デジタル校正の覚え書き【旧版】
この文書は、1998〜1999年ごろに作成したものです。以来ほとんど加筆訂正をしていないため、内容が現状にそぐわなくなっている箇所もあります。何卒ご容赦くださいますようお願い申しあげます。
2. デジタル校正屋必携 七つ道具
﹁必携﹂と自分で書いておきながら、ほんとに必携かどうかいまいち自信なかったりして。少なくとも当方にとっては必携であるあれやこれやなんですが。
パソコン
これがないと始まらない。取り扱うのは主としてテキストファイルのみなので、低スペックの古いマシンでも十分だと思います。ちなみに当方マックユーザー。古いマックを入手してテキスト専用機に仕立てたりして愛でてみたいなああ、などと考えつつ、味も素気もないPM4400を使役中。できればちょっとした窓機も手に入れたいんですけど。だれかいらなくなった古い窓機をゆずってくれないかなあ。
T-Time
とっても重宝しているテキストリーダー。具体的にどう使っているのかは、次項︵校正の手順︶にて。T-Time の詳細については、ボイジャーのサイトをご参照のこと。
テキストエディタ
大きなサイズのテキストファイルを開いたり、改行コードを変えたり、デジタルならではの検索機能を活用したり、……などのため、何らかのテキストエディタが必要でしょう。単に校正をする場合は、文書の体裁を整える――たとえばフォントの種類やサイズに変化をつけるとか、インデントやセンタリングや右寄せ左寄せ等のレイアウトをするとか――必要はないので、ワープロソフトよりも、軽くてさくさく動くテキストエディタのほうが使いやすいのではないかと思います。私のお気に入りは Jedit。フリーウェアの古いバージョンのものを愛用しています。
JIS 漢字字典
テキストのデジタル化には、字体や漢字コードの問題がからんできます。底本に忠実に…と思っても、底本で使用されている漢字の字体とデジタルフォントに採用されている漢字の字体とが異なっていることもままあります。いわゆる旧字体も、デジタルフォントにあるものもないものもあります。そんなこんなを調べたいときの強力な助っ人がこれ。
拡大鏡
つまり虫メガネ。デジタル/アナログの別なく一般的に用いられる道具ではありますが。いやー、年をとると細かい文字を見るのがつらくてねえ…ってそうじゃなくて、本文の脇にふってあるルビを見るときに使っています。ルビの活字は小さいし、印刷の状態によっては、濁点︵゛︶なのか、半濁点︵゜︶なのか、あるいは単なる汚れなのか、肉眼では識別しにくいことも多いのです。常識で判断できる場合も多くあるものの、読み方が二通りある語句の場合︵例‥﹁何人﹂は﹁なんびと﹂とも﹁なんぴと﹂とも読める︶などはかなり気を遣います。
その他の辞典・字典各種
ふだんやっているデジタル校正は﹁底本に忠実に入力されているか﹂をチェックするものなので、一般的な辞典類を使うことはあまり多くありません。そういう意味では“必携”ではないのですが、一応手元に置いているものをいくつか挙げておきます。
まずはその名も﹃校正必携﹄︵日本エディタースクール刊︶。1995年に出された第七版では、組版技術の変化を後追いするような形で︵おっと失礼︶電算写植や DTP を意識した改訂が施されています︵でもやっぱなんかイマイチって感じが…まあいいや︶。これに載っている﹁JIS漢字異体字・代用字一覧表﹂なんかはけっこう便利かも。
それから、ときどきは漢和辞典のお世話になることもあります。原稿なり底本なりにある漢字が﹃JIS漢字字典﹄に載っていないときは、﹁ああそれじゃきっとこの漢字は外字というものなのだね﹂などと思いながら、一応漢和辞典で調べてみたりとか。
その他、時には頭に“大”のつく漢和辞典や国語辞典や古語辞典、また、場合によっては日本語関係の辞典・字典のみならず、たとえば歴史なり何なりの辞典・事典を当たってみる必要が出てくることもあります。が、必要になるかもしれない辞典字典事典︵ややこしい︶の類をすべて手元に揃えておくわけにはいかないので、手元の辞典字典事典では調べがつかないときは、図書館を活用しています。
なお、﹁七つ道具﹂とかいってますけど、もちろんこのことばは慣用句としておざなりに用いているだけですので、上に挙げた道具がいくつあるか数をかぞえてみる、なんてことはしないように。
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