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Collection: alexa_web_2009
かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり (『子午線の繭』昭和39) 地下鉄の赤き電車は露出して東京の眠りしたしかりけり (『子午線の繭』昭和39) 夕闇にまぎれて村に近づけば盗賊のごとくわれは華やぐ (『子午線の繭』昭和39) 暗道のわれの歩みにまつはれる蛍ありわれはいかなる河か (『子午線の繭』昭和39) さくら咲くその花影の水に研ぐ夢やはらかし朝の斧は (『霊異記』昭和47) 狂ふべきときに狂はず過ぎたりとふりかへりざま夏花揺るる (『霊異記』昭和47) 杉山に朝日差しそめ蝉のこゑかなしみの量を湧き出づるなり (『霊異記』昭和47) 三人子はときのま黙し山畑に地蔵となりて並びゐるかも (『縄文記』昭和52) 雲かかる遠山畑と人のいふさびしき額に花の種子播く (『鳥獣蟲魚』平成4) 夜となりて雨降る山かくらやみに脚を伸ばせり川となるまで (『青童子』平成9)