秋の瞳(22)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その22を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 「おもひで」という題名の作品は「きれいなゆめ」について描かれたもので、地獄から抜け出して天堂へゆくための果てしない世界である「煉獄」の「かげ」を感じつつ、なつかしい風景を炎のかがやきのように思いだす、美しい詩でした。
  

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音楽と世態 中原中也

 今日は、中原中也の「音楽と世態」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはとくに音楽論というわけでも無いんですが、詩人の中原中也が考察した、百年前の近代音楽に関する随筆です。
「山賊仲間に聖者のゐたためしは先づないが、修道院の中には天使から悪魔までがずらりとゐる」という文章が印象に残ります。東京中央楽壇などによるクラシック音楽の演奏……シューベルトラヴェルバッハを聞いて、思ったことを書いています。
 後半の総論のところが読みにくい難読文で書かれています。原文はこうなんです。
quomark03 - 音楽と世態 中原中也
  何れにしても、要は各人の感性の問題で、「各感性は各感性也」と云はれれば文面上辻褄は合つてもゐようが、「各感性は各進化しつつある」現実の世界は、可動的グラヒカル・リプレゼンテーションとやいふらむか、而して、可動的グラヒカル・リプレゼンテーションは可動的である故に名附け難いので、人類は結局、同好の士、非同好の士と、アダムより我等が子々孫々に至るまで、最後の段階では情意的(気分的、間違へないでね)であり、高遠なる思索家とは、遂に貧血症のことだらうか?quomark end - 音楽と世態 中原中也
 
 この箇所をAIを使いつつ要約してみると、こうなります。
 結局、大事なのは人それぞれの「感じ方」なんだ。「人の感じ方は人それぞれ」って言えば、言葉の上ではうまくまとまるかもしれない。この世界は、動く絵や映像のようなものなのかも。ずっと変わり続けているから「これはこうだ」と言い切るのがむずかしい。名前をつけようとしたときには、もう少し違うものになってしまっている。
 だから人間は結局、「同じ好みの人たち」と「違う好みの人たち」に分かれて、アダムの時代からこれから先の子孫にいたるまで、最後には「気分」みたいなものでしか分かり合えないのかもしれない。そして、むずかしく考えごとをしている人って、実はちょっと貧血気味なだけなのかもしれないね。
  

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郵便さん 槇村浩

 今日は、槇村浩の「郵便さん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 貨物自動車が実用化されていなくて飛脚がまだあった時代の、郵便屋さんの仕事のことを、児童向けの詩歌にした掌編です。動きと言葉の響きがかわいい詩でした。これは園児が声に出して読むための詩なのかなと思います。
 

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細雪(70)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その70を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 蛍狩りをしたあと、富豪とのお見合いが失敗に終わって、その帰郷のさなか、蛍籠になぜか蜘蛛が入り込んでいて、列車のなかで暴れだしてしまった。
 この物語ではほとんど出てこなかった軍人が、列車の中でシューベルトのセレナーデを歌いはじめてしまうという奇妙な事態が起きます。さらに姉妹たちもこれに反応をして一緒に歌ってみたのですが、見知らぬ軍人は顔も見せないまま、列車を降りていったのでした。幸子としては、お見合いが破談になった雪子を放りだして帰郷するのはなんとも酷薄なので、蒲郡の常盤館で一泊をして、姉妹たちでのんびり観光することにしたのでした。この物語は関西の幸子を中心に物語が展開するのですが、今回だけは、雪子が東京に帰ってゆくところが描かれました。
 雪子が一人で東京に帰っているときに、列車の中で、なにか見たことのある中年の男がこちらをじっと見つめてくる。よくよく考えると十年前の見合い相手だったことを思いだしたのでした。どうも相性が良くない相手だったので縁談を断ったというのを思いだして、あの時の自分の選択は正しかったなと、いうように考える雪子なのでした。次回に続きます。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

日本国憲法

 今日は「日本国憲法」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  これは戦後すぐから1946年11月にかけて作られた日本国憲法です。戦争の加害と被害を繰り返さないということを中心にして考えられた憲法で、精読するには十年以上はかかるのかと思うのですが、通読は意外と容易で、ほぼ1時間くらいで読める本になっています。
 憲法の前文や本文に記された「自由のもたらす恵沢」や「個人として尊重される」それから憲法がみとめる自由を「濫用してはならない」あるいは「意に反する苦役に服させられない」という文章が印象に残ります。
 戦前戦中の近代文学の時代から極端に変わったのは「検閲は、これをしてはならない」「思想及び良心の自由」「学問の自由は、これを保障する」という言論の自由の箇所かと思います。三木清の生きた時代にこのような法があれば、氏は獄死せずに済んだのではというように思いました。
 また憲法前文には他国の人々が「平和のうちに生存する権利を」持っているべきであるという政治的意志のことが書かれてあり、世界人権宣言と同様に、日本に生きるあらゆる人にも憲法による自由が保障されるのだというように思いました。
 

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追記  本文がむずかしすぎて読めないばあいは、第1条から第7条までをいったん脇に置いて、憲法8条から読みはじめると良いのではと思います。また「子どもとおとなの日本国憲法」という本がインターネット上にも公開されているので、参考にしてみてください。
 

愉快な教室 佐藤春夫

 今日は、佐藤春夫の「愉快な教室」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは現代の日本ではとうてい実現しない話しで、なんとも妙な、教室の中が犬だらけになったという珍事について記した、実話っぽい児童文学でした。もしかすると、たんに口伝の実話をうまくまとめた話しなのでは、と思います。
 愉快な教室というのは、室内に犬がいっぱい入り込んでいる教室で、どうして中学校の中に犬がいっぱい入ってくるようになったかというと、犬好きのM子という娘がいて、それで餌を何度もあげるものだから、これで犬がいっぱい入ってくるようになった。先生も大らかなので、犬を排除しない。さらに餌をもらった犬は意外と従順なので、授業を邪魔したりせずに、M子のそばに集まって座っている。けれどもやっぱり、けものなので教室の中で他の子どもを噛んでしまったりする。犬からするとふざけて噛みついているようである。
 教室で犬を飼うくらいなので、クラスメイトはなんだかずいぶん仲が良い。H子という中学生の親戚が勤める百貨店のツテを頼ってクラスメイトみんなで、ニューヨークのデパートに集団就職するのだ、という計画が出来てしまったりした。
 真相としては、H子にはそういうツテがあるので、英語の勉強さえちゃんとやれば、将来はニューヨークで働ける可能性が高かったのだけれど、この話に尾ひれがついてしまって、クラスメイトみんなでニューヨークで集団就職するのだ、という噂にまで発展し、みんなで英語の勉強に熱心になったというのでした。

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