■小さい頃うちは貧乏で
動物園に行きたい。そう親にねだると決まって連れていかれるのは東京駅だった。
はっきりとは覚えていないけど、そうして初めて東京駅に行ったとき親に聞いた気がする。
動物園じゃないじゃん、ここ東京駅だよ?と。父は頷いた。動物園のようなものだよ、ここは。
父はそう言って私に周りを見ることを促した。足早に歩く人。不機嫌そうな顔。酔っぱらって寝転んでいる人。
色々な人が居た。流れの中に立ち尽くし、ぶつかりそうになるところ父が手を引いてくれた記憶。
お昼になると構内にある椅子の一角でお弁当を食べた。おにぎりとか卵焼きの入った手作りのお弁当に水筒。
通り過ぎる人たちはたまに私たちを見つめたがすぐに興味を無くしたように前を向いた。
今日久しぶりに当時の夢を見た。懐かしく、今にして思うと父の言っていたことは案外間違いではなかったのかもしれない。
週末、お弁当を持って動物園に行ってこようかなと思った。 ツイートシェア
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