デジタル校正の覚え書き【旧版】


19981999


3. 校正の手順

  1. テキストを開く
  2. 引き合わせ校正をする
  3. ゲラに直しを入れる
  4. 素読み校正をする
  5. 総仕上げをする

その一 テキストを開く

校正の対象となるテキストファイルを T-Time というテキストリーダーで開きます。ふつうのエディタやブラウザを使っても悪くはないんですが、あれこれフォントの設定を変えてみたところで、ディスプレイ上に表示されるのは結局はビットマップフォントですから、お世辞にも読みやすく表示されるとは言いがたいし、画数の多い漢字の細かな部分なんかも省略されてしまうので、やはり校正する上で少々不都合があります。やってできないことはありませんが、どうしても見落としをする確率が高くなってしまうし、作業の負担も大きい。ところが、T-Time を使うとそれらの問題があらかた解消されてしまうのであります。すばらしいですねー。

あまり宣伝めくのもあれですが、T-Time はほんとによくできた使いやすいソフトです。表示もきれいだし(アンチエイリアスという処理が施してあるため)、ややこしい漢字でも一点一画までちゃんと分かるし。T-Time は「ディスプレイ上でテキストを快適に読むためのソフト」ですが、以上のような理由から校正用ソフトとして使っている方も多くいらっしゃるようです。まあ、あまりこの話題をひっぱるのもなんですから、T-Time の詳細はボイジャーのサイトをご参照ください。

表示させるフォントのサイズはできるだけ大きめに設定します。ふつうに文章を読むことを考えると、1ページ(ディスプレイ上のことですから1ウインドウとでも呼べばよいでしょうか)におさまる文字数があまりにも少ないと読みにくいですよね。文章を読むときって、読んでいる箇所だけをじーっと見ているんじゃなくて、適当に視線や意識を分散しつつ、熟読するか適当に流し読みをするか等々の判断を下しているものです(意識的であれ無意識的であれ)。ですから、視界に入る文字数が少ないとその判断がしにくいのでどうも読みにくい、ということになります。しかし、校正はそういう読書とは異なります。ですから、

フォントのサイズを大きくする
 → 1ウインドウあたりの文字数が減る
 → 流し読みしにくい
 → 一字一字を目で追うのと近い状態になる

という理屈で、逆に校正には向いているのではないかと。


その二 引き合わせ校正をする


 T-Time 





その三 ゲラに直しを入れる


T-Time  T-Time T-Time 

使使使



1   


1

2   


2 

3   


1

31使

その四 素読み校正をする

引き合わせと訂正がひととおり済んだら、つぎは素読み校正。元となる原稿(とか底本とか赤字の入ったゲラとか)を見ずに、ふつうに読書をするのと同様にテキストを読みつつ、誤りがないかどうかをチェックしていきます。引き合わせの段階でどんなに注意深くチェックしたつもりでも、素読みをしていると案外見落としに気づいたりもします。素読みをしていて「あれ?」と思ったら、底本の該当箇所を参照のうえ、必要であればゲラに訂正を入れます。


その五 総仕上げをする

素読みが終わったら最終的な見直しをします。その時と場合によりますが、引き合わせ・素読みをしているときに、誤植の傾向や留意点に気がついたりするので、まんべんなく目を通すのではなく、ポイントを絞ってチェックしていくことも必要です(これを観点読みといいます)。もちろん、傾向や留意点が複数あれば、観点読みを複数回繰り返します。人間の集中力なんてたかが知れてますから、一度にあれもこれも注意するなんてムリなんですよやっぱり。




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