ゲーテ詩集(14)

 今日は「ゲーテ詩集」その14を公開します。縦書き表示で読めますよ。
 ゲーテは祖国のゲルマン神話を現代文学に甦らせることを辞めることにして、ギリシャ神話を文学にとりいれる、ということを熱心にやった作家で、今回はその洒脱な技法が詩になっていました。
 いま生きている「若紳士」と、神話のパリスが二重写しになっているのが洒脱に思いました。
 

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愛は神秘な修道場 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「愛は神秘な修道場」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 百年前の恋愛論なんですが、これは……普通に読むと読めないんです。百年前は自由恋愛が生じがたく、あらゆる人の自由が、国家から奪われていて、主体的な恋愛が成立しがたかったのでは、とSF的な虚構の設定を付け加えながら読みました。いまから百年後に、宮本百合子の言うような厳しい社会になっているのかもしれない、とか思いながら読みました。以下の文章が印象に残りました。
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  人間は生れるときから死ぬまで恋愛ばかりに没頭しているのではありません。又、他人の恋愛問題と自分のそれとは全然個々独立したもので、それぞれ違った価値と内容運命とを持っている筈のものです。quomark end - 愛は神秘な修道場 宮本百合子
 
 最後の一文で、女同士の親交について考えながら書いたのでは、と思いました。
 

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ボロ家の春秋 梅崎春生

 今日は、梅崎春生の「ボロ家の春秋」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な小説で、不破という詐欺師にだまされた2人の男が、被害者同士のはずなのに、お互いにいさかいを巻き起こしつづける、なんとも妙な物語でした。善と悪、加害と被害というように、二元論では説明できない事態が次々に起こるんです。詐欺の手口としては、現代でも起きている地面師に似た事件が起きているんですが、この物語では、被害にあった2人がなぜか、中途半端にその詐欺師の家をゆずり受けてしまうところがとても妙で、いったい住む権利というのがどこにあるのか、分からなくなってゆくところが奇態でした。孫悟空にそっくりなソンゴフウという妙な男も登場して荒唐無稽なところもあるんですけれども、賃貸ぐらしをしている自分としては、あんまり笑えない小説でした。
 被害者だから全面的に肯定できるわけでも無い、加害者だから全否定すべきというものでも無い、複雑な状態が記されてゆくのが印象深く思いました。主人公は画家で、もう1人の野呂は物語作家で、2人はともに無名な芸術家なんです。作中に記される「僕はあれこれと題材に迷った揚句、ついに野呂の顔をテーマにして制作を開始したのです。しかしやはり芸術というものは、憎悪を基調としては成立出来にくい」という記載に、この梅崎春生という作家の本音が零れだしているように思いました。悪い技法についてはちゃんと知っておいたほうが良くて、その知識を悪用しないことが大事なんだなとか、作中の展開とは別のことをいろいろ思いました。
 

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死せる魂 ゴーゴリ(4)

 今日は、ニコライ・ゴーゴリの「死せる魂」第4章を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 あらゆる人から「死せる農奴」を買い取ってきた詐欺師チチコフは、こんどはノズドゥリョフという粗雑な地主とめぐりあいます。このノズドゥリョフは酒を飲みまくる、ウソを言いまくる、イカサマ賭博をしつづける、なんでも奪おうとしていろいろ奪われる、暴力をふるっては反撃される、という下品な男で、さすがのチチコフもこれには手こずります。今回だけは無理筋なんです。
 本来ならソバケーヴィッチのところへ行って農奴を買い取る予定だったのですが、ノズドゥリョフに言いくるめられて、彼の家を訪問することになってしまった。ノズドゥリョフは無茶苦茶な男なので、ただの脇役かと思ったんですが、本文にゴーゴリはこう記します。「ここでノズドゥリョフの一身上について若干お話しておこうと思う。というのは、この男は、おそらくこの叙事詩に於いて、決して端役はやくしかつとめない人物ではなさそうだからである。」これは物語詩でも英雄譚でもなく、叙事詩では無いはずなんですが、ゴーゴリはこれをダンテ「神曲」に匹敵するような叙事詩なんだと言いはるんです。作者のゴーゴリも、作中人物チチコフやノズドゥリョフのインチキぶりに引っぱられて、奇妙なことを書いています。
 ノズドゥリョフはとにかくギャンブル狂なんです。
 今回ついに、詐欺師チチコフが死せる農奴をなぜ買うのか、という問題の真相がちょっと明らかになってくるんです。ちょっとネタバレを避けたい人は、ここから先は読まずに本文だけを読んでもらいたいのですが……ようするに結婚式に現れる偽親族みたいな存在として「死せる農奴」を所有したいと言うことのようなんです。箔をつけるための数あわせです。読んでいて、ちょっとビックリしてしまって、チチコフはじつはオレじゃないか……とか思いましたよ。自分の場合は学歴と知力が足りないので、大人になってからネット上でみょうに名作ばかり読むことになってしまったとか、そういう感じで、箔をつけるために重大なものに気安く手を出してしまって、モンテーニュに言わせればたぶん「立派な仕事をしたつもりが、名作を横流しするのみで、紙代としての価値しか無く、翻案も稚拙で原本を台無しにしてしまっており、かえって愚かさが露呈してしまう」というような現象……。恐怖の頭取と懇意になるために妙に本棚を揃えて家に招きいれて娘さんとの結婚を許してもらうとか、そういう感じの理由で、チチコフは死んだ農奴の鬼籍を買い集めているようなんです。チチコフはこの四章中盤でほんとうのことを言っているのか、それともまだウソを言っているのかは謎なんです。
 しかし「生きる糧を作りつづけた……死せる農奴の魂」と「生きる指針を与えてくれるはずの……未読の名作」というのは、ずいぶん似ているわけで、急に読者は詐欺師チチコフと同じ状態で生きている可能性がでてくる……これに驚きました。
 ゴーゴリは物語の展開が冗長で、繰り返しが多く、文体も一般的で、現代映画や最新小説と比べると、トロい作風だと思うんですが、中盤から後半にかけての中身の凄さというのに圧倒されるところがあるんです。急に隕石が落ちてきたくらいの衝撃があります。
 この四章前半では、一生ずっとギャンブルに狂っている男の姿が描かれてこれが過激でおもしろいんですが、これって現実のドストエフスキーもそうとうなギャンブル狂いだったわけで、ロシアの2人の作家の共通項が見えたように思いました。
 ゴーゴリってどういう作品を書いたの? というのを知りたい方は、今回の第四章だけを読んでみるのもお勧めします。
 鬼籍の農奴をあまたに買い取ってきたチチコフも、今回だけはさすがに買い取れず、ノズドゥリョフのでたらめな賭博詐欺をまのあたりにしていさかいとなり、危うく殴られそうになったところで、ノズドゥリョフを逮捕しに来た警察官の到来で、この現場から逃れ、次の村へと向かうのでした。次回に続きます。
 

0000 - 死せる魂 ゴーゴリ(4)

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ゴーゴリの「死せる魂」第一章から第十一章まで全部読む
 
ゴーゴリの「外套」を読む

花を持てる女 堀辰雄

 今日は、堀辰雄の「花を持てる女」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 堀辰雄が、父やおじの病について記しています。苦について書いているはずなのに、苦を増幅しないところが、ふだん読む文章とまるでちがっていて文学だと思いました。本文こうです。
quomark03 - 花を持てる女 堀辰雄
「雪の下がきれいに咲いたものですね、こんなのもめずらしい。……」私はその縁先きちかくに坐りながら、気やすげにそう言ってしまってから思わずはっとした。
目を患っているおじさんにはもうそれさえよく見えないでいるらしかった。しかし、おじさんは、花林かりんの卓のまえに向ったまま、思いのほか、上機嫌じょうきげんそうに答えた。
「うん、雪の下もそうなるときれいだろう。」quomark end - 花を持てる女 堀辰雄
 
 ほかにも、母の若いころのことをよくしらないので仕事はどういうものだったのだろうか、と空想を広げていて、谷崎潤一郎の「吉野葛」のようなことを考えていたりします、華やかなのかそうではないのか……。堀辰雄は、父だと思い込んでいた人が養父だった、という事態を丁寧に記しています。生老病死だけを書いているはずなのに、不安な気配のまったくないことに驚きました。みごとな自伝的小説でした。
 

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新しい読書法2

明かりの本は、0円オーディオブックを100冊以上公開しています。iphoneで「明かりの本」のオーディオブック機能を使う方法を説明します。3つの行程で使えます。慣れてしまえばとてもかんたんな読書法です。なおこれは、青空文庫やkindleアプリでも使える方法です。
  
■ 行程1
ケータイで「明かりの本」akarinohon.comにアクセスし、装画をクリックして縦書きの本文を表示します。

■ 行程2
人差し指と中指の二本指を「閉じたピース」状態(閉じたチョキ)にして、画面のいちばん上から下にスワイプします。そうするとAIの自動音声読み上げが開始されます。
くわしい「スマホの読み上げ」の操作手順は、こちらのAbroader氏の解説動画を見てください。「読み上げ」がはじまらない場合はスマホの設定を変更します。(設定方法が分からない場合はこちら

howtoip01 - 新しい読書法2

本文以外を読み上げてしまう場合は、画面中央のsankakuip01 - 新しい読書法2ボタンを数回(2回〜5回)押すと、本文の読み上げが始まります。

■ 行程3
人工知能が、「明かりの本」の電子書籍を青色でつぎつぎにマークアップしながら全文を読み上げてくれます。ときおり画面の左下あたりをクリックしながらページをめくり、さいごまで耳で聞き進めることができます。イヤフォンかAirPodsを使ってみてください。タブレットもオススメです。iPadがいちばん使いやすいです。

(明かりの本の下部がしっかり表示されない場合は、ケータイをクルッと2回転するとちゃんと表示されます)

Androidケータイを使っている人も、同様の方法で「明かりの本」オーディオブックを楽しめます。PCだけを使ってオーディオブック機能を使いたい方は、こちらをご覧ください。ケータイのゲームやSNSに飽きてしまったら、ぜひ「明かりの本」の0円オーディオブックを楽しんでみてください。
以上でiPhone読書術の解説を終わります。

howtoipart02 - 新しい読書法2

『kindle アンリミテッド』を使って古典や名作を読む方法は、こちらをご覧ください。