朗報である。
︵*尚、一部一般の日本人とセリエクラスタの間ではコロンビアの2軍に対する認識のズレがあった模様︶
日本人﹁グアリンは長友と同僚か﹂ 日本人﹁という事はインテル所属・・・﹂ 日本人﹁要注意だな﹂ 日本人﹁インテルだもんな﹂ インテリスタ ﹁よっしゃ!ラッキー!﹂
日本人﹁ん?キャプテンのジェペスもいないぞ?﹂ 日本人﹁去年までミランにいたDFリーダーも下げてきたか・・・﹂ 日本人﹁これでDFはガタガタだな﹂ ミラニスタ ﹁クソッ!穴がなくなった!﹂
<青山起用からザックのゲームプランを読み解く>
この試合、ザックのゲームプランを読み解くにあたってはボランチに山口でも遠藤でもなく青山を使ってきたところにポイントがあるのは間違いありません。
山口は対人でボールを奪い取る能力、遠藤は細かいパスの散らしでチームのポゼッションを確実に上げる力をそれぞれ持っていますが青山のストロングポイントとは一体何なのでしょうか?
︵尚、当日は日本中の﹁サッカーならちょっと詳しい﹂的な立ち位置の玄人が 隣の一般人から﹁ねぇ?青山って誰?なんで遠藤︵or蛍︶じゃないの?ねぇ?なんで?﹂と聞かれる事案が大量発生との事︶
試合を見たら分かる通り、青山の武器は﹁縦への推進力﹂ですね。 4人のボランチの中でも最も得点に直結するタテパスが出せるという事です。 ︵サンフレサポ﹁ここで使うなら何故、寿人も一緒に呼ば・・・ry﹂︶
実際に試合では序盤から青山が岡崎、大久保が走ったDFライン裏へのロングパス、 そして間受けに降りてきた本田へは例えマークを背負っていようが、 ちょっとくらいパスコースが狭かろうが積極的にタテパスを入れていく姿勢が見られました。
これまでの2試合で消極的なゲーム運びから窮地に追い込まれていた日本は マスコミやファンからも﹁もっと攻撃的なサッカーが見たい﹂という声が上がっており ザックとしても今一度積極的な姿勢をチームに取り戻させたいという意図があったのかもしれません。
但しその結果として前半10分までの間に青山のパスミスから食らったカウンターが4本。 データで見ると前半15分までの青山のパス成功率は何と22%で、前半45分トータルにしても58%という数値。 サッカーで最も多くボールに触るボランチの選手が10本のうち半分のパスをミスしていてはゲームは組み立てらません。 ︵*参考データとしてコート戦の遠藤のパス成功率は84%、これがシャビ・ブスケスクラスになるとアベレージで95%前後を叩き出す︶
確かに遠藤を出せばポゼッションは上がる一方、ゲームはより膠着したものになったはずです。 パス成功率の低さはそれだけリスクを冒したパスを選択していた事の証でもあるので一概に比較は出来ませんが この試合に限ればその収支はマイナスに出ていたような気が…。
ただ、そもそもザックのゲームプランが前2試合の膠着状態を反省して この試合では攻守の切り替わりが激しい、いわゆる4年間チームが追い求めてきた﹁インテンシティ﹂を問われる展開で勝負しようと考えていたのであれば、その狙いはよく出ていたとも言えるでしょう。
︻前2試合とコロンビア戦の各選手パス成功率比較 ︵どれだけリスクを冒していたのか?︶︼ 内田 78%︵コート︶⇒57%︵コロンビア︶ 長谷部 90%︵コート︶⇒78%︵コロンビア︶ 今野 89%︵ギリシャ︶⇒77%︵コロンビア︶ 本田 73%︵コート︶⇒78%︵コロンビア︶ 香川 76%︵コート︶⇒95%︵コロンビア︶
*数値から見ても明らかなのはビルドアップを担う後ろの選手が﹁リスクを冒してタテパスを入れる﹂一方、 敵陣で崩しを担う前線の選手は﹁よりシンプルなパスを心掛けろ﹂というのがザックのゲームプランだったと読み取れる。
<時代から乖離したコロンビアの守備>
では一方のコロンビアのゲームプランはどうだったのでしょうか?
コロンビアというチームは前節コートジボワールとの試合を見る限りカウンター攻撃の形はかなり完成されている反面、 守備は組織というより個々の能力に任せたかなりアバウトなものでした。
故に試合は”ちゃんとサッカーをする”コートジボワールペースで終始進んでいったのですが 最後はカウンターを決めきる決定力の差でコロンビアが勝利しています。
となれば既に消化試合となっている日本戦ではどんな事になるのか…と若干期待はしていたんですが︵笑︶、 実際に試合で披露されたのが想像以上にアバウトな守備だったので思わずニンマリ。
︻コロンビアの守備陣形︼
コロンビアは守備時、前線の2トップに加え両SHの戻りがメチャクチャ遅い・・・というより半ば放棄しているので 4枚のDFと2枚のボランチによる﹁4+2﹂の6枚ブロックが基本。 なので日本はSBが上がっていけば必然的に両サイドで2対1の数的優位が作れる﹁両サイド・オーリエ状態﹂︵笑︶
ちなみに普段CLなど観ている方ならご存知かと思いますが、 現代サッカーの最先端では﹁4+4﹂の8枚ブロックですらもはや戦術的に攻略されつつあるので 今は更に中盤を1枚厚くした﹁4+5﹂の9枚ブロックが主流になりつつある時代です。
まあ字で読むより画を見てもらった方が一発なので・・・
︻現代サッカーの主流﹁4+5﹂=9枚ブロック︼
↑このように4+4のブロックに1枚前線からプレスバックなどさせて・・・・
↑4枚のDFラインと5枚の中盤の合計9枚で隙間なく埋めないと今は間受けでズタズタにされちゃうんすよ。
ところがこの日のコロンビアの守備ブロックは・・・
スッカスカやないかい!wwww 今時、6枚ブロックてwwww
︻コロンビア 前半のプレーエリア︼
↑位置データからも前残りのクアルダード︵君…確か守備の国セリエA所属だよね!?www︶と 中に入ってきて自由なキンテーロは明らかで実質両サイドの守りはSB1枚が担っている状態。
これは日本にも﹁奇跡﹂の目が出てきたか・・・?
<前残りと攻撃参加 その収支>
コロンビアの舐めた守備もあり前半は日本ペースで進んでいきました。 確かにリスクをかけて﹁前へ 前へ﹂とボールを進める為、コロンビアのカウンターにも時折ヒヤリとさせられるのですが 少なくともこれまでの3試合の中で最も﹁日本らしいサッカー﹂が出来ていた時間だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。
そんないい流れで生まれた前半15分のPK事件。 巷ではボールを奪われた岡崎︵後に1ゴールで帳消し︶とPKを与えた張本人である今野に矛先が集中していましたが果たして失点の原因はどこにあったのでしょうか?
それではコロンビアの先制点の場面を検証してみましょう。
︻コロンビアにPKを与えるまでの流れを検証︼
局面は右から左へ攻める日本、相変わらず4+2で守るコロンビアの守備ブロックはボランチの両サイドがスッカスカや。
当然このスペースで間受けを狙う岡崎という図。
んで、長谷部から岡崎へタテパスが出ると、ここへはCBが潰しに出て行くのがコロンビアの守備。
要するにCBの個人的な守備範囲の広さに依拠した守備で、上手く潰せればいいけど ここで岡崎の位置に入る選手に一発で入れ替わられたり、フリックで流されたら結構リスキー。
フン!ザキオカで助かったな!︵笑︶
まあ、本来この仕事は香川が本業だから岡崎だと致し方ない部分はあるんですよ・・・。
でもって、ここで取られた岡崎を非難するのは簡単なんですが・・・
そもそも岡崎にタテパスが入った瞬間に後ろで棒立ちの香川と青山はどーなんだ?っていう話。
例えばここで岡崎にコロンビアのCBを食いつかせた状態で落としをもらい、裏へ浮き球⇒大久保メシウマァァ!!っていう展開が何故描けなかったのか?と。
これね…、長谷部をブスケス、岡崎をメッシ、内田がDアウベスで前に張ってる大久保がアレクシスだったら 香川︵イニエスタ︶か青山︵シャビ︶が前向きでサポートに入って終わる局面なんですよ。
︵どう見てもカンプ脳です。ありがとうございました︶
・・・で、まあ現実はカウンター食らうんですけど︵笑︶
ここでポイントその② このドリブルに対し、ボランチの青山がコロンビアのカウンタースピードを遅らせる事は出来なかったのか?という問題です。
↑の場面を見ても青山の寄せのスピード自体は凄くいいと思うんですよ。 あとはここで縦を切って我慢しつつ前線の戻りを待つ・・・と。 それがボランチの仕事ってもんでしょう!
青山⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!
いや~思い切り良く行ったね~スライディング︵^^‥
お陰で見事にサポートに上がってきた選手にボールを拾われた結果 ↓ コロンビアのカウンタースピードは加速+青山はピッチに滑り込んだ状態なので立ち上がれず
とは言え・・・・実はこの段階においてもまだ4対3の数的優位なんですよ日本は。
ラモスにタテパスを出させたところで今野が斜め後方から寄せてサイドに押し出し、 その隙に吉田、長谷部、長友をゴール前まで戻させれば難なく対処出来る局面だ。
それがCBの仕事ってもんだよな!?今野!
今野⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!︵本日2回目︶
オイオイ・・・Jリーグの守備って一体どーなってんだよ・・・((( ;゚д゚)))
このように一連のプレーを振り返ってみると まず日本の攻撃が2手先、3手先を読んだイメージがないのでコロンビアの6枚守備に難なくボール奪われてる ↓ ひとたびカウンターくらったらボランチがフィルターとして機能しない ↓ 最後のエリアでCBが1対1で耐えられない︵イチかバチかの特攻守備でブチ抜かれるかファウル取られる︶
・・・とまあ、日本が持つ弱点がコロンビアクラス相手だ丸裸にされた・・・と見た方が妥当じゃないでしょうか? 原因︵岡崎︶と結果︵今野︶だけに矛先を向けても根本の解決にはならないと思うのです。
コロンビアの側から見れば6枚守備にして前線は前残しにしておいても カウンター時に大きなリターンを得られるので収支はプラスになってるんじゃね?って話。
反対に日本から見ると確かにSBが上がれば両サイドは無条件で数的優位なんだけど カウンター食らった時に後ろのスペースを使われるリスクの方がリターンを上回ってませんか?って話ね。
<脆弱過ぎたフィルターとしてのボランチ>
コロンビアはPKで1点とった後も守備が相変わらずなんで、サイドではボールを持てる日本。 但し、本来チャンスとなるべきこの状態が図らずとも日本が抱える弱点を露わにしていくんですよね。
例えば象徴的な場面がコチラ↓
↑は右サイドで岡崎が抜け出している場面なんですけどこれに対応しているのはコロンビアのSBです。 んで後ろからカバーに向かってるのが多分ボランチ。
コロンビアはSBがつり出された分、ゴール前が3対3になっちゃってるんですけど、 この時、本田、大久保、香川は3人とも同じ方向の矢印でゴール前へ駆け込んでるじゃないですか。 でもこれだと岡崎がクロス上げるには個人でこの1対2を突破しないといけないですよね?
で・・・当然、この後岡崎はあっさりボール奪われてコロンビアのカウンター発動→
ここで青山と長谷部の2ボランチがどれだけフィルターになれるのか?これも重要です。
パスの出先に長谷部がアプローチをかけます。
ベーハセの鋭いアプローチによってグアリンが一瞬グラつきます。
﹁ここがボール奪取のチャンス!﹂って普通に守備の嗅覚があれば 香川はここで挟みに行ってカウンター返しの発動なんです、本当は。
ここが日本の弱点その③ ﹁守備センスが乏しい香川の左サイド﹂が再び・・・!!
香川はこういう時、自分の持ち場から離れないのは先日のコートジボワール戦でも明らかでしたね?
お陰でフィジカルモンスター=グアリンが体勢を立て直して右奥へナナメのパス。
香川は最後まで棒立ち。 ︵恐らく背後を上がるコロンビアのSBエリアスが自分の担当だと思っている?︶
・・・で、またもやこっから裏に走られてスルーパス→
ズサーー!って結局コレかよwwww ︵今度はボールに行った正等なスライディングなのでノーファウル︶
でもね…、敵陣一番奥のクロスを上げるかどうかのエリアまでえぐった攻撃からボール奪われて→パス3本で自陣PA手前のスライディングによってかろうじてボール回収ってリスク高過ぎませんか?︵^^‥
要するに日本の構造的な欠陥はこれまでも繰り返し述べてきたように﹁中盤が全くフィルターとして機能しない﹂って事なんですよね。
だからこのメンバーであのサッカーを貫くならそもそもボールを簡単に失ったら駄目なんです。 ボランチのパス成功率が6割切るとか論外です。 ︵やはりこのチームの頭脳は遠藤・・・・︶
周りを見渡してみれば優勝を狙う強豪達がデヨング、ケディラ、グスタボをボランチで起用しつつ順当にベスト16へ歩みを進めている反面、ブスケス&アロンソやピルロ&デロッシでボールを支配しようとしたチームが敗退しているのは興味深い傾向。
奇しくも4年前、岡田監督が﹁あかん!ベーハセと遠藤の2ボラじゃ本大会はチンチンにされる!﹂と決断して 阿部をアンカーに置いた事の正当性やいかに・・・?
︵尚、﹁黄金の中盤︵︶﹂﹁自由なサッカー﹂はドイツの地で木っ端微塵にされた模様︶
<外国人︵ザック︶から見た日本の武器>
じゃあいっそ日本はSBを上げずにジッと耐えてれば良かったのか?というとそういう事じゃーないんですよね。
例えば後半にこんなシーンがありました↓
局面はコロンビアの4+2ブロックに対して本田がボールをキープして、その大外を内田の構図。
本田はここから外の内田を使うと、内田へはコロンビアのSBが出てきて対応。 ポイントはここで内田に1対1を仕掛けさせたり、そのままシンプルにアーリークロスを上げさせる事ではなく・・・
もう1人︵岡崎︶が寄って来て局面を1対1から2対2、3対3の複数構図に持っていく事。
内田は岡崎を使ったワンツーリターンで更にもう一つ深くエグり・・・
クロスというより狙い済ましたピンポイントのラストパスを大久保へ! ︵但し、大久保は~QBK2014夏~︶
ギリシャ戦のように単純なクロスで終わるのではなく点と線で合わせるようなラストパスが日本には必要で その為には崩しに労を惜しんではいけないって事ですね。
そしてこの機動力こそ日本人の武器だとして外国人ザック︵&オシム︶が﹁日本のサッカー﹂を作り上げてきたはず。
これに加えて前半終了間際に生まれた日本の同点ゴールは本田が強調する﹁同時に個も伸ばす﹂事の重要性がポイントに。
︻日本の同点ゴールを検証︼
局面は日本のカウンターからコロンビアのサイドが崩せると察知した本田が右サイドへ流れた場面。
長谷部からパスを受けると本田は1対1ならある程度個の力でボールを運べるので・・・
サイドに1人でもクロスまで持っていけると。 ︵中は3対3。岡崎が合わせてゴール︶
個でもラストプレーまでやり切る力。これもカウンターを受けない為に大事な要素ですね。
セード○フ﹁HONDAの右サイドはワシが育てた︵キリッ!︶﹂
<明らかに差のあった個のクオリティ>
結局前半を1-1で折り返すとコロンビアは後半、10番Jロドリゲスらのガチメンを投入。
特にこの10番の存在感たるや、投入されるやいなや明らかにコロンビアのギアが3速は上がり、 たった1人で試合を決めてしまった感もあります。
では後半8分に早速ハメスが仕事をしたコロンビアの逆転ゴールを検証していきましょう。
局面は左から右へ攻める日本の攻撃。本田に間受けのパスが入る場面です。
既に﹁俺がやったる!﹂スイッチが全快の△はここでシンプルに内田を使うのではなく 寄せてきたボランチの股を抜いて突破するプレーを選択
︵オシム﹁本田は時にエゴイストになる。それ良い方向に出ればいいが悪い方へ出た時は…。今の内にコレクティブとは何かを学ばせる必要があるだろう﹂︶
ところがファーストタッチが大きくなったところをCBのカバーリングによってかっさらわれるとコロンビアのカウンター発動
右サイドへと運ばれたコロンビアのカウンターを一度はスピードを落として遅攻に切り替えさせる事に成功した日本。
しかしSBエリアスに下げられたボールに対して誰もアプローチに行っていない。 ︵この隙にJロドリゲスはバイタルエリアを狙っている︶
今野がサイドにつり出されているので青山がゴール前のカバーに入ったこの場面。 もう1枚のボランチである長谷部は手前のカルボネロが気になっているのか一向に距離を詰める様子はない ︵この世界基準で言うと﹁遠過ぎるボールへの距離感﹂は長年日本の課題︶
エリアスのドリブルに対し思わずボールではなくパスコースを切ってしまう﹁ジャパニーズ・ディフェンス﹂を見せる長谷部
ドリブルで切り込まれてからJロドリゲスへ。
しかしJロドリゲスに許された間受けのスペースは僅か1M四方の極めて狭いエリア。 果たしてここで何が出来るのか・・・?
完璧なファーストタッチで前に運びDF3枚を引きつけてから冷静にラストパス・・・だと!?
ワールドクラスの技術高過ぎワロタwwwww
世界のトップはあれだけのスペースがあればゴールに繋げる仕事をするってか・・・!!
う~む・・・さすが市場価格60億円超えのトップ下と 無料でミランに移籍したトップ下とでは格が違うのか・・・︵^^‥
さて、試合ではこれで後がなくなった日本が尚も攻撃の色を強めるも どちらかというと拙攻になってしまう悪癖も再び。
︻香川の間受け︼
逆転には2点必要になった日本の総攻撃。 日本がどうしても点が必要な状況に置かれると攻撃陣が自然と中へ中へと入ってきてしまう悪い癖があります。
ここも元からその仕事が期待されている香川が中にいるのはいいとして 全員がペナルティ幅で守るコロンビアの守備に対し、日本も中へ寄り過ぎちゃってますね。
だけどここは多少強引でもJロドリゲスよろしく、こちらも名手・香川の間受けに全てを託すしかない・・・!!
・・・あかん、コロンビアの守備陣が全く横に広がってないから この密度の中を正攻法で崩していくのは今の日本じゃ無理や!!
︵香川、アッサリ倒される=勿論ノーファウル︶
結局、香川に託してもコロンビアのカウンターにしかならない八方塞り感。
日本はコート戦に続き、この試合でも本田が失ったところからのカウンターで2失点。 香川も終始カウンターの起点となってしまい、本来日本の武器であるはずの二枚看板が 本大会では全く通用しなかったのがザックにとっても痛すぎる誤算でした。
攻め手を失った日本はもはやサンドバックでしかなく結局1-4の惨敗でブラジルの地に別れを告げます。
<ザックJAPANの本大会を総括>
さて、その時他会場ではギリシャがコートジボワールを劇的な勝利で下したというニュースが入ってきました。 つまり日本はこの試合に勝っていれば﹁奇跡﹂が起こる条件が整っていた事になります。
そのせいか尚更この試合の惨敗が悲観的に映りますが、そもそも反省すべきはそこでしょうか?
否、この組を勝ち抜けなかった原因はコートジボワール相手に勝ち点1を ギリシャ相手に勝ち点3を取りきれなかった事の方にあるはずです。 それはそもそもこのC組の組み分けを見た時には誰もが共通認識として持っていたはずですが・・・。
では何故日本は勝ち点4を、グループリーグ突破を決め切れなかったのでしょうか?
それは、残念ながらそれが現在の日本の力だから という他ありません。
ハッキリ言ってしまえばこのC組は戦前の予想通り、 コロンビアだけが10回やって9~10回勝ち抜ける力を持っている他は 残りの3チームに関しては10回やったら10回違う組み合わせになる力関係でした。
そもそも日本がコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと3試合して2敗1分は悲劇でもなければ想定外でもなく、 厳しい言い方をすれば﹁順当﹂です。
勿論、今すぐC組をやり直したら日本が2位になる可能性も充分ありますが今度は3敗する可能性だってあります。 三つ巴の2位争いがロスタイムまでもつれたように3者の実力はコンディションや運で左右されるレベルの差しかありません。
だから2敗1分は”順当”なのです。
我々から見て韓国、ロシア、ベルギー、アルジェリアのグループHで ベルギーが3勝、韓国が1分2敗だった事にほとんどのサッカーファンが違和感を抱かないように この組でコロンビアが3連勝して日本が1分2敗だった事に日本人以外は別段、驚きはしません。
しかし言い方を変えれば、コンディションや試合のちょっとしたディティールが違えば 日本はW杯でもベスト16を”狙える”国になった事も間違いないのです。 ︵上手くハマればイタリア、オランダ、ベルギーと打ち合いだって出来るチームです︶
但し、ベスト16が”当然”と言われるカテゴリーとはまだまだ差があったというだけの事。 これは今後の糧にしましょう。
最後に、感情論と結果論に流されている今は この結果をもってザックJAPANの4年間をあたかも全て無駄だったように切り捨て 南アの戦い方ならさもベスト16は保障されていたかのような声も聞こえてきますがそれは幻想です。 感情に流されて極論に走っては答えは永遠に見えてこないでしょう。
そう言えばザックが就任会見以来、事あるごとに口にしてきたキーワードがありました。
今、我々に必要とされているもの―
ザック﹁勇気とバランスこそが重要だ﹂
*﹁クソ長いけど最後まで読んでしまったじゃないか…!﹂という暇な貴方はクリック︵爆︶↓ 海外サッカー ブログランキングへ
1分2敗- これが日本に突きつけられた現実だった。
決して小さくない期待を抱かせたザックJAPANの4年に渡る歩みと目の前の現実との乖離に 試合から2日経った今もまだこの国は冷静に受け止められていないようにも見える。
一体どこで何を間違ったのだろうか?それともこれが日本の実力だったのだろうか? 今こそ冷静に検証し、その現実を見据えるべき時だろう。
<﹃奇跡﹄に賭ける一戦>
このコロンビア戦を迎えた時点で日本の勝ち抜け条件は﹃奇跡﹄、と表現されていました。 他力に頼る部分もありますが、いずれにしてもこの試合の﹁勝ち﹂だけは絶対条件。
前の2戦では試合後、結果以上に日本中が抱いた﹁これじゃない﹂感を払拭させる為にも この90分で﹁日本のサッカーが見たい﹂、そんな機運が高まっていた中での一戦ともいえます。 果たしてザックが最後に運命を託した11人は以下のような顔ぶれとなりました。
ポイントはまずボランチに青山が初先発として名を連ねた事。 秘密兵器のまま終わるかと勝手に思っていた隠し玉に遂に出番が回ってきました。
もう1つ、3戦に渡り色々といじくり回してきた前線のユニットは大久保を本来のFWへ戻し、 2列目はザックJAPAN最大の強みとなってきた﹁本田、香川、岡崎﹂の3人が並んだ、 まさに原点回帰とも言えるメンバー。
一方のコロンビアと言えば既にグループ勝ち抜けを決めており先発を8人入れ替えてきました。 ただでさえエース・ファルカオがいないというのに、第2FWのバッカが負傷で離脱し、 10番Jロドリゲスもベンチスタート。飛車角どころか王もいないようなメンバーだが日本にとっては朗報である。
︵*尚、一部一般の日本人とセリエクラスタの間ではコロンビアの2軍に対する認識のズレがあった模様︶
日本人﹁グアリンは長友と同僚か﹂ 日本人﹁という事はインテル所属・・・﹂ 日本人﹁要注意だな﹂ 日本人﹁インテルだもんな﹂ インテリスタ ﹁よっしゃ!ラッキー!﹂
日本人﹁ん?キャプテンのジェペスもいないぞ?﹂ 日本人﹁去年までミランにいたDFリーダーも下げてきたか・・・﹂ 日本人﹁これでDFはガタガタだな﹂ ミラニスタ ﹁クソッ!穴がなくなった!﹂
<青山起用からザックのゲームプランを読み解く>
この試合、ザックのゲームプランを読み解くにあたってはボランチに山口でも遠藤でもなく青山を使ってきたところにポイントがあるのは間違いありません。
山口は対人でボールを奪い取る能力、遠藤は細かいパスの散らしでチームのポゼッションを確実に上げる力をそれぞれ持っていますが青山のストロングポイントとは一体何なのでしょうか?
︵尚、当日は日本中の﹁サッカーならちょっと詳しい﹂的な立ち位置の玄人が 隣の一般人から﹁ねぇ?青山って誰?なんで遠藤︵or蛍︶じゃないの?ねぇ?なんで?﹂と聞かれる事案が大量発生との事︶
試合を見たら分かる通り、青山の武器は﹁縦への推進力﹂ですね。 4人のボランチの中でも最も得点に直結するタテパスが出せるという事です。 ︵サンフレサポ﹁ここで使うなら何故、寿人も一緒に呼ば・・・ry﹂︶
実際に試合では序盤から青山が岡崎、大久保が走ったDFライン裏へのロングパス、 そして間受けに降りてきた本田へは例えマークを背負っていようが、 ちょっとくらいパスコースが狭かろうが積極的にタテパスを入れていく姿勢が見られました。
これまでの2試合で消極的なゲーム運びから窮地に追い込まれていた日本は マスコミやファンからも﹁もっと攻撃的なサッカーが見たい﹂という声が上がっており ザックとしても今一度積極的な姿勢をチームに取り戻させたいという意図があったのかもしれません。
但しその結果として前半10分までの間に青山のパスミスから食らったカウンターが4本。 データで見ると前半15分までの青山のパス成功率は何と22%で、前半45分トータルにしても58%という数値。 サッカーで最も多くボールに触るボランチの選手が10本のうち半分のパスをミスしていてはゲームは組み立てらません。 ︵*参考データとしてコート戦の遠藤のパス成功率は84%、これがシャビ・ブスケスクラスになるとアベレージで95%前後を叩き出す︶
確かに遠藤を出せばポゼッションは上がる一方、ゲームはより膠着したものになったはずです。 パス成功率の低さはそれだけリスクを冒したパスを選択していた事の証でもあるので一概に比較は出来ませんが この試合に限ればその収支はマイナスに出ていたような気が…。
ただ、そもそもザックのゲームプランが前2試合の膠着状態を反省して この試合では攻守の切り替わりが激しい、いわゆる4年間チームが追い求めてきた﹁インテンシティ﹂を問われる展開で勝負しようと考えていたのであれば、その狙いはよく出ていたとも言えるでしょう。
︻前2試合とコロンビア戦の各選手パス成功率比較 ︵どれだけリスクを冒していたのか?︶︼ 内田 78%︵コート︶⇒57%︵コロンビア︶ 長谷部 90%︵コート︶⇒78%︵コロンビア︶ 今野 89%︵ギリシャ︶⇒77%︵コロンビア︶ 本田 73%︵コート︶⇒78%︵コロンビア︶ 香川 76%︵コート︶⇒95%︵コロンビア︶
*数値から見ても明らかなのはビルドアップを担う後ろの選手が﹁リスクを冒してタテパスを入れる﹂一方、 敵陣で崩しを担う前線の選手は﹁よりシンプルなパスを心掛けろ﹂というのがザックのゲームプランだったと読み取れる。
<時代から乖離したコロンビアの守備>
では一方のコロンビアのゲームプランはどうだったのでしょうか?
コロンビアというチームは前節コートジボワールとの試合を見る限りカウンター攻撃の形はかなり完成されている反面、 守備は組織というより個々の能力に任せたかなりアバウトなものでした。
故に試合は”ちゃんとサッカーをする”コートジボワールペースで終始進んでいったのですが 最後はカウンターを決めきる決定力の差でコロンビアが勝利しています。
となれば既に消化試合となっている日本戦ではどんな事になるのか…と若干期待はしていたんですが︵笑︶、 実際に試合で披露されたのが想像以上にアバウトな守備だったので思わずニンマリ。
︻コロンビアの守備陣形︼
コロンビアは守備時、前線の2トップに加え両SHの戻りがメチャクチャ遅い・・・というより半ば放棄しているので 4枚のDFと2枚のボランチによる﹁4+2﹂の6枚ブロックが基本。 なので日本はSBが上がっていけば必然的に両サイドで2対1の数的優位が作れる﹁両サイド・オーリエ状態﹂︵笑︶
ちなみに普段CLなど観ている方ならご存知かと思いますが、 現代サッカーの最先端では﹁4+4﹂の8枚ブロックですらもはや戦術的に攻略されつつあるので 今は更に中盤を1枚厚くした﹁4+5﹂の9枚ブロックが主流になりつつある時代です。
まあ字で読むより画を見てもらった方が一発なので・・・
︻現代サッカーの主流﹁4+5﹂=9枚ブロック︼
↑このように4+4のブロックに1枚前線からプレスバックなどさせて・・・・
↑4枚のDFラインと5枚の中盤の合計9枚で隙間なく埋めないと今は間受けでズタズタにされちゃうんすよ。
ところがこの日のコロンビアの守備ブロックは・・・
スッカスカやないかい!wwww 今時、6枚ブロックてwwww
︻コロンビア 前半のプレーエリア︼
↑位置データからも前残りのクアルダード︵君…確か守備の国セリエA所属だよね!?www︶と 中に入ってきて自由なキンテーロは明らかで実質両サイドの守りはSB1枚が担っている状態。
これは日本にも﹁奇跡﹂の目が出てきたか・・・?
<前残りと攻撃参加 その収支>
コロンビアの舐めた守備もあり前半は日本ペースで進んでいきました。 確かにリスクをかけて﹁前へ 前へ﹂とボールを進める為、コロンビアのカウンターにも時折ヒヤリとさせられるのですが 少なくともこれまでの3試合の中で最も﹁日本らしいサッカー﹂が出来ていた時間だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。
そんないい流れで生まれた前半15分のPK事件。 巷ではボールを奪われた岡崎︵後に1ゴールで帳消し︶とPKを与えた張本人である今野に矛先が集中していましたが果たして失点の原因はどこにあったのでしょうか?
それではコロンビアの先制点の場面を検証してみましょう。
︻コロンビアにPKを与えるまでの流れを検証︼
局面は右から左へ攻める日本、相変わらず4+2で守るコロンビアの守備ブロックはボランチの両サイドがスッカスカや。
当然このスペースで間受けを狙う岡崎という図。
んで、長谷部から岡崎へタテパスが出ると、ここへはCBが潰しに出て行くのがコロンビアの守備。
要するにCBの個人的な守備範囲の広さに依拠した守備で、上手く潰せればいいけど ここで岡崎の位置に入る選手に一発で入れ替わられたり、フリックで流されたら結構リスキー。
フン!ザキオカで助かったな!︵笑︶
まあ、本来この仕事は香川が本業だから岡崎だと致し方ない部分はあるんですよ・・・。
でもって、ここで取られた岡崎を非難するのは簡単なんですが・・・
そもそも岡崎にタテパスが入った瞬間に後ろで棒立ちの香川と青山はどーなんだ?っていう話。
例えばここで岡崎にコロンビアのCBを食いつかせた状態で落としをもらい、裏へ浮き球⇒大久保メシウマァァ!!っていう展開が何故描けなかったのか?と。
これね…、長谷部をブスケス、岡崎をメッシ、内田がDアウベスで前に張ってる大久保がアレクシスだったら 香川︵イニエスタ︶か青山︵シャビ︶が前向きでサポートに入って終わる局面なんですよ。
︵どう見てもカンプ脳です。ありがとうございました︶
・・・で、まあ現実はカウンター食らうんですけど︵笑︶
ここでポイントその② このドリブルに対し、ボランチの青山がコロンビアのカウンタースピードを遅らせる事は出来なかったのか?という問題です。
↑の場面を見ても青山の寄せのスピード自体は凄くいいと思うんですよ。 あとはここで縦を切って我慢しつつ前線の戻りを待つ・・・と。 それがボランチの仕事ってもんでしょう!
青山⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!
いや~思い切り良く行ったね~スライディング︵^^‥
お陰で見事にサポートに上がってきた選手にボールを拾われた結果 ↓ コロンビアのカウンタースピードは加速+青山はピッチに滑り込んだ状態なので立ち上がれず
とは言え・・・・実はこの段階においてもまだ4対3の数的優位なんですよ日本は。
ラモスにタテパスを出させたところで今野が斜め後方から寄せてサイドに押し出し、 その隙に吉田、長谷部、長友をゴール前まで戻させれば難なく対処出来る局面だ。
それがCBの仕事ってもんだよな!?今野!
今野⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!︵本日2回目︶
オイオイ・・・Jリーグの守備って一体どーなってんだよ・・・((( ;゚д゚)))
このように一連のプレーを振り返ってみると まず日本の攻撃が2手先、3手先を読んだイメージがないのでコロンビアの6枚守備に難なくボール奪われてる ↓ ひとたびカウンターくらったらボランチがフィルターとして機能しない ↓ 最後のエリアでCBが1対1で耐えられない︵イチかバチかの特攻守備でブチ抜かれるかファウル取られる︶
・・・とまあ、日本が持つ弱点がコロンビアクラス相手だ丸裸にされた・・・と見た方が妥当じゃないでしょうか? 原因︵岡崎︶と結果︵今野︶だけに矛先を向けても根本の解決にはならないと思うのです。
コロンビアの側から見れば6枚守備にして前線は前残しにしておいても カウンター時に大きなリターンを得られるので収支はプラスになってるんじゃね?って話。
反対に日本から見ると確かにSBが上がれば両サイドは無条件で数的優位なんだけど カウンター食らった時に後ろのスペースを使われるリスクの方がリターンを上回ってませんか?って話ね。
<脆弱過ぎたフィルターとしてのボランチ>
コロンビアはPKで1点とった後も守備が相変わらずなんで、サイドではボールを持てる日本。 但し、本来チャンスとなるべきこの状態が図らずとも日本が抱える弱点を露わにしていくんですよね。
例えば象徴的な場面がコチラ↓
↑は右サイドで岡崎が抜け出している場面なんですけどこれに対応しているのはコロンビアのSBです。 んで後ろからカバーに向かってるのが多分ボランチ。
コロンビアはSBがつり出された分、ゴール前が3対3になっちゃってるんですけど、 この時、本田、大久保、香川は3人とも同じ方向の矢印でゴール前へ駆け込んでるじゃないですか。 でもこれだと岡崎がクロス上げるには個人でこの1対2を突破しないといけないですよね?
で・・・当然、この後岡崎はあっさりボール奪われてコロンビアのカウンター発動→
ここで青山と長谷部の2ボランチがどれだけフィルターになれるのか?これも重要です。
パスの出先に長谷部がアプローチをかけます。
ベーハセの鋭いアプローチによってグアリンが一瞬グラつきます。
﹁ここがボール奪取のチャンス!﹂って普通に守備の嗅覚があれば 香川はここで挟みに行ってカウンター返しの発動なんです、本当は。
ここが日本の弱点その③ ﹁守備センスが乏しい香川の左サイド﹂が再び・・・!!
香川はこういう時、自分の持ち場から離れないのは先日のコートジボワール戦でも明らかでしたね?
お陰でフィジカルモンスター=グアリンが体勢を立て直して右奥へナナメのパス。
香川は最後まで棒立ち。 ︵恐らく背後を上がるコロンビアのSBエリアスが自分の担当だと思っている?︶
・・・で、またもやこっから裏に走られてスルーパス→
ズサーー!って結局コレかよwwww ︵今度はボールに行った正等なスライディングなのでノーファウル︶
でもね…、敵陣一番奥のクロスを上げるかどうかのエリアまでえぐった攻撃からボール奪われて→パス3本で自陣PA手前のスライディングによってかろうじてボール回収ってリスク高過ぎませんか?︵^^‥
要するに日本の構造的な欠陥はこれまでも繰り返し述べてきたように﹁中盤が全くフィルターとして機能しない﹂って事なんですよね。
だからこのメンバーであのサッカーを貫くならそもそもボールを簡単に失ったら駄目なんです。 ボランチのパス成功率が6割切るとか論外です。 ︵やはりこのチームの頭脳は遠藤・・・・︶
周りを見渡してみれば優勝を狙う強豪達がデヨング、ケディラ、グスタボをボランチで起用しつつ順当にベスト16へ歩みを進めている反面、ブスケス&アロンソやピルロ&デロッシでボールを支配しようとしたチームが敗退しているのは興味深い傾向。
奇しくも4年前、岡田監督が﹁あかん!ベーハセと遠藤の2ボラじゃ本大会はチンチンにされる!﹂と決断して 阿部をアンカーに置いた事の正当性やいかに・・・?
︵尚、﹁黄金の中盤︵︶﹂﹁自由なサッカー﹂はドイツの地で木っ端微塵にされた模様︶
<外国人︵ザック︶から見た日本の武器>
じゃあいっそ日本はSBを上げずにジッと耐えてれば良かったのか?というとそういう事じゃーないんですよね。
例えば後半にこんなシーンがありました↓
局面はコロンビアの4+2ブロックに対して本田がボールをキープして、その大外を内田の構図。
本田はここから外の内田を使うと、内田へはコロンビアのSBが出てきて対応。 ポイントはここで内田に1対1を仕掛けさせたり、そのままシンプルにアーリークロスを上げさせる事ではなく・・・
もう1人︵岡崎︶が寄って来て局面を1対1から2対2、3対3の複数構図に持っていく事。
内田は岡崎を使ったワンツーリターンで更にもう一つ深くエグり・・・
クロスというより狙い済ましたピンポイントのラストパスを大久保へ! ︵但し、大久保は~QBK2014夏~︶
ギリシャ戦のように単純なクロスで終わるのではなく点と線で合わせるようなラストパスが日本には必要で その為には崩しに労を惜しんではいけないって事ですね。
そしてこの機動力こそ日本人の武器だとして外国人ザック︵&オシム︶が﹁日本のサッカー﹂を作り上げてきたはず。
これに加えて前半終了間際に生まれた日本の同点ゴールは本田が強調する﹁同時に個も伸ばす﹂事の重要性がポイントに。
︻日本の同点ゴールを検証︼
局面は日本のカウンターからコロンビアのサイドが崩せると察知した本田が右サイドへ流れた場面。
長谷部からパスを受けると本田は1対1ならある程度個の力でボールを運べるので・・・
サイドに1人でもクロスまで持っていけると。 ︵中は3対3。岡崎が合わせてゴール︶
個でもラストプレーまでやり切る力。これもカウンターを受けない為に大事な要素ですね。
セード○フ﹁HONDAの右サイドはワシが育てた︵キリッ!︶﹂
<明らかに差のあった個のクオリティ>
結局前半を1-1で折り返すとコロンビアは後半、10番Jロドリゲスらのガチメンを投入。
特にこの10番の存在感たるや、投入されるやいなや明らかにコロンビアのギアが3速は上がり、 たった1人で試合を決めてしまった感もあります。
では後半8分に早速ハメスが仕事をしたコロンビアの逆転ゴールを検証していきましょう。
局面は左から右へ攻める日本の攻撃。本田に間受けのパスが入る場面です。
既に﹁俺がやったる!﹂スイッチが全快の△はここでシンプルに内田を使うのではなく 寄せてきたボランチの股を抜いて突破するプレーを選択
︵オシム﹁本田は時にエゴイストになる。それ良い方向に出ればいいが悪い方へ出た時は…。今の内にコレクティブとは何かを学ばせる必要があるだろう﹂︶
ところがファーストタッチが大きくなったところをCBのカバーリングによってかっさらわれるとコロンビアのカウンター発動
右サイドへと運ばれたコロンビアのカウンターを一度はスピードを落として遅攻に切り替えさせる事に成功した日本。
しかしSBエリアスに下げられたボールに対して誰もアプローチに行っていない。 ︵この隙にJロドリゲスはバイタルエリアを狙っている︶
今野がサイドにつり出されているので青山がゴール前のカバーに入ったこの場面。 もう1枚のボランチである長谷部は手前のカルボネロが気になっているのか一向に距離を詰める様子はない ︵この世界基準で言うと﹁遠過ぎるボールへの距離感﹂は長年日本の課題︶
エリアスのドリブルに対し思わずボールではなくパスコースを切ってしまう﹁ジャパニーズ・ディフェンス﹂を見せる長谷部
ドリブルで切り込まれてからJロドリゲスへ。
しかしJロドリゲスに許された間受けのスペースは僅か1M四方の極めて狭いエリア。 果たしてここで何が出来るのか・・・?
完璧なファーストタッチで前に運びDF3枚を引きつけてから冷静にラストパス・・・だと!?
ワールドクラスの技術高過ぎワロタwwwww
世界のトップはあれだけのスペースがあればゴールに繋げる仕事をするってか・・・!!
う~む・・・さすが市場価格60億円超えのトップ下と 無料でミランに移籍したトップ下とでは格が違うのか・・・︵^^‥
さて、試合ではこれで後がなくなった日本が尚も攻撃の色を強めるも どちらかというと拙攻になってしまう悪癖も再び。
︻香川の間受け︼
逆転には2点必要になった日本の総攻撃。 日本がどうしても点が必要な状況に置かれると攻撃陣が自然と中へ中へと入ってきてしまう悪い癖があります。
ここも元からその仕事が期待されている香川が中にいるのはいいとして 全員がペナルティ幅で守るコロンビアの守備に対し、日本も中へ寄り過ぎちゃってますね。
だけどここは多少強引でもJロドリゲスよろしく、こちらも名手・香川の間受けに全てを託すしかない・・・!!
・・・あかん、コロンビアの守備陣が全く横に広がってないから この密度の中を正攻法で崩していくのは今の日本じゃ無理や!!
︵香川、アッサリ倒される=勿論ノーファウル︶
結局、香川に託してもコロンビアのカウンターにしかならない八方塞り感。
日本はコート戦に続き、この試合でも本田が失ったところからのカウンターで2失点。 香川も終始カウンターの起点となってしまい、本来日本の武器であるはずの二枚看板が 本大会では全く通用しなかったのがザックにとっても痛すぎる誤算でした。
攻め手を失った日本はもはやサンドバックでしかなく結局1-4の惨敗でブラジルの地に別れを告げます。
<ザックJAPANの本大会を総括>
さて、その時他会場ではギリシャがコートジボワールを劇的な勝利で下したというニュースが入ってきました。 つまり日本はこの試合に勝っていれば﹁奇跡﹂が起こる条件が整っていた事になります。
そのせいか尚更この試合の惨敗が悲観的に映りますが、そもそも反省すべきはそこでしょうか?
否、この組を勝ち抜けなかった原因はコートジボワール相手に勝ち点1を ギリシャ相手に勝ち点3を取りきれなかった事の方にあるはずです。 それはそもそもこのC組の組み分けを見た時には誰もが共通認識として持っていたはずですが・・・。
では何故日本は勝ち点4を、グループリーグ突破を決め切れなかったのでしょうか?
それは、残念ながらそれが現在の日本の力だから という他ありません。
ハッキリ言ってしまえばこのC組は戦前の予想通り、 コロンビアだけが10回やって9~10回勝ち抜ける力を持っている他は 残りの3チームに関しては10回やったら10回違う組み合わせになる力関係でした。
そもそも日本がコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと3試合して2敗1分は悲劇でもなければ想定外でもなく、 厳しい言い方をすれば﹁順当﹂です。
勿論、今すぐC組をやり直したら日本が2位になる可能性も充分ありますが今度は3敗する可能性だってあります。 三つ巴の2位争いがロスタイムまでもつれたように3者の実力はコンディションや運で左右されるレベルの差しかありません。
だから2敗1分は”順当”なのです。
我々から見て韓国、ロシア、ベルギー、アルジェリアのグループHで ベルギーが3勝、韓国が1分2敗だった事にほとんどのサッカーファンが違和感を抱かないように この組でコロンビアが3連勝して日本が1分2敗だった事に日本人以外は別段、驚きはしません。
しかし言い方を変えれば、コンディションや試合のちょっとしたディティールが違えば 日本はW杯でもベスト16を”狙える”国になった事も間違いないのです。 ︵上手くハマればイタリア、オランダ、ベルギーと打ち合いだって出来るチームです︶
但し、ベスト16が”当然”と言われるカテゴリーとはまだまだ差があったというだけの事。 これは今後の糧にしましょう。
最後に、感情論と結果論に流されている今は この結果をもってザックJAPANの4年間をあたかも全て無駄だったように切り捨て 南アの戦い方ならさもベスト16は保障されていたかのような声も聞こえてきますがそれは幻想です。 感情に流されて極論に走っては答えは永遠に見えてこないでしょう。
そう言えばザックが就任会見以来、事あるごとに口にしてきたキーワードがありました。
今、我々に必要とされているもの―
ザック﹁勇気とバランスこそが重要だ﹂
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