日本軍も解読できなかった暗号開発、ナバホ「最後のコードトーカー」死去
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︻6月5日 AFP︼第2次世界大戦︵World War II︶中に日本をはじめとする﹁枢軸国︵Axis Powers︶﹂が1度として読み解けなかった暗号の作成に協力したアメリカ先住民ナバホ︵Navajo︶の最初の29人のうち、唯一生存していたチェスター・ネズ︵Chester Nez︶さんが4日、死去した。93歳。眠ったまま息を引き取ったという。
米国内のナバホ居住地区では今月8日まで半旗が掲揚される。ナバホ・ネーション︵Navajo Nation︶大統領のベン・シェリー︵Ben Shelly︶氏は、声明で﹁第2次大戦中に最初のコードトーカー︵暗号話者︶となった29人のナバホが志願した時、われわれの言葉が持つ力は世界に共有された﹂と表明した。
ナバホ語は文字のない複雑な音声言語。米海兵隊は1942年5月、戦場での連絡に使う暗号をナバホ語に基づいて作成するため、ネズさんら29人を採用した。
ネズさんはガダルカナル︵Guadalcanal︶、グアム︵Guam︶、ペレリュー︵Peleliu︶、ブーゲンビル︵Bougainville︶など南太平洋の戦場に従軍。昨年、当時を振り返って﹁日本軍が全力で挑んでも暗号の解読はできなかった。それをとても誇りに思う﹂と語っていた。
第2次世界大戦には計400人のナバホがコードトーカーとして従軍した。その他にもチョクトー︵Choctaw︶、コマンチ︵Comanche︶、セミノール︵Seminole︶などの先住民が日本やドイツとの戦争に参加し、自分たちの言葉を駆使して暗号通信に携わった。
米軍が使った用語には先住民たちの言語には存在しない単語もあり、たとえば﹁飛行機﹂は﹁鳥﹂、﹁爆撃機﹂は﹁妊娠した鳥﹂などと言い換えていた。また、英語のアルファベットの各文字を、ナバホ語の1単語で表現していた。例えば、猫を意味するナバホ語﹁moasi﹂は、同じ意味の英単語﹁cat﹂の頭文字である﹁c﹂として使われた。
これらの暗号はその後も再び使用される可能性があったため、1980年代まで米軍の機密情報として扱われていた。(c)AFP