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政界の堅物、与党まとめる手腕は未知数 岡田新幹事長

2010年9月16日21時11分

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写真民主党の新幹事長に決まった岡田克也外相=16日午後、首相官邸、飯塚悟撮影

 民主党幹事長に決まった岡田克也外相は、自民党を離党し、政権交代の必要性を一貫して訴えてきた政治家だ。きまじめに政策を語る姿勢に評価は高いが、政権与党の幹事長としての手腕は未知数。政界きっての「堅物」の登場に、自民党からは「党をまとめられないだろう」との冷ややかな声も上がる。

 岡田氏は旧通産省のキャリア官僚で、1990年衆院選で旧三重1区から自民党公認で初当選。この選挙を仕切ったのが自民党幹事長だった小沢一郎氏で、岡田氏も旧竹下派に所属した。以来、93年の自民党離党から新生党、新進党と小沢氏に付き従った。

 「政治の世界の父」と慕った小沢氏との決別は97年暮れの新進党解党の時だった。両院議員総会で解党を宣言した小沢氏に、当選3回の岡田氏が食ってかかった。

 「今の説明、私は納得できません。新進党と書いていただいた有権者に対する裏切りだ」

 民主党に合流した岡田氏は2002年12月の代表選で菅直人氏に敗れ、幹事長に就任。この「菅・岡田」コンビで取り組んだのが、小沢氏が党首だった自由党との「民由合併」だった。民主党内にあった反対論を抑え、政権交代を前面に掲げて合併にこぎ着けた。

 当時のことは、党内でも強い印象を持つ議員が多い。岡田氏の幹事長就任について、江田五月前参院議長は16日、「幹事長として民由合併を成し遂げた人」と評した。

 首相周辺は「以前にも代表、幹事長で菅首相とコンビを組んでおり、安定感がある」と語った。

 菅氏が代表を辞任した04年、有力後継候補だった小沢氏にも国民年金の未払いが発覚。幹事長だった岡田氏にお鉢が回ってきた。

 「悲惨だな」。記者団にこう漏らした岡田氏だったが、同年7月の参院選では年金制度改革に焦点を当て、マニフェストの表題は「まっすぐに、ひたむきに」。自民党を1議席上回る50議席を獲得した。

 05年9月の郵政総選挙で小泉純一郎首相率いる自民党に大敗して代表を辞任、しばらく表舞台から身をひいた。09年5月の代表選に再び挑戦したが鳩山由紀夫氏に敗れ、2度目の幹事長に就任。同年9月の鳩山政権発足で外相に就き、日米密約調査などに取り組んだ。

 国会議員の世襲反対が持論。支持者からの贈答品は一切受け取らず、原理・原則にこだわることからアフガニスタンのイスラム原理主義勢力に例えて「タリバーン」ともやゆされる。派閥政治を嫌い、どのグループにも所属していない。

 潔癖さからか、小沢氏をめぐる「政治とカネ」の問題には批判的だ。6月の菅政権発足では「脱小沢」路線に賛同。今回の代表選では、小沢氏の立候補について「起訴される可能性がある方が代表、首相になることには私は違和感を感じている」と語り、小沢グループが猛反発した。

 岡田氏に目をかける渡部恒三前最高顧問はこの日、岡田氏についてこう語った。

 「カネを集めることができず、くれることもしない。古い時代では最も不適任な幹事長だが、新しい時代には最も適当な幹事長だ」

 自民党は岡田幹事長の誕生で、党執行部と小沢一郎前幹事長の溝が一層深まると見ている。谷垣禎一総裁は16日、記者団に「幹事長ポストをだいぶ固辞されたようだ。岡田氏がどうというより、いまの民主党の事情はかなり厳しいと思う」と語った。

 石原伸晃幹事長も民主党代表選の国会議員票が菅首相と小沢氏で二つに割れたことを踏まえ、「民主党内で片方は賛成、もう片方が反対というのでは私たちはどうしたらいいのか。『これが民主党の考えだ』とまとめてもらわないと話にならない」と述べた。

 岡田氏は党代表だった2004年に消費増税を掲げた。だが、増税に反対する小沢氏を支持する多くの国会議員がいる限り、与野党が財政再建に向けて話し合える可能性は低い――。石原氏の発言はそんな認識を示したものだ。

 かつてともに新進党に属した石破茂政調会長も「岡田氏がこんども消費増税を言うとは限らない。民主党がどういう政策を出してくるかによる」と慎重だ。

 ただ、与党内の亀裂は野党には好都合だ。自民参院幹部は「岡田氏では党内をまとめられない。次の選挙を考えれば、相手が分裂してくれた方がいいが」と期待を込める。

 みんなの党の渡辺喜美代表も「これで民主党は挙党一致どころか、ますます亀裂が深まっていくだろう。脱小沢路線で内閣支持率を上げるという観点では非常によろしいのでは」と皮肉った。

 一方、公明党の山口那津男代表は「党内グループに属さない岡田氏の立場が買われたとすれば、その期待にどう応えるかが問われる」と述べるにとどめた。

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