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Collection: alexa_web_2010
東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる (『一握の砂』明治43) たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず (『一握の砂』明治43) はたらけどはたらけど猶 わが生活楽にならざり ぢつと手を見る (『一握の砂』明治43) 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ (『一握の砂』明治43) 不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心 (『一握の砂』明治43)※1 ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく (『一握の砂』明治43) やはらかに柳あをめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに (『一握の砂』明治43) 函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花 (『一握の砂』明治43)※2 しらしらと氷かがやき 千鳥なく 釧路の海の冬の月かな (『一握の砂』明治43) 新しき明日の来るを信ずといふ 自分の言葉に 嘘はなけれど―― (『悲しき玩具』明治45) (その他) ※1 「不来方のお城」は、かつて盛岡城があった場所で、明治39年からは岩手公園となっている。 ※2 作者は明治40年5月から9月にかけて函館に滞在した。