今日は、海野十三の「十八時の音楽浴」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
近代文学の魅力は、明治大正から昭和へ向かう時代の描写と、純粋な文学性と、自然界を色濃く描きだすところにあって、エンターテイメントなら現代作品に劣るのかと思うのですが。本作はもう、完全に近未来的なSF小説で、単純におもしろがらせるために書かれたものに思います。読んでみるとこの古い見世物小屋のような娯楽性になんだか引き込まれる作品でした。
ブリキのおもちゃくらい古めかしいギミックも登場する小説なんですが、独裁国家の「音楽浴」で国民全てを洗脳し、あらゆる人々が独裁者に盲従する理想的な国民になり果てて半永久的に生きていて、死なないがためにもはや子供を生むことさえなくなります。何人かの者はこれに抵抗をし、国家の禁じている愛欲を求め、独裁者の奥様は不倫に命がけで、ポールは自身で自身を手術して性転換を目指し、ある者は自由のための革命を目指すのでした……。
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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
追記 爆死した博士コハクの生みだした、人造美少女アネットや、怪奇生物の様相がなんだか大迫力でした。一日に数十分の洗脳「音楽浴」でさえ人間に限界をもたらすところ、常に四六時中ずっと音楽浴の震動を浴びせかけることになるのでした。物語の顛末としては、ミルキ夫人とコハク博士と人造美少女はじつは、女大臣アサリ女史の隠謀によって滅んでいったのでした。さいごは誰もが洗脳によって発狂してしまって、侵略される独裁国家ミルキ国の滅亡のようすが描きだされていました。これは1937年に発表された怪作です。爆死したはずの博士コハクと人造美少女数百人が、封印された「第十室」から現れて、死者たちのユートピアを生み出してゆくところで終幕となりました。







