大学生の就職率があいかわらず悪い。ウチの学生たちもみんな苦戦している。しかしおかげさまで俺のゼミ生はそんな状況でもかなり調子がいい。企業のみなさまありがとうございます。
それでも数名は進路が決まらないまま卒業していく。心配なのでたまにメールしているのだが、今年卒業したメンバーは、実家に帰って公務員や資格の試験の浪人をする、などの場合をのぞき、ほとんど内定を得ることができた。卒業してからも3名ほど内定をもらっているのだが、どこで見つけたのかいろいろ聞くと、普通にハローワークに行ったらしい。
それにしても就活大変やな。特にここ数年はほんとうにみんな苦戦している。3回生の夏にインターン行ってから卒業まで1年半も就活続けるやつがいる。教員としてはほんとうに悔しいし腹立たしい。
それでも既卒を中心にハロワですぐに内定取るやつがたくさんいて、話をきくと確かに地味な中小が多いがなかなかのんびりした昭和な感じの会社も多くて、もうこれは職探しの手段としてはハロワ最高ちゃうん、って思って、苦戦してる学生にめっちゃ勧めてるんだけど、あれっと思うほど反応が悪い。
やっぱり社会学勉強してる身としてはすごい興味があるから就活の話や卒業してからの仕事の話はほんとうによく聞くんだけど、だいたいものすごいブラックなとこって、誰もがあこがれるサービス業の最前線、たとえばブライダルとかそういうところに多いような気がする。そういうところはみんなあこがれるし、リクナビなんかでも人気があるし、エントリもものすごい数が来るらしい。でも、もちろん全部じゃないけど、カスタマーと直接接するところの仕事はほんとうにクレームも多くて社内教育も厳しく、労働条件も悪いところがたまにある。
もちろんハロワで見つかる会社にブラックがぜんぜんないっていう話ではぜんぜんなくて、そうなんじゃなくて、どうせ同じならムダに苦労することないと思うんだけど、っていうことやねんけども。やたらと競争率の高いところに行こうとして無理して長い期間しんどい就活しなくても、給料に差は無いんだから、ハロワで地元の中小企業探して、あとはのんびりと最後まで学生生活楽しんだらいいと思って、かなりアツくハロワ推しをしてるんだが、なんかあんまり反応がない。
それで学生たちになんでハロワ行かないのって聞いたら、まあ聞いたらなるほどって思いましたけども、﹁ハロワに行くのって﹃職探し﹄って感じがするんですよー﹂って言われたときはびっくりした。いやお前らいまやってるの職探しやろ。違うのか。
いろんな学生に聞いたら、ハロワについてはだいたいこんな答えがかえってきた。俺が﹁こんな感じ?﹂って聞いて﹁そうそう﹂ってかえってきたやつも含む。
・ハロワが紹介してるような中小企業に﹁感情移入﹂できない
・そういうところに行くモチベーションがわかない
・﹁50代ぐらいのおっさんがいくとこ﹂っていうイメージ
・﹁ガチの失業者がいくとこ﹂っていうイメージ
・そもそも最初から選択肢に入っていない
・﹁お役所﹂っていう感じ
・まわりの誰も行ってない
たいへん興味深い。じゃあ逆に、おまえらにとって就活って何なん? って聞いたら、
・大学の行事
・みんなで一緒にやるもの
・大学の授業の一環
・サークルみたい
もちろん﹁じゃないことはわかってるけどそんな感じ﹂っていうことなんやけど、これはもうほんとに﹁はああああああ、なるほどなああああ﹂って思った。
だいたい就活っていうと、スーツ買って写真とって履歴書の書き方勉強して、リクナビやら何やらの大手サイトに登録して、SPIかなんかの勉強して、大学主催の業界セミナーとかいろいろ参加して、大きななんちゃらドームでやってる﹁就職博覧会﹂みたいなん行って︵意味ないから行くなって言うてるけど︶、ゼミでもサークルでも集まるともう就活の話ばっかりして、GWすぎぐらいから病んで女子は﹁専業主婦になりたい﹂とか言いだして、まわりの友だちがひとりずつイチ抜けしていくのにやきもきして、とかそんな感じなんだけど、なんかハタで見てるとほんとに﹁みんなで一斉に同じことしてる﹂って感じがする。ぜんぜんひとりで個人としてやってないっていうか。
詳しく書かなくてもわかってもらえると思うけど、たしかにそのまっただ中にいる学生にとっては、﹁一斉に始まって一斉に動く﹂就活は、もちろん企業側の動きも含めて、﹁大学のカリキュラム﹂に含まれているように感じられるに違いない。
ぜんぜんひとりになってない……。企業の側も﹁ひとりの人間﹂を採ろうとしてない。なんか学生も企業も集団で一斉にタイミングを合わせてやってる感じ。だから乗り遅れるとダメージがでかい。1年や2年ちょっとのんびり勉強しよかなと思っても許されない。
蝉か。
こういう就活を続けて内定取れなかったやつが、方向を変えてハロワであっさり就職先を見つけていくのを見るにつけ、そしてそして、大多数の学生がしんどいことを長期間やって貴重な学生生活が削られてるのを見るにつけ、ほんとうにもったいないと思う。
ただこれは、強調タグを付けて言いますが、学生が贅沢に選り好みしている結果ではない。
企業側が新卒一括採用にこだわって﹁年中行事﹂みたいな採用しかしないから、学生たちがつくりあげる﹁中間集団﹂において、ほんらいは合理的・個人的におこなわれるべき就職活動が﹁シューカツ﹂と呼ばれ、非常に非合理的・集団的な意味付けがされてしまうのである。
経済的状況や政治、歴史などのマクロな構造とその変動は、個人に直接届くわけではなく、かならず家族や友だち、学校、会社、地域社会などの﹁中間集団﹂における解釈と実践がフィルターになっている。われわれは個人でなにもかも行動したり判断したりできるわけではなく、例えば特定の行為が、その個人にとってどれくらい利益をもたらすものであるかよりもむしろ、そういう中間集団においてどのような意味付けがされているかのほうが大事だったりする。
学生に限らず、われわれはみな、こういう中間集団における意味付けによってがんじがらめに縛られているのである。
これを図に表すと以下のようになる。
というわけで、﹁シューカツ﹂というものは合理的な求職活動ではなく、企業側の﹁新卒一括採用﹂という謎の慣習によって、学生側の中間集団によってまるで﹁大学のカリキュラムのひとつ﹂のような意味付けがされてしまっていて、なかなか﹁よくあるパターン﹂から外れたことがしにくいのである。というわけでもっと大学のキャリアもハロワや中小企業推したらええと思うんだけど、なんか大学の﹁就職率自慢ページ﹂でも大企業の名前ばっかり出てくるし、なんかもう企業も学生も大学も、みんなもっと合理的になれ!
まあでも学生わるくない。学生わるくないよ、ほんと。
以前、ハローワークに求人を出したことがあったんですが、ものすごく面倒くさくてうるさくてこんな事なら求人案内にバイトの募集を出しといた方ががよっぽどよかったと思ったんですが、たぶん新卒だと頭一つ抜けてて有利だと思うんで悪い所じゃないと思いますよ、ハローワーク。
学生はリクナビ等で就活するのが当たり前だと思っていました。
ハローワークという手もあるのですね。
実態はわかりませんが2ちゃん的にはハロワはブラックが多いという話もありましたよ。
派遣から登用されて、最年少で課長職に着いたものです。這い上がる人はどっからでも上がれると思ってます。
ハロワにマイナスイメージしか持っていませんでしたが一度行ってみることにします。
16さんのコメントで思い出したのですが、リクルートがやるシューカツって基本新卒相手なんですよね、リクナビ2012とか、2011年卒できまらなかったやつは登録すんなやってことです。
で、ハロワって新卒だけ募集してる求人って多くない気がします。だからどうせなら新卒の間は新卒限定のリクナビとかをつかう、ハロワは既卒になったあといくものだ、と思ってしまうのでは?
記事をみてシューカツしていたときに感じた違和感がわかりました。ありがとうございました。
まあ確かに、「○○(大手)の社員」という肩書きとか、大手ならではの充実した福利厚生、給与は魅力的ですが、自分に合った職場を見つければ、それでいいんじゃないですかね。
だからブラック飲食と呼ばれるところでも合ってる人は合ってるだろうし、勤め先を他人と比べて一喜一憂する事自体、ちょっとおかしなことですよね。そうしたところで、何も変わらないのですから。もし満足していないのなら、転職などを視野に入れればいいだけです。
⬇ネイバーから来ました^^
http://matome.naver.jp/odai/2138405812224184001
学生は悪くないという言葉に教育者としての、
そして人格者としてのねぎらいが溢れていますね!
こんな先生のもとで勉強出来る学生が羨ましい。
私ならもっと型破りの就活しろよーーーー!って叫びたくなりますw