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Collection: alexa_web_2009
春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕 (『桐の花』大正2) 病める児はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑の黄なる月の出 (『桐の花』大正2) 手にとれば桐の反射の薄青き新聞紙こそ泣かまほしけれ (『桐の花』大正2) 草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝て削るなり (『桐の花』大正2) 君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ (『桐の花』大正2) 時計の針�Tと�Tとに来るときするどく君をおもひつめにき (『桐の花』大正2) 大きなる手があらはれて昼深し上から卵をつかみけるかも (『雲母集』大正4) 飛びあがり宙にためらふ雀の子羽たたきて見居りその揺るる枝を (『雀の卵』大正10) 昼ながら幽かに光る蛍一つ孟宗の藪を出でて消えたり (『雀の卵』大正10) 照る月の冷さだかなるあかり戸に眼は凝らしつつ盲ひてゆくなり (『黒檜』昭和15)※1 (その他) ※1 作者は晩年、ほぼ失明状態にあった。