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牛飼が歌よむ時に世のなかの新しき歌大いにおこる (明治33)※1 池水は濁りににごり藤浪の影もうつらず雨ふりしきる (明治34) よきも著ずうまきも食はず然れども児等と楽しみ心足らへり (明治41) 人の住む国辺を出でて白波が大地両分けしはてに来にけり (明治42) 天地の四方の寄合を垣にせる九十九里の浜に玉拾ひ居り (明治42) 高山も低山もなき地の果ては見る目の前に天し垂れたり (明治42) さびしさの極みに堪へて天地に寄する命をつくづくと思ふ (明治42) 裏戸出でて見る物もなし寒々と曇る日傾く枯葦の上に (明治44) おりたちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落葉深く (大正1) 今朝の朝の露ひやびやと秋草やすべて幽けき寂滅の光 (大正1) (その他) ※1 「牛飼」は牛乳搾取業をしていた作者自身を指す。「新しき」は「あらたしき」と古語で読む。