世界最大の「Twitter炎上事件」投稿者の末路 旅行中の「軽い冗談」が、身の破滅を招いた
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軽いジョークのつもりで投稿したツイ―トがきっかけに、彼女は文字どおり「破滅」してしまいました(写真:chepilev / PIXTA)
瞬く間に拡散され、膨大な数のコメントが殺到する――。ツイッターやフェイスブックなどのSNSを舞台にした“炎上”は、いまや日常的なものになった。アメリカ大統領自ら、ツイッターで個人攻撃を繰り返し、﹁偽︵フェイク︶ニュース﹂を拡散する。
ネットとは、もっと自由で、誰もが無料で有益な情報を入手できる希望に満ちた世界ではなかったか? なぜ、こんなことになってしまったのだろうか?『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』の筆者、ジョン・ロンソン氏が、現在のネットの負の部分に焦点を当て、その深層を分析する。
ごく普通の無名の人がツイッターに何か少し不穏当なことを書き込む。その人のフォロワー自体はせいぜい100人くらいのものだ。しかし、それが何かのきっかけで大勢の人たちの目に触れ、非難の嵐となってしまうことがある。
これが、いわゆる﹁炎上﹂だ。僕は、実際に炎上の事件の犠牲者となった人物に多数会い、話を聞いてきた。会うと皆、ごく普通の﹁善良な市民﹂たちだ。ただ、炎上によって何もかもを失い、憔悴︵しょうすい︶﹁しきっている。本当に、皆がそろいもそろってそうなのだ。
ジョークのつもりの﹁つぶやき﹂が、悲劇の始まり
僕が会ってインタビューした1人が、ジャスティン・サッコである。彼女は﹁世界最大のツイッター炎上﹂の当事者だといっても過言ではない。発端は、彼女がアフリカへ向かう空の旅の最中に、本当に軽い気持ちで書いたツイートだった。 ﹁アフリカに向かう。エイズにならないことを願う。冗談です。言ってみただけ。なるわけない。私、白人だから!﹂ 乗り継ぎのために降り立ったイギリスのヒースロー空港で、搭乗直前に彼女はこんな投稿をした。彼女は日頃からよくツイッターで品の悪いジョークを飛ばしており、そのときのツイートもそんなジョークの1つにすぎなかった。 初めのうちは静かだった。彼女としてはうまいジョークを言ったつもりだったので、何らかの反応が欲しかったのだが、誰一人、コメントするものがない。彼女は寂しい思いを抱えたまま飛行機に乗り込んだ。11時間のフライトである。飛行機にいる間はインターネットには接続できない。フライト中、彼女はほとんど眠っていた。 目的地のケープタウンに着いた彼女が携帯電話の電源を入れると、思いがけないものが目に飛び込んできた。高校卒業以来、話をしたことがなかった知人からのメッセージである。﹁こんなことになるなんて、とても悲しいよ﹂とある。 ツイッターを開くと、恐ろしいことが起きていた。彼女のツイートに対する非難のリプライが続々と書き込まれていたのである。そして、親友からは﹁今すぐ電話して。今、あなたはツイッターで全世界のトレンド第1位になっているのよ﹂というテキストメッセージが届いた。 問題になったのは、サッコのツイートに人種差別とも受け取れる言葉が含まれていたからである。白人だからエイズにならない。エイズになるのは有色人種だけ。そう受け取れる言葉を見て、大勢の人間が怒り、非難の言葉を彼女に浴びせた。 ﹁ジャスティン・サッコのツイート、人種差別があまりにひどすぎて、恐ろしい。言葉も出ない。恐怖以上の何かを感じる﹂﹁このとんでもない女のことを皆に知らせるべきだ﹂ ごうごうたる非難が寄せられている中に、サッコの勤務する会社からのツイートがあった。﹁あまりに非常識で、言語道断なコメントというほかありません。弊社の社員ですが、現在、国際線の飛行機に乗っており、連絡がつきません﹂。トピックボードAD
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