秋の瞳(55)八木重吉

 今日は、八木重吉の「秋の瞳」その55を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 古典文学では自然界と心情が重なり合って描きだされたのに対して、現代では自然界と切り離されたものごとが描きだされるようになった、という話しを聞いたことがあるのですが、八木重吉は古典と現代のどちらなのだろうかと思う、詩でした。
「おもひなき かなしさよ」という詩の言葉は、現代語に直訳しがたい、あいまいなところがあると思うのですが、「思い悩むことのない」「思いがけない」「理由もない」といった意味を持つのだと思います。この印象を固定できないところが八木重吉の詩なのではと思いました。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

ラムネ氏のこと 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「ラムネ氏のこと」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 発明が必要なのだ、ということをとうとうと論じた坂口安吾の随筆でした。はじめにラムネ瓶の玉のことをいろいろ書いています。こういう発明をする人をラムネ氏と命名しているのでした。
 愛という言葉が無かった安土桃山時代に、西洋の「アモール(愛)」や「カリタス(人類愛)」をいったいどう日本語にするのか、たいへん困った。困り果てたすえに「ご大切」と訳した、ということについて書いていました。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  坂口安吾はなぜだか、源氏物語の文学性を、こんかい完全に外して愛と文学と歴史を記していました。フグやキノコに挑んだ男のことも書いていました。作中の「アンリ・ベイル氏」というのはマリ=アンリ・ベール(Marie Henri Beyle)つまりスタンダールのことです。Milanese. Visse. Scrisse. Amò.「生きた、書いた、愛した」という言葉がすこぶる有名な作家です。いつかスタンダールの名作を読んでみたいなと思いました。
 

港に沈んだ鉄片の希望 仲村渠

 今日は、仲村 渠の「港に沈んだ鉄片の希望」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 仲村 渠なかむら かれは沖縄の詩人で、本名を仲村渠 致良なかんだかり ちりょうといいます。
 灼熱の太陽と熱線を、イメージさせる仲村渠の詩でした。

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記   作中の「避病院」というのは感染症専門病院のことです。この詩の最後の3行を読むと、作品の印象がまったく違ってきました。2回ほど読んでやっと詩の構成が理解できました。カモメのマンがこびり付いた海辺の石を見つめる水底の鉄片の思いなのか……。つぶれた空き缶に降り注ぐ陽光さえ請い求めてしまう、あのようにみすぼらしく無意味な物にさえなれない、海底に沈殿した鉄片の思いが描かれる、詩でした。
 
 

虞美人草(2)夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「虞美人草」その2を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 漱石の文学は、おもに若い男の苦悩を掘り下げて描きだすことが多く、女性は黙して動かない絵画のように記されてきたことが多いと思うのですが、こんかいは生きて動き、話しをして盛んに笑いますし、「清姫」のような美女の「藤尾」が描かれるのでした。妖女というのか神話的な女が、ほんとうに動いて話しているというような、荘厳な文体の作品に思います。
 漱石よりも少しだけ年上の同時代の画家に、グスタフ・クリムトが居るのですが、どうもこの神話的な絵画の女性がモチーフなのかもしれないとか、思いました。じっさいにはどうもサラ・ベルナールという女優も演じた「クレオパトラ」がモデルらしいです。
 こんかいはこの「藤尾」の悪魔的な美女の魅力が、壮麗な文体で描かれる章でした。甲野藤尾こうのふじおは、英語の本もしっかり読める、頭の良い女性なのです。環境が完全に整っているのになぜか結婚をしていないのが藤尾という美女なんです。藤尾が座布団のうえに忘れていってしまった金時計、というのがなんだか印象に残りました。
 作中の「安珍」というのは清姫に焼かれた男のことで、藤尾はこの清姫というのが好きなようです。
 漱石に描きだされ、大蛇に化ける清姫のごとき藤尾に言い寄られ、クリスマスツリーみたいに金色の鎖と金時計を飾りつけられて遊ばれて、なんだか呆然としている「小野さん」というのはこのあと大丈夫なんだろうか、というように思いました。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約15頁 ロード時間/約3秒)
 
「虞美人草」の一から十九まで、全文を読む。(原稿用紙換算584枚)
夏目漱石『夢十夜』を全文読む。   『草枕』を読む。
  

愛 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「愛」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは戦後の1948年のごく短いエッセーで、愛について記したものです。wikipediaには「1927年から1930年にかけて」長年同棲した親友の女性とともに「当時のソ連に滞在。民間女性初のモスクワ遊学だった。モスクワ大学の聴講生となり」ロシア文学を研究した、というように書いていました。愛憎のありさまについて記している掌編です。本文こうです。

  愛という言葉をもったとき、人間の悲劇ははじまりました。人類愛という声がやかましく叫ばれるときほど、飢えや寒さや人情の刻薄がひどく、階級の対立は鋭く、非条理は横行します。
 わたしは、愛を愛します。ですから、このドロドロのなかに溺れている人間の愛をすくい出したいと思います。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

獅子は死せるに非ず 小栗虫太郎

 今日は、小栗虫太郎の「獅子は死せるに非ず 終刊の辞に代えて」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは小栗虫太郎のほんの短い文章で、「シュピオ」という文学雑誌の終刊号に掲載された文章です。「シュピオ」は、海野十三や乱歩も寄稿した伝説的な雑誌なのです。時世や検閲の影響もあって第十二号で廃刊となった文芸誌です。
 G・K・チェスタトンの名作もここに掲載されていたそうです。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  こんど小栗虫太郎とチェスタトンの小説を読んでみたいと思いました。